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蜂蜜喜奈子 ハチミツキナコ
ドアを開けて挨拶をする瞬間は一週間経った今でも緊張する。入ったら冷たい目線を向けられるじゃないか、自分の中の勝手な被害妄想だとわかっていても止まらない。そんなことをドアの前で考えていると、声をかけられた。「おはよう!」一緒自分に言われてると思わなかったが何とか返すことができた。「お、おはよう」挨拶にですら戸惑ってしまう自分がいやになる。
彼女はそんなこと気にせずに教室にはいる
「お!さら、おはよー」クラスの中から声がする。僕が悩んだことを彼女はいとも簡単にしてしまった。
そこからすべてが始まった。僕の視線は気づいたら、彼女に向いていた。自分でも分からないぐらい彼女に惹かれていた。でもそれは恋ではなかったのかもしれない。憧れに近いなにか。当時の僕には言い表すことができなかった。だから恋と思う ことにしてしまった。
そこからの生活はあっという間だった。彼女を眺めて終わる日々、課題をする時間以外すべてが彼女中心だった。そして夏休みに入った。楽しみにしていたはずの夏休みがいつしか望まないものになっていた。
そんな中、クラスラインが動いた。
「明日、花火大会あるらしいよ」
「行きたいー!! 」
そんな感じの会話だった気がする。彼女が参加すると言っていたから僕も行くことにした。いつもなら面倒くさいイベントも彼女を見に行くと考えれば、全然平気に思えた。会場に到着したころには、10人くらいが集まっていた。彼女を探していると後ろから声をかけられた。「佐藤くん?」彼女の声ではなかった。「うん、えーとそっちは小町さん?」覚えていてよかった。ボブぐらいの長さの髪に丸めの目、彼女とは正反対のタイプだったが陰でモテていそうだった。 「そうだよ!よかった話せる相手がいて」 こっちはあまりいい気はしないのだが、仕方なく話しかける。「何時から始まるんだっけ?」「うーんと」小町さんはスマホを取り出して確認する。「7時からだよ!あっ、みんな土手に移動するみたい」前の集団がぞろぞろと動き出す。そこに彼女の姿を見つけた。ついていかなきゃという気持ちが強くなる。でも小町さんを置いてはいけない少し歩くスピードに気を付けながらも歩き始めた。 土手に着いたころには始まる10分前になっていた。
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