《君の存在が半透明だとしても》
side 成瀬晃
俺は遂に言ってしまった。自分自身のことを唯に話してしまった。
悲しいとか、後悔とかは感じないはずなのに唯の前だけは感じてしまう。
許してほしいとかじゃない、ただ昔の自分が許せないだけなのかもしれない。
だけど、この季節が俺は1番好きではなかった。
それは、文化祭の出し物と係決めだ。
色々と提案が出ていき、最終的にはお化け屋敷になった。
ただ、ここから最悪だ。買い出し班か小道具班に分けないと行けない。
唯は大丈夫だろうか。そう、いつの間にか思っていた。
俺は唯にメッセージで「なんかしてほしいことある?」と送ったらすぐ返信が来た。
【成瀬君、私の近くまで来れますか?】
あぁ、俺は本当に馬鹿だなぁと思ってしまう。唯の声を奪ったのは俺なのに_。
「んで、来たけどどうした?」
【実は買い出し班になってしまって、その誰か交換したい人居るか聞いてきてほしいです。】
「…分かった。」
正直、嬉しかった。初めて人から頼られて信用されて、嬉しかった。
でも、俺は唯に酷いことをしてしまった。だから放課後打ち上げようと思う。
もう、解放されるかもしれない。恨まれるかもしれない。
俺にとっては好都合で唯とっては不都合だと思う。
だけど、こればかりは仕方ないんだ。
俺は、唯の全てを奪ってしまったのだから。
自業自得の気もする。これで唯が幸せになってくれたら俺は嬉しい。
だから、少し悲しいけどこの関係も終わろうと思う。
さようなら、唯…そして馬鹿自分
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