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#R15
(株)姫神V
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ヒロインが、学校から一定距離離れると姿が消える法則を探ろうと、このみちゃんを尾行したけれども、謎は深まってしまった。 だからと言って、謎を放置しておくのは、どうにも気持ちが悪い。
だから、また別のヒロインを尾行してみて、データ集めなきゃいけない。
休み時間、廊下で目ざとく私を見つけたミキちゃんが、駆け寄ってきた。
「あのあの、佐伯先輩」
「はいはい、なんの御用でしょう。恋愛相談、ケンカ騒動、お悩みはこの情報屋佐伯佳奈が___
「もーっ! おトボケは無しですよ!」
ミキちゃんは、私の事務的な対応に、ぷくりと頬を膨らませる。こういう可愛い反応が見たくて、わざとからかっちゃうところもある。すまん、許せミキちゃん。
「ふふふ、冗談ですよ。それはそうと、私に何か用事がございましたか」
私が聞くと、ミキちゃんは急に周りをキョロキョロと確認して、横から私の頭掴んで引き寄せた。
まさか、キスでもする気? と一瞬思ったけど、耳打ちでのひそひそ話だった。そりゃそうか。
「佐伯先輩の情報収集に、ボクも連れて行ってほしいんです」
マヤちゃんが、私の情報収集(尾行)の事を知っているという事は、このみちゃんから聞いたんだろうな。
連れて行くか、という所は、まあ、連れて行ってもいいか。姿を見られても、連れ立って歩いてる友達、という姿に見えて、怪しまれないかもだし。
描画範囲から出たヒロインの近くに、別のヒロインが居た場合、どうなるかも見たいし。
「ええ、構いませんよ。ただし、あまり騒がないように、という条件付きではございますが」
「はい! 分かってます、静かにしてます」
ミキちゃんは、満面の笑みでうなずく。
大丈夫かな、割と不安だぞ。ええい、なるようになれ。尾行相手はさやかちゃんだ、見つかっても友達として許してもらえるだろう、多分。
********
という訳で、今日の標的は、さやかちゃん。
このみちゃんを尾行したのは、昨日の今日だから、警戒されてるかもしれない。
なんなら、気づかないフリをしてくれるかもしれない。このみちゃん、優しいし、案外ノリが良いからなぁ。
マヤちゃんは不可、ミキちゃんは一緒に居るから除外。桜子ちゃんは見つかった時のリスク(主に法的)が大きい。少なくとも、友達のじゃれ合いで片付けては貰えない。
そんな訳で、さやかちゃんを尾行することにした。
さてさて、今日は朝倉くんは一緒じゃないみたい。徒歩で校門を出る、さやかちゃんを後を付かず離れず、徒歩で追っていく。
校門を出てすぐ、一回振り返られたけど、私がミキちゃんに絡みつかれてるのを見たら、軽く笑って、また前を向いて歩いて行った。
尾行するには都合が良いけど、さやかちゃんは私達をどう思ったのか、変な勘違いされてないといいな。
そのまま歩いていくと、描画範囲外の境目にたどり着いた。
緊張の一瞬。マヤちゃんが居る事で、緊張感は無いけど緊張の一瞬だ。
さやかちゃんは、描画範囲外の境界に差し掛かると、案の定、境界を越えた部分から消えていく。前と同じだ。
一緒に物陰に隠れてる、ミキちゃんに目を向けると、特に不審がってる様子は無い。という事は、ミキちゃんには見えてるって事かな。
「ミキさんは、どう見ますか?」
なんとなくそれっぽい、いかにも熟練者が新人に教えるような質問をしてみた。
「どう見ましたって言われても、普通に歩いてるようにしか見えません」
「でしょうね。まあ、聞いてみただけですので、お気になさらず」
「も〜っ、からかわないで下さいよ」
とりあえず、ヒロインが描画範囲外に出ても、他のヒロインや主人公の目には見えているという事は確定した。
うーむ、やっぱりモブは辛いなあ。男性モブよりはマシだけど、範囲外だとヒロインの姿を見る事も叶わないとは。
「ミキさん、お手数ですが、橘さんをここに呼んできてもらえませんか?」
「ん〜? どうしてですか、あ、またからかってます?」
「いえ、からかっておりません。至極真面目にお願いしております。よろしくお願いいたします」
ミキちゃんは、怪訝な顔をしながらも、消えたさやかちゃんを追いかけていく。
さて、ミキちゃんが描画範囲外に出た時どうなるか。私と会ってるから消えないか、それともモブと一緒程度じゃ消えるか。
そうこうしてるうちに、ミキちゃんは描画範囲の境界を超えた。けど消えない、私とでも、イベントとして処理されているのか、それとも、さやかちゃんとのイベントが始まってるのか。
「橘先輩!」
「あ、ミキちゃん、佐伯さんと一緒じゃないの?」
ミキちゃんが声をかけた瞬間、さやかちゃんの姿が現れた。さやかちゃんに、後輩とのイベントが起こったから、見えるようになったと。そういう事なのかな。
はー、私もヒロインだったらなー。ステータスオープンして、その情報でセコセコ立ち回らなくても、みんなと交流が出来るのにな〜。
日曜に昼間からゴロゴロ〜、ゴロゴロ〜。あ〜、親父がディカプリオだったらな〜。