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💙青椒肉絲🧡
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#あべさく
うめぼし
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楪羽*yuzuriha*
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「ねぇ春菜。来月さ、3~4日まとまった休みをもらえることになったんだよね。だから一緒に旅行行かない?」
リビングのソファですごしていると、佐久間が手元のスマホを見つめながら、ひょっこりとそんな提案をしてきた。
「えっ、お休み? 大介、今すごく忙しい時期じゃないの?」
ここ最近、佐久間は映画の番宣や雑誌の撮影、レコーディングなど、まとまった休みが中々取れないでいた。
驚いて聞き返す春菜に、佐久間は
「うん、まぁね。 でも、来月たまたま何にもない期間があってさ。マネージャーとかみんなが『たまにはゆっくりしてこい!』って言ってくれたんだ」
ポンポン、と春菜の頭を撫でる。
しかし、それは半分が真実で半分が嘘である。
本当は、佐久間がメンバーに頭を下げ、YouTubeの出演予定を交代してもらったり、マネージャーにスケジュールをずらしてもらったりして勝ち取った、奇跡のような連休なのだった。
メンバーも「仕方ないなぁ」と笑いつつ、快く引き受けてくれたのである。
「でね、行き先なんだけど、まだ決めてなくて。……海外とかも、いいなって思ってさ」
佐久間は春菜の手をきゅっと握った。
「海外?」
「うん。海外ならさ、日本にいるときよりは、多少は軽装で街を観光できるかなって。顔は隠さなくちゃだけどね。どこで誰が見てるか分からないし、もしバレて騒ぎになったら、春菜にも、メンバーにも迷惑かかっちゃうから……」
一瞬、申し訳なさそうに眉を下げた佐久間が、「あ、髪色は普通の暗い色に染め直して行こうかな!」と、春菜を気遣うように明るく言った。
トップアイドルであることの不自由さを抱えながらも、自分との時間を大切にしようとしてくれている。
その優しさに春菜の胸は熱くなる。
「ありがとう。大介と一緒ならどこでも嬉しいよ!」
春菜が微笑むと、佐久間は照れたように笑った。
「行き先は、春菜が決めていいよ。どこか行きたいところ、ある?」
「え? うーん…。」
しばらく考え込む春菜。
うんうん唸りながら思案していたが「あ!!」と突然思いついたように顔を上げた。
「タイに行きたい!!」
「え、タイ? なんでまたタイ?」
佐久間が目を丸くする。
春菜は自分のスマホを操作し、検索して出てきた画像を佐久間の目の前に突き出した。
「来月は、コムローイっていうランタンを飛ばすお祭りがちょうど開催される時期なの! 何万個ものランタンが、夜空をふわっと舞うんだよ!? ほら、この画像見て! 本当に綺麗で……。私、人生で一度は自分の目で見てみたいって、ずっと思ってたんだよね!!」
「うわ、すっげぇ……! ラプンツェルの世界じゃん!」
興奮気味に捲し立てる春菜に、佐久間は一緒になって目を輝かせた。
「よし、行き先はタイにしよう! ……とはいえ、タイかぁ」
佐久間は春菜の熱量に嬉しくなりながらも、少しだけ考え込むように顎に手を当てた。
仕事では何度も訪れたことがあり、現地ファンの熱い熱気も知っているタイ。
けれど、いつも空港とステージとホテルの行き来ばかりで、ゆっくり観光する余裕なんてほとんどなかった。
だからこそ、プライベートで訪れるには情報が足りない。
「となると……」
数日後、Snow Manの楽屋。
「そんなん、俺も着いていくしかないやんけ!!!!」
佐久間からタイ旅行の話を聞いた瞬間、向井が楽屋の椅子をガタァッと鳴らして立ち上がった。
「いや、なんでだよ、やだよ」
佐久間は即座に、1ミリの迷いもなく真顔で拒絶する。
「なんでよぉぉぉ! 俺も行きたいぃぃぃ! さっくん、冷たいわぁ!」
駄々をこねる向井の頭を、隣を通りかかった岩本が雑誌でポンと叩いた。
「康二、諦めろ。お前が行ったら2人の旅行の邪魔」
「照兄までぇぇぇぇ!!」
向井は天を仰いで絶叫する。
「俺連れてったら、タイの案内完璧にすんのに! タイ語もしゃべれるし、美味しい店も知っとるし、ええ働きすんで、俺!」
「まじ邪魔」
「辛辣ぅぅぅぅうううう!!!!」
佐久間の徹底した塩対応に、向井はソファに「わっ!!」と嘘泣きしながら突っ伏した。
「初めての彼女との旅行に、お前を連れてってたまるか」
佐久間が呆れたように言うと、その様子を見ていた他のメンバーたちが、ケラケラと笑う。
ひとしきり泣き真似をした後、向井は顔を上げて、少し嬉しそうに微笑んだ。
「……まぁ、しゃあないな。でも、初めての旅行にタイを選んでくれて、それだけで俺はなんか嬉しいわ。春菜ちゃんなかなかセンスあるなぁ」
そこからの向井は、さすが「タイのプロ」だった。
「いい部屋泊まりや? あと、夜市行くならここが絶対おすすめ! このフードは絶対食べてな、めっちゃ美味いから!」と、スマホのマップを開いて、おすすめのスポットや絶品グルメの情報を次々と佐久間に叩き込んでいく。
佐久間はそれを真剣にメモしながら、満面の笑みを浮かべた。
「ありがとう、康二! マジで助かるわ!」
「ええよー、さっくんと春菜ちゃんのためやしな! 楽しんでおいでや!」
向井はガバッと佐久間に抱きついた。
そして旅行当日。
二人は日本を飛び立ち、約6時間の快適な空の旅を経て、タイの玄関口であるスワンナプーム国際空港へと降り立った。
飛行機の扉が開き、ロビーに出た瞬間、日本とは明らかに違う、南国特有の熱気とエキゾチックな香りが全身を包み込む。
「「タイだーーーーー!!!」」
二人は声を揃えて快哉を叫んだ。
佐久間は事前の宣言通り、髪を落ち着いたダークトーンに染め直し、大きな黒縁メガネとバケットハットを深く被っているけれど、その全身から溢れ出るワクワク感は隠しきれていない。
「海外の匂いがする!」
「俺、いつもすぐ車移動だったから、なんか新鮮だわぁ」
到着早々、修学旅行生のように大はしゃぎする二人。
止まらないワクワク感を胸に抱きつつ、まずは電車で予約していたホテルへと向かうことにした。
到着したホテルは、バンコクの喧騒から少し離れた、チャオプラヤー川沿いに佇む、綺麗で風情のある素敵な隠れ家ホテルだった。
オリエンタルな木目調の家具と、白いリネンが美しい広々とした客室。
部屋に入るなり、春菜は荷物を放り出して大きなベッドへと飛び込んだ。
「ふかふかーーーー!」
「うわ、最高じゃんここ! さすが康二のオススメだな」
佐久間も春菜の隣にドサッと横たわり、天井を見上げて幸せそうに息を吐いた。
しばらくお部屋のバルコニーやアメニティを見て回る「ホテル探検」を楽しんだ後、二人は少し早めの夕食をとるために、近くの賑やかな屋台街へと繰り出すことにした。
日が落ちると、昼間の暑さが少し和らぎ、代わりに屋台のカラフルな電飾が街を彩り始める。
あちこちから香ばしいナンプラーやスパイスの香りが漂い、活気に満ちた現地の人々や観光客で溢れかえっていた。
「大介、これ食べてみて。向井くんがオススメしてくれたパッタイ美味しい!」
「ん! うまっ!! なにこれ、日本のタイ料理屋さんで食べるより全然美味い!」
プラスチックの椅子に座り、ローカルな雰囲気を全力で楽しむ。
並んだ屋台をのぞきながら楽しく食べ歩きをしていた、その時だった。
前方からトトトッと走ってきた、5歳くらいの男の子が、キョロキョロと辺りを見回した拍子に佐久間の足元に勢いよくぶつかった。
「おっと! ……うん? ごめん、大丈夫か?」
佐久間がとっさに男の子の身体を支える。
男の子は涙目で佐久間を見上げたが、彼の顔を見るなり、わっと泣き出してしまった。
「พ่อของฉันหายไปไหนสักแห่งแล้ว!!(お父さんがどこかに行っちゃった!!)」
「うぇえ!? な、なんて言ってんだ……!? ごめん、俺、言葉分かんなくて……!」
突然現地の子に泣かれてしまい、佐久間は両手をアタフタと動かしながら完全にパニックに陥っている。
そんな佐久間の後ろから、春菜がひょっこりと顔を出した。
「ん? 迷子かな?」
男の子の前にしゃがみ込んで目線を合わせる春菜。
男の子の涙をそっと拭いながら、優しく微笑みかけた。
「คุณกำลังตามหาพ่อของคุณอยู่หรือเปล่า?(お父さんを探してるの?)」
迷いなくスラスラと流暢なタイ語を紡ぐ春菜。
「……え?」
その声を真横で聞いた佐久間は、びっくりしてフリーズする。
男の子は春菜の言葉にコクコクと頷き、泣きじゃくりながら何かを一生懸命に訴えている。
春菜は「うん、うん」と優しく相槌を打ちながら話を聞き、ちょっと考えたあと、男の子の手を引いてすぐ目の前にある屋台のおばさんに声をかけた。
何やら現地の言葉で状況を説明する春菜を、佐久間は目をぱちくりとさせて、ただ呆然と見つめている。
すると、屋台の女将さんが春菜の肩を叩き、笑顔で2軒先を指さした。
「ฉันรู้จักเด็กคนนี้.เด็กคนนี้มาจากแผงขายของถัดไปสองแผงค่ะ.ตอนนี้ พ่อของเด็กคนนี้กำลังออกไปจัดหาสินค้าอยู่(この子なら知ってるよ。2軒先の屋台の子だ。今、父親は仕入れをしに出かけてるだけだよ)」
それを聞いた春菜は、ホッとして男の子に向き直った。
「เยี่ยมไปเลย! ถ้าคุณรออยู่ที่ร้านขายอาหาร พ่อของคุณจะกลับมา!(よかったね! 屋台で待ってたら、お父さんすぐ帰ってくるって!)」
男の子はパッと顔を輝かせ、涙を拭って元気よく頭を下げた。
「ขอบคุณนะพี่สาว!(ありがとう、お姉さん!)」
「ใช่ ระวังด้วยนะ!(はーい、気をつけてね!)」
笑顔で手を振る春菜。
男の子はトトトッと元気に駆けて行った。
それを見届け、春菜が「ふぅ、よかった」と立ち上がると、隣にいた佐久間が、完全に魂が抜けたような顔でぽかんと彼女を見ていた。
「……え、春菜、って……タイ語話せたの?」
「え? うん。ちょっとだけだけどね」
春菜が何気なく答えると、佐久間は「いやいやいや!!」と激しく首を振った。
「ちょっとどころじゃなくね!? 今の完全にペラペラだったじゃん! え、何、春菜ってバイリンガルってこと!?」
「うーん、正確に言うと、ペンタリンガルって言うのかな? 日常会話程度なら、5ヶ国語喋れるよ」
「はぁ!? え!? ご、5ヶ国語ぉ!?」
佐久間の声がひっくり返る。
あまりの衝撃に、彼は自分のキャップを少し持ち上げて春菜の顔を凝視した。
「うん。えっとね、日本語、タイ語、英語、ドイツ語、中国語かな。昔、留学とか仕事の関係で少し勉強したんだよね」
佐久間は呆然と固まってしまった。
脳内は完全にパニック状態だ。
思考がまったく追いつかない。
「…… 你好(こんにちは)」
混乱する頭の引き出しを必死に引っ張り出し、とりあえず自分が知っている中国語を恐る恐る呟いてみる。
「此时的问候语是“晚上好”(今の時間は『こんばんは』だけどね)」
流暢な中国語で返す春菜。
佐久間は再び絶句。
「……How are you?(気分はどう?)」
次は英語で聞いてみる。
こんな教科書1ページ目に乗ってる英文しか出てこない自分が情けない。
春菜はクスッと笑って 一歩佐久間に近づき、したから覗き込むように目を合わせて言った。
「It’s so much fun having you next to me.(隣に大介がいるから、とっても楽しいよ)」
発音まで完璧。
まるでネイティブのようだ……。
いや、なんて言ってるかわからんけど。
タイ語、中国語、英語も話せる。
あとはーーー
「……ごめん、ドイツ語は俺が知らない」
「あはははは!!!」
夜市の賑やかな喧騒の中、春菜の笑い声と、佐久間の狼狽えた顔が溶けていった。
最高に楽しい旅行の幕が、今鮮やかに上がったのだった。
コメント
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るるさん、第21話読みました…!✨ タイ旅行、めっちゃいいですね…!佐久間くんがこっそりスケジュール調整して春菜さんのために頑張ってるの、すごく伝わってきました…。康二くんの「俺も行く!」→「まじ邪魔」の流れ、思わず笑っちゃいました😂 そして何より、春菜さんの5ヶ国語!夜市で迷子の男の子にタイ語で話しかけるシーン、めっちゃかっこよかったです…。佐久間くんが「…你好」って中国語試すところも可愛くて(笑) 二人の雰囲気がすごく自然で、一緒に旅行してる気分になりました。次も楽しみにしてます🌙🤍