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ころんくんの家のドアが開いた瞬間、
昨日と同じ匂いなのに、空気が違った。
【あっきぃ】「……?」
玄関に、見知らぬ靴がある。
ローファーやスニーカーでバラバラだった。
一瞬、足が止まる。
【ころん】「あ、ちょうどいいところに」
【莉犬】「帰ってたんだ」
あっきぃ(……知ってる人、なの?)
二人について行ってリビングに入る。
そこには、年上っぽい人や同じくらいの人がいた。
【莉犬】「たっだいまー!」
【ころん】「疲れたー」
【ななもり】「おかえり、2人共」
声が落ち着いてて、ちょっとだけ安心する。
俺に気がついて、優しく微笑んで話しかけられた。
【ななもり】「こんばんは!俺はななもり。大学生だよ」
【あっきぃ】「……あっきぃです」
自然に頭が下がった。
次に、髪の明るい人。
【さとみ】「俺、さとみ。高3だ」
【ジェル】「ジェルやで。高2でーす」
あっきぃ(関西っぽいイントネーション…)
【るぅと】「るぅとです。中学3年生です」
全員、ころんのほうをちらっと見る。
【ころん】「あっきぃ、僕と莉犬の兄弟だよ!」
あっきぃ(あぁ…)
その一言で、少し繋がった気がした。
【あっきぃ】「……お邪魔します」
ソファに座ると、背中が沈んだ。
あっきぃ(……人、多い)
でも、誰もじろじろ見てこない。
【ななもり】「聞いたよ」
【あっきぃ】「…え?(ドキッ」
【ななもり】「今日は、帰る場所を迷ってるって」
【あっきぃ】「……はい」
否定しなかった。
否定できなかった。
【さとみ】「無理に説明しなくていいから」
【ジェル】「今日はな」
【るぅと】「ここにいていいかどうか、だけで」
【あっきぃ】「…はい」
【ななもり】「……でさ」
テーブルに手を置いて、ななもりさんが言う。
【ななもり】「提案がある」
【あっきぃ】「…はい」
体が、無意識に固まる。
【ななもり】「一晩とか、数日とかじゃなくて
一緒に住むって選択」
頭が、追いつかない。
【あっきぃ】「……え?」
【さとみ】「急なのは分かってる」
【ジェル】「せやけど、帰るのがつらい場所なら」
【るぅと】「別の場所を、生活の拠点にしてもいいと想います」
【莉犬】「無理なら、断っていいよ」
【ころん】「選ぶのは、あっきぃだからね」
“選ぶ”
その言葉が、胸に残る。
【あっきぃ】「……迷惑、じゃ」
【ななもり】「ないよ(即答」
【さとみ】「ここ、余ってる部屋あるし」
【ジェル】「人数増えてもそんな変わらんよw」
【るぅと】「……静かな日も、多いですよ」
笑われない。
責められない。
【あっきぃ】「……俺、っ…」
【あっきぃ】「ちゃんと、いなくならないですか」
自分でも、変な聞き方だと思った。
【ななもり】「いなくならないよ」
【ころん】「僕らがいる」
【莉犬】「勝手に消えたりしないよ」
胸の奥が、じんわり熱くなる。
しばらく、考えた。
家のこと。 兄弟の顔。
昨日の夜。今日の放課後。
【あっきぃ】「……少しだけ」
声が震えないように、ゆっくり言う。
【あっきぃ】「考える時間、もらってもいいですか」
【ななもり】「もちろん」
【さとみ】「今日は泊まるだけでも」
【ジェル】「全然ゆっくりで」
【るぅと】「急がなくて大丈夫です」
【ころん】「今日は、一旦休も」
【莉犬】「決めるのは、明日でも大丈夫」
俺は、深く息を吸った。
【あっきぃ】「……ありがとうございます」
あっきぃ(……ここ、逃げ場じゃない
……選べる場所だ)
そう思えたのは、初めてだった。