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栗東高校(くりひがしこうこう)の一年生。日高歌蓮(ひだかかれん)は遅刻魔だ。今日も時間になっても来ない…全く…。
「ぐぅ…かぁ…」
ベットの上で寝息を立てて眠っている。
「歌蓮!もう時間よ!早く起きなさい!」
そんな怒声が聞こえても私は寝る。学校なんて……。
「はっ!」
私は突然飛び起きる。学校なんてことすっかり忘れてた…。私は家中をかける。急いで制服に着替える。顔を洗ったり、寝癖なんか気にしてる場合じゃない!私は紺色のスクールバックを持ち、食パンを咥え、玄関で黒い靴を履く。そして、「いってきまーす!!」と大声で言うと奥から薄っすらと「気をつけなさいよ〜」という母親の声が聞こえた。ドアを乱暴に開け、外へ飛び出す。広い庭を通り過ぎすぐ左を曲がる。そのまま一直線に進む。そして、すこし走って佐藤さんの家の石堀を超える。その時。
ドシーン!!
私はその場で尻もちをついた。
「いてて…」
どうやら私は左の道を走っていた男子高校生とぶつかったようだ。
「ごめんなさい…!歌蓮…」
「…いいのいいの」
私はとっさにそのぶつかってしまった男子高校生に謝った。
というか…私、少女漫画みたいな展開に…!!
いつものように遅刻している私でもこんな経験初めてだった。まるで少女漫画のような展開。
でも一つ不思議な事がある。なぜ彼は私の名前を…?
私は男子高校生の顔を見るものの心当たりはない。強いて言えば右目の下の方にあるほくろだろう。小学校のとき仲が良かった男の子と似ている。でもそんな奇遇はないと私はその案を切り捨てた。
「立てます?」
「あ…うん大丈夫」
突然いわれた質問にドキドキする。慌てて私はそれを断り、立ち上がった。
二人は目線を左側の側溝の方にやる。そこには私が朝咥えてきた食パンがあった。
「すいません!まじで!俺、弁償しますよ!」
それを見た瞬間、男子高校生は焦ったのか弁償するといい出した。
「いいって」
「い〜や俺弁償しますって!それか昼、購買部でも買いに行きましょうか?」
「いいいい。急いでて周りをみてなかった私も悪いし」
どうしてもお礼をしたいのか男子高校生は何度も懇願する。
「ちょっと急がないとだから行くね」
私は逃げるようにその場からそそくさと立ち去った。
タッタッタッ
駆ける足音が空に響く。現在時刻はすでに朝会の時間を超え8:30程だった。私は後ろを向く。私と男子高校生がぶつかったところで男子高校生が私が落とした食パンを呆然と立ち止まって見つめていた。
私はそれに構うひまもなくすぐに前を向いた。そして学校へ駆け足で向かった。
薄汚い茶色の校舎の中へと入る。私が来た頃すでに門に先生はおらず門も閉まっていた。私はそれを難なく飛び越え敷地へと入った。校舎内の長い通路には人っ子一人いない。当たり前だ。もう一限目の始まりの時刻なんだから。
キーンコーンカーンコーン
一限目の始まりを合図したチャイムが校舎内に響き渡る。私は大急ぎで校舎の奥へと駆けてゆく。
ガラガラ!
私は1年C組とかかれた教室の戸を思いっきり開け中へと入った。
「日高!今日で10度目だぞ!次遅刻したら謹慎にするぞ?」
クラスメートの目の前で担任の加藤先生は私に向かってそう叫ぶ。その瞬間クラス中は笑い声に包まれた。まあこれも日常茶飯事。私は席につき、教科書とノートを取り出して何事もなかったかのように授業を受けた。
私の前の席。そこには誰も座っていなかった。そういえばそこは昨日まで私の席だったような……。
私はまあいいやそう思い再び授業を受けた。
私は昔から数学が嫌いだった。小学校の時の算数の掛け算割り算のテストは40点。親からは思いっきり怒られた。その時私は泣きわめいた。怒っている母に助けを求めたぐらい。怒られることもとびきり嫌いだった。あとは私のせいで相手が困ったり、迷惑かけてしまうことも嫌だったから極力人とは関わらずにしてきた。そのせいか今私は陰キャ。人見知り。まあ生きていければいいんだけどね……。
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怒られたね