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キーンコーンカーンコーン
授業の終わりを告げたチャイムが校舎内に響き渡る。その時。
ガラガラ!!
そうこのクラスの戸が乱暴に開けられた。
「……えっ!?」
私は思わず大声で驚いてしまった。その戸から出てきたのは今朝ぶつかった男子高校生だった。
「おせーぞ!!鳥島!」
「すいません!!」
叱られた男子高校生は大きな声で謝る。そして男子高校生は教卓の前へやって来て自己紹介を始めた。
「今日からお世話になります鳥島伊織(とりしまいおり)です!よろしくお願いします!名古屋からやって来ました!」
クラスメート全員の目を引く。彼には独特のオーラでもあるのだろうか。
「さあ鳥島は日高の前の席に座ってくれ」
「はい」
言われるがまま鳥島は私の前の席にやって来た。
「歌連?お前、この学校なんだな……さっきマジでごめん!!だからこれ。何もいらないっていうからせめてでも」
私に馴れ馴れしく接する鳥島は私の机の上に小さな缶コーヒーを置いた。
「これがなんですか?」
「お礼です。どうぞ」
コーヒー飲めないんだが…私はそっとスクールバックにその缶コーヒーを入れ次の授業の準備をした。
キーンコーンカーンコーン
二限目はHR(ホームルーム)。私はいつもその授業の時は寝て過ごしている。加藤先生には怒鳴られるが……。
私の腕を枕にして目を瞑る。そうすればこの時間はあっという間に終わる。って思ってたけど……。
「歌蓮、ここ教えてくれない?」
前の席の人がうるさい。ほんとに黙ってくれないかな…。というか私彼のこと知らないし。
購買部で買った焼きそばパンとクリームパンを口いっぱいに頬張る。昼休み、私は自分の机でその昼ご飯を食べていた。この時間、鳥島はいないためとても気楽だった。
隣にあるガラスの窓からはギラギラと輝く太陽が見える。その日差しのせいで教室はとても暑い。この、窓側の席はエアコンがなかなかあたらないため体温は上がり続ける。まだ5月だというのに。
「か〜れん!」
私の肩をポンと優しく叩いたのは私の唯一の親友。古川陽香(こがわはるか)。小学校の時から仲が良い。今年は残念ながらクラスは一緒にならなかった。
「陽香!びっくりした〜またあの男かと…」
「男?そんな人いるの?もしかして…歌蓮の…!?」
「そんなわけないじゃん!友達でもないし」
「あっそ〜…」
私と陽香はくだらない話をした。私が昼食を食べ終えると私達はとあるところへ向かった。
「これからどこいくの?」
「私、部活決めた。そこに行くの」
私はまだ部活は決まっていなかった。そのため部活を決めた陽香は羨ましい。
「何の部活?中学はバスケだったよね?」
「うん。でも今回は演劇部に入ろうと思うの。先輩に勧められてさ。ビジュいいからって。歌蓮も入れば?絶対楽しいから!」
「う〜ん…先輩って…仲いい人いたの?」
「入学式のときに仲良くなったの。三年の角川紬(かくがわつむぎ)さん。とっても優しいの!それで、美人さん!もうね〜国宝級!」
楽しそうに角川さんのことを話す陽香。演劇部は自分的に嫌だった。私の人見知りが発動して劇本番にちゃんとできないかもしれないから。そのせいで責められて……。
「やだ…かな?」
「うん…ごめんね誘ってくれたのに」
「いいのいいの。強制じゃないし。やりたくないのやってたってつまんないしね」
「うん…」
「あっ!じゃあさ〜ミステリー研究部は?今年新設されたんだって!」
「ミステリー研究部?」
私は初めて知った。そんな部活がこの高校にあるなんて。
「そう!色んな物語作ったり、謎解きゲームを公開したりとか。特に大会もないし人前で話すっていう機会ほぼないからいいんじゃない?」
そう聞いた時私にピッタリそう思った。部活に入るならどこでも良かった。親に絶対入れと言われているだけだから。特に指定はない。
「部員数はどれくらい?」
「三年が3人、二年が1人、一年が3人だって」
「少ないってわけでもないか…」
「だね。じゃあ私、部室行くからじゃあね!」
ニコッとさせた笑顔をこちらに見せて陽香は部室に向かった。私は近くにある自販機で四角いパックの牛乳を買い、自分の教室に戻った。教室は閑散としておりとても静かだった。当然、人はいない。いつも通りだ。いつもこの空間で一人、静かに本を読んでいる。でも今日は違った。ミステリー研究部の人を探す。私はその部活に入ることを決心した。
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