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ミチルさんの描く小説は優しい世界✨
まさかの経験済みのあべべ💚そしてこの展開は…
もうすぐ完全下校時間だ。今日やりたい事はだいたい終わったので、机を片付けて大きく伸びをした。
目黒くんからのメッセージカードが目に入る。いや、見てしまう。
ちょっとだけ視界がぼやけて歪んだけど、少し座ったら良くなったから帰宅した。
部屋に入って、目黒くんからのメッセージカードを何度も読む。
まっすぐな想いが嬉しくも怖かった。
もうあれほどの恋をする日は来ないと思っていたから、自分の気持ちが揺れていることにも戸惑う。
💚(ふっかは前を向けてるって事だって言ってたし、翔太もいい恋になるって言ってくれた)
💚(でも、踏み出せないのは……)
まだ心に彼がいるから。
身体も彼を覚えているから。
彼が高校を卒業した日、俺の部屋で2人でお祝いして、そのまま1つになった。
全然気持ちよくなかったけど、泣けるほど幸せだった。
そしてそれが最後のデートになってしまったから、尚更あの時の彼の表情も、触れてきた手も、重ねた唇も、とにかくあの瞬間の全てが俺の心の奥深くに綺麗な思い出として刺さったままでいる。
それはずっと大切に持っておきたかったのに、目黒くんが俺の前に現れた日から少しずつ変わっていった。
目黒くんはまだ俺の外側の部分しか見ていないにも関わらず、彼のためならこの思い出が薄れてもいいと思い始めている自分と、それに気持ちが追いつかない自分とがいた。
💚(もう、こんなに考えてるって事はきっと好きなんだ)
どうか、目黒くんがこんな俺を知って幻滅しませんように。
そんな事を思いながら眠りについた。
翌日は起きたらまた少し目眩がしたけど、朝ごはんを食べたら動けるようになったので学校へ行った。
夕方、練習を終えたラグビー部の部員たちが予算の相談に来た。
大会で結果を出すでもないのにやたら予算を増額したがり、素行も良くないのでいつも理詰めで追い払っている。
普段はこっちも複数人だけど、今日はみんな帰してしまったから1人だ。
いつも通り対応していたけど、俺が1人なものだから向こうもゴリ押しの姿勢でヒートアップして机を叩いたり蹴ったりし始めた。