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第五話・上 会いたい
「で!だねぇ、、、いろいろ“条件”があるん、で、す、がぁ〜、、、」
ゴンッ。
少し痛い。アキに殴られた、、、
「こらっ!大事なことなんだからちゃんと話しなさい!」
「はーい」
うぅ、、、
わかるけど拳骨はしなくていいじゃん!
アキを見たら睨まれていて、
(また暴走したお前が悪い)
って思考で怒られた。
- あ、、、
今度は諭すような目で、
(お前が頼んだんだろう?)
- ふふんっ!
そっか。私のためか!
じゃあね?ちゃんとしよう!
「まぁざっくり言うと私の正体を詮索しないで欲しいというか、私を人間だと信じて欲しいっていうか、、、」
千葉が残念なものを見る目をしながら、
(だいぶ、無理がないか、、、?)
って思考が漏れ出してた。
- だよねぇ、、、
*
*
*
▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼
*
*
*
ちょっと前に街で偶然、見かけた?っていうか感じた。
狐道で見かけた人間と、似た霊力・霊格の人間を
もしかしたらもしかするかも!ってアキに話したら、複雑な表情をされた。よくわかんないけど。
まぁそれでね。鬼海なら知ってそうって思って問い詰めたら、案の定の大当たり。依頼も引き受けることにはなったけど、まぁいい。
千葉を、ようやく見つけた。
それからは長かった。けどつい最近、鬼海から連絡が来た。三日後に来ると。つまり今日。
ようやく会える。そう思ったのに、、、
全然来ない!
家の住所まで問い詰めるべきだった。
もう日が暮れたぞ、、、?本当に来るのか?
ああ!遅い!遅すぎる!もう待ちくたびれた!!こんなに遅いなんて聞いてないぞ!!!
もういっそ病院に突撃して喚き散らしてしまおうか。
そう思った。ちょうどそのとき
ガチャ、ギィーーッ。カランカラン。
下から聞こえてきた来店の鈴。アキの声。それからあの男の声。
- 狐道で見かけたあの光景
私と一緒に歩いてたあの人間
そいつの声だ!!
覚えてる!!
きっとそうだ!!
よし!!!!
「来たな!!!!」
- ようやく!
ようやくだ!!
あの不確かな未来に!!
焦がれたあの未来に近づいた!!!
寝転がっていた姿勢から、飛び起きた。
積まれた漫画が崩れ落ち、缶ビールが小さくない音を立てて転げ落ちる。でも気にならない。気にしていられない。
赤い羽織りをハンガーから掴んで袖を通し、駆け足になりかけて
- おっと!
まずは見た目を整えないと。鏡を見て少し髪を整える。第一印象が肝心だよね。
- ああ、でも、待ちきれない
切望したあの未来
未来で見たアイツ、に、会える
鬼海にはなんて言われた?イナリには神だったとバレるなって言われたな。だから契約をするんだ。私は学んだんだ。あ!そうだ!鬼海は、千葉なら『特別な景色でも見せればいいんじゃない?』って言ってた!こんだけ待たされたんだ!千葉には先出しで僕の記憶を見せてやろう!!なにがいいかな、、、
軽い支度を急いでこなし、
それ以上の速さで思考が回る。
気がつけば階段を降りていて、、、
- いた!!
あいつだ!!!!
やっと、、、
やっと会えた!!!!
*
「会えて良かった」
*
「、、、本当に、、、こうして話せているってことは、、そうだよね!うん!近くで見ても間違いないのだ。ああ!!」
- やった!!
あれ?でも、なんか、、、違う?
見た目も声も、、、同じ、、、じゃあ霊格?、、、そうだよ!霊能力だ!!狐道で見たアイツに比べて弱い、、、なんでだ!?でも正体はバレにくいし、都合がいい?、、、うん!いいや!
「ん?あぁ、、、あ!“これ”が言ってたやつか。まぁいいですかね」
- 鬼海が言ってたやつか。
確かにアイツには無理だな。
煩わしい、が、まぁいい。
契約の恩恵に使えそうだしな!
いや、ほんとうに都合がいい!!
*
*
アキに怒られた。でもいい。これくらい。
そうだ。アキに言おう!!
「ようやく会えたんだ!鬼海のとこにいた!」
「そう、、、なのか。よかった、、、な」
(候補じゃなくて本物だった、か)
「アキ!ねぇ、アキ!やっと会えたんだよ!これでようやく!あの未来に、、、」
「落ち着きなさい」
「でも!だって!」
(バレるぞ?)
「うぅ、、、」
「まず、ちゃんと説明をしなさい!」
「ウチで働く!!」
「は?」
「鬼海のとこの患者だったの!だから貰った!」
「はぁ!?!?」
(ざけんじゃねぇよ。ちゃんと説明しろ!!)
*
*
(やっぱり“契約”するのか?)
(お前のポリシーに反するんじゃないか?)
だけど!!
オレは、、、私は!人間と思われたい!
(はぁ、、、わかった)
「ナギ。だったら相手の話をちゃんと聞きなさい。そして目の前の相手をしっかり見ろ」
「わかった、、、」
*
- まずは落ち着いて〜
「ねぇ〜酷いと思いませんか?」
(お前の口調の変化の方が酷いわ)
「それよく言われんですよねぇ」
- でも、面白いじゃんね?
それにボクは覚えてる
時代は変われどアイツらのことを、、、
絶対に忘れない
*
*
( コイツは、なんだ?)
「だからだからだから!人間だって言ってんじゃない!?」
- なんでわかってくれないんだよ!?
神威が暴発した。そして受ける
“罰則”
*
ああ!!もう!!なんでだ!?!?
我は!俺は!人間だって!!
言っておろうに?!?!
なぜに話が通じんのだ!!!そして!
こんなにも、つまらない男だったか!?
期待を返してくれよ?なぁ?
なんでここまで生に希望がないんだ?!
あぁ!そうだ!じゃあ!
死後の世界を見せてやろう!!
*
「もういい!!話が進まんけぇ!!そうだなぁ、、、地獄!地獄ならば多少はまぬがれるし、、、おい!千葉!」
「あぁ?」
「“取り引き”です。面白いものを見せてやるから、吾輩がする話を信じろっ!!」
(意味わかんねぇ)
- この凡愚が!
「おまんが今までしたことはないであろう‘体験’を、僕が、させて、あげる、って言ってるんだ」
- さぁ、、、どうする?
目が合った。
千葉の瞳に熱が、火が、灯った、宿った?ように、私からは見えた。
思考じゃなくて視覚から、、、
だから、聞いた。
「見てみたいか?」
(見てみたい)
- よし
「ならば了承するが良い」
「わかった」
- いいだろう。とくと見よ!
*
*
*
“罰則”
うがっ!あ“あ”あ“あ”!!
あああああああああああ!!!
グゥ!くっっっっ!!!っっっそ!!!
っっっっってぇ!!!あ“あ”あ“あ”!!
全身に響く雷みたいな痛み。自業自得とかうっせぇ!わかってる!我が制定した“禁則”をボク自身が破ってる!わかってる!!うっせぇなぁ!!いい加減にしろよ!!クソッタレ!!
*
*
「ちっ」
あれは契約にはならなかった。私がしようと思ってた本来の契約じゃなかったからいい。でも、くそ、、、いてぇ、、、
先走りすぎた、、、どの禁則だ?頭がまわらん。
- まだいてぇ、、、
*
「はぁ、、、」
「大丈夫か?」
アキが水をくれた。
霊力は千葉と繋がったまま。
まだ地獄を見てるな。
- あの姿を見られずに済んでよかった。
「大丈夫大丈夫。あははは」
「馬鹿野郎」
「ごめんね。でも今は千葉を見ないと」
「当たり前だ。なんでこんなことをした?地獄を見せるなんて、、、」
「でも鬼海が、、、あいつも来るの遅かったし、、、」
「精神崩壊してもおかしくないんだぞ!ちゃんと人間を理解しろ!早く見守れ!危なかったらすぐ戻すんだぞ!」
「うっ、うん!!」
慌てて目を閉じる。意識する。
千葉と繋がった霊力から、思考を読み取る。
|
|
- ってあれ?“冥境”まで見てない!?
そうだ!地獄の真上にあったや!!
忘れてた!!
やばいやばいやばい!!
早く切らなきゃ!
- あれは、さすがに、壊れる!!!!
- 、、、ん!?
- 順応した!?!?
- こいつ意外とオモシロ!
- え、描く?
地獄をか?
なに?憧れ?
意味わかんねぇ!ぶっとんでんな!!
- ってかウチの感情丸見えやん!
はずっ!うわ!!
え、どうしよ、、、やめたい、、、
でも必死だしなぁ、、、うぅ、、、
がまん、、、がまん、、、
*
- あ!そういえば!
トカから視線を感じたんだった!
それで目が合った時だ!!
ってかアイツ、千葉の視線に、、、
ああ!アレってそういう、、、じゃない!
- まじやばい!
- トカはやばい!!
人間には危ない!!!
今度こそ本気で壊れる!!!
早く切ろう!!!
ごめんね!!
|
|
プツンッ。
千葉との霊力のつながりを切った。
そしたらすぐ
(描きたい)
(描かなければ)
思考を見ようと意識していたおかげで、霊力の切断後も大量の思考と感情が流れてくる。
これは欲求や煩悩ってよりも執念だ。
「はは!マジで面白れぇなコイツ」
私がずっと待ってた男。千葉詩生《ちばうたき》
最初は期待外れと思ったが、地獄を見せてから、うん、一変したねぇ、、、
“罰則”は計算外だったけど、まあ、うん、まぁいい。いいんだよ、、、
考えなしとかじゃないもん。うん!
地獄を見せようって思ったのは、うん、一応ね?思いつきだったけどね。そこは良い判断って認めてもいいかな。だって、、、
- 見せてよかった!!
期待ハズレは撤回しないとなぁ、、、こんなヤツだとは思わなかった。表層だけじゃなくて奥まで見てみたいな。
- アイツは何を抱えてる?
っていうかトカの言った通りになってんじゃん。アイツまじなんなの!?意味わかんない!
「はぁ、、、」
嫌でも勝手に記憶が蘇る。
確か、地獄の視察、千葉に見せた記憶のちょうどあとだったような、、、冥境、この時は“冥廻境”だっけ?どうでもいいか。
なんか目が合った理由を聞きに行ったんよね。
*
*
*
「お主、先程の記憶を、いつか誰かに見せるじゃろうな」
「来てそうそうなんなのさ!?」
「見せるならつまらん“ぬるま湯”じゃのぉて“ここ”でよかろうに」
「いやどっちも見せたいと思わないよ」
「なぜじゃ?美しいじゃろぉ!」
「トカはね、、、」
「つれないのぉ。そもそもの話、お主が、己の意思で、ここに来たんじゃろぅ?滅多に来ないお主がな。別に本座には関係ないことじゃがのぉ」
「うっせぇなぁ!いいじゃん!!べつに!!」
「大方、あの愚物に嫉妬でもしたか?羨望の裏返し、じゃな。阿呆らしい正義感が先走ってる愚物と違って、お主は、本当に、かわいいのぉ」
「もう帰る!!」
「わかっておろうな?図星というやつじゃぞ。ほんに愛いやつじゃのぉ。よいよい」
「さっきからなんなのさ!」
「本座はのぉ、、、
お主の欲望を肯定している。それだけじゃ」
「そう、、、じゃあ忙しいから帰るね」
「いつでも来い」
「出来たら」
*
*
*
トカは最後まで微笑んでたな。邪悪に。
- 本当に意見が合わない
欲望を肯定している?
トカにされてもな、、、
でも
懐かしい。いっつも偉そうなんよねぇ。妙に色っぽい服ばっか着てるし、、、目のやり場に困る。そのくせ距離が近いし、、、特にあの燃え盛るルビーみたいな瞳。やっぱり苦手。
うん。
でもいろいろ思い出してきた。
真っ赤な髪を豪勢に結って、
いっつも寝そべって、冥境を眺めてる。
無茶苦茶に派手で豪奢な城の天守閣で。独り。
うん。
イナリとは大違いだ
うん!
なんか猛烈にイナリに会いたくなってきた。
- あぁ、、、
コメント
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いやあ、待ち望んだ再会のシーン、すごく熱がこもってましたね。ナギの「会えた!」っていう高揚感と、実際に対面したときの「あれ?思ってたのと違う?」っていうギャップに一気に引き込まれました。それでも地獄を見せた後の千葉の反応——“描きたい”——であの執念、これは確かに「面白れぇ」になりますね。伏線としてトカの存在も気になるし、罰則の痛みを経てもなお前のめりなナギの心情がよく描かれていて、読み終えて「もっと知りたい」と思わせる巧みな魅力のある回でした。