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「こほっ!こほっ!!!」
私は咳をする。
「大丈夫でございますか!?
マリーナ様!」
サリーが言う。
「大事ない。
小青竜湯を飲めば治…こほっ、こほっ…」
私は自分で小青竜湯を処方して飲んだ。
ベッドに入り、一晩寝ればすっかり良くなっているだろう、そう思っていた。
しかし、次の日も、また、次の日も、咳は治らなかった。
「サリー…」
「はい!
何か温かい粥でも…」
「よい。
そなたは、この部屋に近づくな。
サリーだけではない、ミモザもレイラも、シャルルダルク様やレガット様もじゃ。」
私は言う。
「し、し、しかし…!
それでは、マリーナ様が!」
「私は…ごほっ!」
そして、私は吐血した。
真っ赤な鮮やかな赤だった。
これは、この世界でいう血病…
そして、前世では結核という…
前世であれば、簡単に治療出来るものの…
この世界には、ペニシリンなどの抗生物質がない。
私の漢方にも、結核に効く薬は無い。
私は食べ物だけをドアの前まで運ばせ、誰も部屋に入れずに引きこもった。
しかし、段々と粥さえも食べられない日々が続き、吐血は止まらず、意識も朦朧としてきた。
「…リーナ!
マリーナ!!!」
私を抱き抱えながら、そう声をかける人がいた。
この声は…
シャルルダルク様…
「シャルル…ダルク…さ…ま…
来て…は…なり…ませぬ…」
「何を言っている!?
死ぬ気か!?
あほう!」
「私は…もう…治りませぬ…」
「嘘じゃ!
そなたの薬で…」
「この血病に…効く…薬は…ありませ…」
「そんな事はない…!
そなたは死なせぬ…!」
「お伝え…したい…ことが…
シャルル…ダルク…様…」
私は最後の力を振り絞って文を繋ぐ。
「嫌じゃ!
聞かぬぞ、俺は!
最期のように言うな!!!
生き…よ…」
シャルルダルク様の声は掠れ、私の頬に水滴が落ちてきた。
「泣いて…おる…の…ですか…?
王は…泣いて…は…ならぬ…のです…よ?」
「何故だ…!
何故、そなたがこの様な病にかからねばならぬ!?
あれだけの人々を救ってきたのに…!
あんまりでは無いか!」
「ふふっ…
人生とは…そんな…ものに…ござい…ますよ…
シャルル…ダルク…さま…
ど…うか…お幸…せに…」
「…リーナ…!
マリーナ…!!!」
私はそれだけ言うとまた、意識を失った。
あぁ、私もとうとう天国行きか…
まさか、地獄ではあるまい…
いや、これだけ人助けしたのだから、天国じゃ!
などと、くだらない事を思い、それまでの人生が走馬灯のように思い出された。
最後の悔いは、シャルルダルク様に伝えられなかった言葉…