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今日は朝から、柔の様子がおかしかった。
「…しゅん、おはよ」
「おー…おはよ」
いつも声が小さめだけどそれに増してもっと声が小さい。
「…寝不足?」
「んー、昨日ちょっと遅かった」
「何してたん?」
「…ゲームしてた」
「子どもやん」
「うるさい」
いつもならだる絡みしてくるのに、今日は机に突っ伏していて、ほとんど動かない。
授業が始まっても、最近頑張って受けているはずの授業で柔はずっと頬杖をついていた。
次の授業でも柔の様子は変わらなかった。
「…柔」
「ん?」
「ほんまに大丈夫?」
「…大丈夫だから」
「…さっきも聞いたやんそれ」
「うん」
「ずっと聞いてるけどずっとそれやん」
「だって大丈夫なんだもん」
「そんな顔赤いのに?」
「元からだし」
「嘘つけ」
柔は面倒そうに俺を見ると、そのまま顔を逸らした。
「…ちょっと暑いだけ」
「それ熱やねん」
「知らん」
「知らんてなんやねん」
俺がそういって呆れていると、また柔は机に突っ伏した。
そのときに少しだけ見えた耳まで赤かった。
やっぱりおかしいと思って、先生へ伝えると保健室へ行くことになった。
「柔、体温はかろ」
「えー、やだ」
「そんなこと言わないの」
「…はーい」
「ちょっと冷たいからね」
「…38度あるやん」
「まじ?」
「まじやな」
柔も体温計を覗き込む。
「うわ……」
「「うわ……」じゃないねん」
先生も呆れたように笑った。
「柔太朗くん、今日は早退しよっか」
「いや、大丈夫です」
「大丈夫じゃないでしょ」
「ほんとに大丈夫なんで」
「熱があるんだから帰りなさい」
「…でも、今日までの提出物が」
「明日でいいから」
「いや、でも…」
「柔太朗くん」
先生の声が少しだけ低くなる。
「柔、もう諦め」
「…しゅんまで」
「無理やで、その顔では」
「どんな顔なの」
「してないから」
「してんねん」
「…うるさい」
いつもの調子で言い返そうとしているんだろううけど、声に全然力がない。
先生は少し笑うと、
「仲がいいのは分かったから。今日はもう帰りなさい」
「…はい」
「舜太くんは残っていいからね」
その言葉に柔がぱっと顔を上げた。
「…舜も一緒に帰っていいですか」
「え…?」
そういうと柔は気まずそうに目を逸らした。
「俺、1人で帰れないんで」
いつもの柔なら、絶対こんなこと言わないから、先生まで黙った。
「家の人に連絡するからね」
「舜太くんも許可が降りてから」
「…お願いします」
柔の歩く速さはいつもの何倍も遅かった。
「柔ほんまに歩ける?」
「歩けるって」
「さっきから同じ電柱ずっと見てるけど」
「…知らないし」
「眠いんちゃうん?」
「……ちょっとだけ」
「寝てもいいで」
「歩きながら寝れないじゃん」
「柔ならできそうやん」
「しゅんうるさい」
「心配やねん俺もな?」
「…そ」
家に着くと、柔は靴を脱ぐなり、そのまま自分の部屋へ向かった。
「ちょ、待って」
「水飲んで」
「…ん、」
「あと薬も飲んで」
「あとで」
「今飲みな」
「…はぁい」
いつもなら「うるさい」とか「分かってるって」とか言うくせに、今日は妙に素直だ。
「素直やん、柔」
「しんどいもん」
「いつもの柔じゃないなぁ」
「うるさいしゅん」
そう言いながら、柔は布団に潜り込んだ。
俺はベッドの横に座った。
コメント
1件
ふわぁ…第6話読んだよ〜😭💕 しゅんの細やかな気遣いと、熱でふわふわになった柔くんのギャップが尊すぎる…!「1人で帰れないんで」っていつもと違う素直さにドキドキしちゃった…。 しんどそうなのに無理しようとする姿も、そんな柔を絶対に見捨てないしゅんの距離感も、全部エモすぎる…次が気になるよ〜!