〜あらすじ〜
「僕の役目」――そう言い残したそらねこ。
その言葉の意味を問い詰める翔とkamomeだったが、彼の口から飛び出したのは、想像を超える“秘密の断片”だった。
深い謎と笑いの応酬が交差する病室で、物語はさらに動き出す――。
第9話 本編「僕の役目」
「……役目って、何やねん」
俺はそらくんを睨むように見た。
さっきの“黒幕スマイル”が頭から離れん。なんか…可愛ええ顔して恐ろしいなぁ。
そらねこは少し考えるように黙ったあと、ぽつりと呟いた。
「……僕は、サムライ翔さんとkamomeさんの“見届け役”なんです」
「み、とどけ……?」
俺とkamomeが同時に復唱する。
「はい。お二人がどう生きて、どう病気と戦って、どう……」
一瞬言葉を切って、そらくんは目を伏せた。
「どう終わるのか……それを、ちゃんと見届けるのが僕の“役目”」
……空気が一気に重くなる。
背筋がぞわぞわして、ベッドのシーツを握りしめた。
けど――
黙ってたらほんまに怖すぎるやろ!?
俺は耐えきれず叫んだ。
「……いや待て!それホラー映画のナレーションか!?
“どう終わるか”とかサラッと言うなや!俺まだエンディング迎える気ないんやぞ!」
kamomeが即座にツッコミ。
「いやいや、翔ちゃん、まずそこ気にするとこ違ぇから!」
「いや気にするわ!そらくん、俺の人生の終わりを実況するつもりやろ!」
「ち、違いますって!」
そらねこが慌てて手を振った。
「僕は……その、ただ“見守る”だけですから!実況とかはしません!」
「……実況とかの問題ちゃうねん」
俺は思わず額を押さえた。
するとkamomeがニヤリと笑って、
「いやぁ……でもそらねこ、見届け役っつーより、完全に解説役っぽいよな。試合中継でよくいる“この選手、昔はケガに泣かされて〜”とか言うやつ」
と茶化した。
「わわ、僕そんなつもりじゃ……」
そらねこは困り顔でモゴモゴしとる。
でも――俺には確信めいた感覚があった。
「……お前、ただの見届け人ちゃうやろ」
「……っ」
そらねこが固まった。
「俺らが同じ病室に入ることも、知っとった。未来のことを、ちょっと知っとるみたいや。
なぁ、そらねこ……お前、ほんまは何者なんや」
息をのむkamome。
病室にしんとした空気が落ちる。
そらねこは――ゆっくり笑った。
「……“選ばれた人しか知らないこと”、って言ったら……信じますか?」
「……は?」
「翔さんとkamomeさんは、ただの患者じゃないんです。
だから……お二人の戦いは、偶然なんかじゃない」
――心臓が跳ねた。
また“偶然じゃない”。
俺とkamomeの視線が交錯する。
まるで俺らが、何か大きな仕組みの中で動かされとるみたいに。
「……なぁそらくん。お前、ほんまに黒幕ちゃうんか?」
「ち、違います!僕そんな悪役じゃないです!」
「いやもう、そのセリフが悪役っぽいんや!」
「だから違いますってぇ!」
病室にはまた笑い声が響いた。
でも――笑いの奥底に、消えない不安が沈んどった。
――俺らは、なぜ“隣のベッド”に導かれたんやろか。
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