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『それでさ、日向がー笑』
「う、うん!」
私と谷地さんは今、ドリンクを持って2人で歩いていた。今日から代表選に備えて、関東の練習試合に来ているのだ。
『そしたら…「おー!西川ー!」
『あ、リエーフさん!』
聞き覚えのある声がしたと思ったら、そこに居たのはリエーフさん。相変わらず声が大きくびっくりする。
「西川身長伸びたかー?笑」
『こ、こんな短期間で伸びないよ!!』
『マネージャーに身長いらないし!』
「俺は2mmのびた!」
『ええぇ』
「どーだ!あ、てか」
「俺練習中だった!行くわ!」
『はいよー』
リエーフが走っていくのを見ていると、隣の谷地さんが口を開く。
「あ、あの大きい人は…?!」
『音駒の灰羽リエーフっていう人!』
『大きいよねー!』
「も、もしかして…ゆりちゃんってコミュ力おばけ?!」
『え?』
「あんなモテそうな人と仲良くしたら後ろから刺されそうで私はとても…!」
『刺されないよー!笑』
『確かにモテそうではあるけどねー』
私たちは談笑しながら体育館に戻った。
『ふぅー、』
「疲れたね〜!」
『ねー。私ドリンク洗ってくる。』
「ありがとう!」
私は谷地さんと話してから、ドリンクを持って水場に向かっていた。
すると、水場の近くに例の木兎さん?という人が芝生に1人、うずくまっていた。
(どうしたんだろ…体調不良?!)
急いで近くに向かうと、木兎さんは私に向かって話しかけてきた。
「なー、赤葦ー、」
前聞いた声より随分としょぼくれた声だった。私は混乱したが、とりあえず人違いなことを教える。
『あの、私赤葦さん?じゃなくて…』
『烏野の西川っていうんですけど…』
すると木兎さんは一瞬驚いた声を上げたが、全くこちらを見ない。
『た、体調不良ですか?』
「いやー。」
「…上手くいかねーの。」
(もしかしてバレーのことかな?)
(とりあえず、励ましてみよう…)
『木兎さん、大丈夫ですよ!』
『木兎さんすごい上手いし、烏野のみんなもよく驚いています!』
(まあ、こんなので元気出るわけ…)
「ほんと?!?!」
突然、木兎さんがキラキラして目で顔を上げる。私が驚いて固まっていると、木兎さんはどんどん元気になっていった。
「やっぱそうかー!!」
「噂もされるとかさすが俺!さいきょー!!」
『は、はい?』
私がぽかんとしていると、いつの間にか黒髪の人が近くに来ていた。
「木兎さん。もう練習始まってますよ。」
「おー!赤葦!わりー!!」
(この人が赤葦さん…?)
「早く行きましょう。」
そう赤葦さんが木兎さんに言うと、すっかり元気になった木兎さんは体育館の方へ走っていってしまった。
走っていく木兎さんを見てから、赤葦さんがこちらを向く。
「ごめんね。大丈夫?」
『は、はい。』
赤葦さんは驚いて座ってしまっていた私に手を差し伸べる。その手を取って起き上がると、赤葦さんが話を続ける。
「ていうか、あれ、君がやったの?」
『あれ…?』
「木兎さん、元気になってる。」
『多分…はい。』
「すごいね。よく分かったね。」
『? そうですか?』
「木兎さん、バレーが上手くいかないとしょぼくれモードになっちゃう人なんだ。」
『そうなんですね。笑』
私が変な人だと笑うと、赤葦さんはとても優しい目でこちらを見る。
「元気づけるの大変だから、助かったよ。」
「ありがとう。」
『は、はい!良かったです!』
赤葦さんと体育館に向かっている間、雑談をしていた。
「烏野の子だよね?」
『はい!西川ゆりです!』
「きっと木兎さん、西川を気に入ったと思う」
『? そうなんですか!』
「ほんとありがとう。」
(この人…)
『赤葦さん、優しいですね。』
「…そうかな、嬉しいなー。」
『えへへ、良かったです!』
『そろそろ戻りますね!』
「あ、うん。」
私は赤葦さんを背に、烏野のみんなの方へ走っていった。
<続く>