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亮平side
『寝ちゃった……色々あって疲れたよね』
俺に抱きしめられたまま眠ってしまった〇〇の顔を、じっと見つめる。
『……かわいい、』
〇〇は、本当にかわいい。
姿かたちももちろんだけど、優しくしたらすぐに好きになってくれちゃうところも、そのくせ人の好意には鈍感なところも、すぐに人を信用しちゃうところも、怖くて泣きながら俺に縋ってくるところも、あんなに怖がっていたのに実害がなくなった瞬間に安心しきっちゃうところも、全部かわいい。
『〇〇は、自分の方が先に俺のこと好きになったと思ってるだろうけど、それは違うよ。ぜーったい、俺の方が先に〇〇のこと好きになったんだから』
すっかり眠り込んでいる〇〇の耳元でそっと囁いて、ネタバラシをしていく。
そう、あれは一目惚れだった。
引っ越してきて、初めて挨拶しに来てくれたあの日。
『一人暮らしの女の子なのに、いくら隣だからって馬鹿正直に男の一人暮らしの家に挨拶しにきちゃうとか……ほんと無防備。そんなんだから、こうやって俺みたいな奴に捕まっちゃうんだよ?』
無防備な彼女が、心配で心配で仕方なかった。
純粋な心配はやがて、どす黒い独占欲へと変わっていった。
───誰にも、渡したくなかった。
だから、俺はだんだんと彼女を追い詰めていった。
『夜道で後つけるなんてストーカーの常套手段なのに、それを気のせいで済ませちゃうなんて危なすぎ。手紙が入ってるようになって初めて怖がってるんだから、あまりにも鈍感すぎてこっちが怖かったよ?笑』
優しい男を演じて救いの手を差し伸べたら、心配になってしまうほど簡単に信用してくれて。
『最初は、〇〇が手に入っただけで十分だと思ってたんだけど……俺って意外と強欲だったみたい。
〇〇の世界には、俺以外要らないって思っちゃったんだよね』
だから今日、あの作戦を実行した。
具体的な身の危険を感じれば、家から出ないで、ずっと俺の傍にいてくれると思った。
あえて彼女を怖がらせる言動をとったのも、作戦のひとつ。
一度疑わせてまた信用してくれるよう仕向ければ、〇〇の中で俺を疑ったことへの罪悪感が生まれるはずだ。
罪悪感は、正常な判断力を奪う。
こうして彼女は、まるで風切羽を切られた小鳥のように、飛んでいくこともできず俺の腕の中に堕ちてきたというわけだ。
『ふふ、もう逃げられないね?笑
でも大丈夫だよ。俺が絶対に幸せにしてあげるから……』
俺は眠る彼女の唇にそっとキスを落として囁いた。
『ずーっと俺の傍にいてね?……〇〇』