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30秒が永遠のように感じられる。列車は凶悪なシャチを追い越し、その無機質な巨体が迫ってきた。透は息を呑んだ。列車が彼をかすめるように通り過ぎた瞬間、まるで時が止まったかのように感じた。空気が凍りつき、海水が一瞬だけ静かになった。その瞬間を利用して、透は一気に海面へと浮上する。
ロンドン鉄道は彼の背後を駆け抜け、彼の命を奪うことなく、暗闇の中へと消えていった。透は息を荒げながら水面に顔を出し、深く息を吸い込んだ。海の上には、もう何もいなかった。ただ静寂が広がっていた。
彼は、命を拾った――だが、まだ狂気は終わっていなかった。