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8月某日 それは暑い夏の夜でした。
あんまり暑いものですから、私は眠れずにいたのです。
すると、廊下の遠くの方から一つ、音が聞こえて来ました。
『ヒタリ..ヒタリ…..』
最初は兄かと思いました、でも何か可笑しい。
兄は自分の所に態々来るような人では無いし、御手洗に行くにも、私の部屋とは反対方向。
それにそもそも、兄は二階で寝ている筈です。
では誰が?
両親は仕事で出張、うちはペットも飼って居ませんから、家には私と兄の二人きりです。
ですが、先程も云ったように、兄はそんな人じゃあ有りません。
そんな事を延々と考えていると、また、あの
鬼魅の悪い音が聞こえて来ました。
『ヒタリ…ヒタリ……』
足音とも水音とも取れない其の音は、段々と
此方に近づいて来て居るようだったのです。
「拙い」
直感でしたがそう思いました。
されどどうすれば善いかは判らないもの。
一先ず、布団を頭から被って身を隠し、息を殺してじぃっと待つ。
ふと目が覚める
どうやら眠って了っていたようだ
時刻は昼過ぎ
お腹が空いてきた
私はリビングで何か食べようと、廊下を歩く
そういえば
私の家の二階には誰も使っていない部屋がある
両親に聞いても、判らないと云うばかりの謎の部屋
はて、何故今この事を思い出したのか
何か有るのだろうかと思い、二階への階段を
見詰める
その時
『グゥゥゥゥ』
腹が轟音を出した
そういえばお腹が空いていたのだった
私は再び玄関の方へ踵を返し、リビングの扉を開けた