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冬馬先生との「管理生活」が始まって一週間
日中は完璧な外科医と事務員として振る舞い、夜はプラチナの檻で彼に心ゆくまで支配される。
そんな狂った日常に、私は言いようのない充足感を感じ始めていた。
けれど、その平穏は一人の女性の来訪によって、呆気なく崩れ去る。
「あら……あなたが今の冬馬くんの『お気に入り』なの?」
医局の廊下、冬馬先生の帰りを待っていた私の前に現れたのは、息を呑むほど美しい女性だった。
洗練されたスーツを纏い、自信に満ちた笑みを浮かべる彼女。
その胸元には、冬馬先生と同じ大学病院の「本院」のIDカードが光っていた。
「……どなた、ですか?」
「失礼。私は一条。本院から心臓外科の特別講師として赴任したの」
「それと、冬馬くんとは学生時代からの、そうね……一番の『理解者』かしら」
そのとき
診察室のドアが開き、冬馬先生が出てきた。
私の姿を見つけた瞬間に緩もうとした彼の表情が
一条さんの姿を認めた途端、見たこともないほど冷たく、鋭いものに一変した。
「……一条。なぜここにいる」
「つれないわね。あなたの『執着癖』がまた始まったって聞いたから、心配して見に来てあげたのよ。……その子も、前の彼女みたいに壊さなきゃいいけど」
──壊す?
聞き捨てならない言葉に、私の指先が冷たくなる。
冬馬先生は無言で私の腕を強く掴むと、一条さんを無視して歩き出した。
その握力は、骨が軋むほど強く、彼が激しく動揺していることを物語っていた。
無言のまま連れ込まれた個人研究室。
ドアを閉めた瞬間、先生は私を壁に突き飛ばすようにして押し当てた。
「……あいつと何を話した」
「……あっ、ただ、挨拶をされただけですよ?それより先生、一条さんって人は……」
「…そうか、ならいい。お前が知る必要はないことだ」
冷徹な声。
けれど、私を見下ろす彼の瞳には、これまでの独占欲とは違う、剥き出しの「怯え」が混ざっているように見えた。
「え、でも──」
瞬間
先生は私を黙らせるように、強引に唇を奪った。
そのキスはいつもよりずっと苦くて、まるで何かを必死に打ち消そうとしているかのようで───
「……結芽。お前だけは、俺のそばにいろ。……いいな?」
首筋に顔を埋め、縋るように囁く冬馬先生。
ドSな仮面の裏に隠されていた、彼の過去の闇。
一条という女性が口にした「壊す」という言葉の意味が、私の胸に暗い楔となって打ち込まれた。