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砂漠地帯。
砂嵐の中を歩く、一つの影。利根だ。
「くそぅ……目に砂が入る」
舌打ちをする彼女。もう数時間は砂漠を歩き続けている。
だが、仲間という者どころか別地帯すら見当たらないのだ。
「こんな場所を歩いておると……喉が乾くわい」
“喉が乾いた” その言葉にパネルが反応した。
『乾燥はよくありません。飲料水が必要ですか?』
「おう必要じゃ! まさか、くれるのか!」
『一本100ポイントです^^』
「ふざけておるのか!」
ちなみにポイントはとある条件で入手できるが、彼女はまだそれを知らない。
しかし、飲み水の問題はすぐに解決した。彼女の前方300メートルに、何かが見えてきた。
「むっ……オアシス!」
そう、砂漠の中の天国。オアシスだ。利根はそこまで走り、ちゃんと水があるか確認する。
「うむ、水はあるしキレイじゃ。これなら安心して飲めるな」
彼女は手で水をすくうと、一滴一滴大事にしながらそれを飲み込んだ。日が照りつけるこの広大な砂漠の中で、あわや脱水症になりかけていた彼女は、こうして救われた。
その時、後ろから足音が響きはじめた。振り返ると、そこには黒い軍服のようなコートを着た男がいた。どう見てもこの砂の大地には不釣り合いな格好だ。
「嬢ちゃん……隣いいか?」
「う、うむ。いいぞ」
(この男……モミアゲ濃ッ!)
男は持っていた水筒に水をくむと、それをゴクゴクと飲みはじめた。しかし、途中で飲み口から口を離し、水をすくっている利根を見た。
「……嬢ちゃん、この水よく飲めるな。味酷くないか?」
突然自分に向けて言葉を発せられたこととその内容を聞いたことで、利根はポカンとした表情をした。
「……え? 吾輩は別に……」
「幼少の頃からまともな物食べてないと、舌がバカになるんだよ……」
「なんじゃと! 吾輩はこれでも舌には……」
「黙れ。よく見てろ」
男は懐から銃を取り出し、水面下に向けて2、3発ほど発砲した。
すると、水がどんどん赤く染まっていくのだ。
「な、なんじゃこりゃ!」
「あぁ、やっぱり何かいるな。そうでもないとこんなに不味いわけねぇよな」
その時、水上に勢いよく登ってくる”何か”の影が見えてきた。
そして、影が水飛沫をあげながらオアシスから飛び出した!
赤い体色をした、二足歩行の両生類のような化け物。スペースビーストだ。
『ビーストを発見しました。
名前 フログロス
分類 アンフィビアタイプビースト』
利根のパネルが目の前のビーストの情報をうつしだした。
「ビースト!? なんじゃそれは!」
「そのパネル……嬢ちゃんも来訪者ってやつか」
二人はフログロスの首あたりを見る。血がどくどくと流れ出していた。
「動脈に当たったか。放っておいても死ぬな……だが」
フログロスは二人を睨みつけ、雄叫びを上げた。
「ビースト。俺を殺そうとするってことは、自分も殺される覚悟があるってことだよな」
その時、男が自身の左手を掴む。それを引っ張ると、スポッと抜けた。
「むぅ! お主、その腕は!」
左手首から生えていたのは、短刀のようなもの。
次の瞬間、男の体が変化し始めた。両手と頭部から刀が生え、人間離れの姿となった。
『来訪者を発見しました。
名前 サムライソード
種族 人間、悪魔』
男……サムライソードは構えをとる。フログロスが突進してくるが、それでも動かない。
そして、大口がサムライソードをくわえようとした時。
サムライソードが、なぜかフログロスの後ろに移動していた。
「もう戦いは終わった」
フログロスの顔。顎から上が分断されていた。脳を失ったことに気づかない体だけが動いていた。
一瞬で決着がついた。利根はその早さに何回も瞬きしていた。
「あ……え?」
「俺の勝ちだ。さっさと理解しろ」
そして、サムライソードは歩き始めた。
「あばよ嬢ちゃん。生きてたらまた会おう」
しかし、利根としてはこのまま彼と別れるわけにはいかない。
「ま、待ってくれ! 来訪者同士ともに行動しようではないか!」
「はぁ? お前みたいなのが戦えんのか?」
「もちろんじゃ! それにこの地帯には他の来訪者がいるらしいし、そやつもさがそうではないか!」
「……ケガしたら置いてくぞ。それでもいいならついてこい」
「うむ!」
日本刀の悪魔、サムライソードが表面上仲間になった。