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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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その後は、特に問題も無く過ごした。

先生も新しい学校で心機一転頑張っており、生徒達の良き相談相手になっているよと白河先生は私に言ってくれた。


そして7月7日。 私の17歳の誕生日。

朝起きると白河先生はすぐに私に、「凛さん!お誕生日おめでとうございます!」と優しい笑顔で言ってきた。

私は恥ずかしい気持ちと嬉しい気持ちの入り混じった気持ちになり、「ありがと。白河先生」と返した。

しかし、今日は平日なので、先生は学校へ出勤する。

楽しみは、先生が帰ってからかな。




その日の夜。

私は先生に「今年はどうするの?私の誕生日」と笑顔で言う。

「凛さんのやりたい事をやったり、欲しい物を何でも買ってあげるからね」と白河先生は優しい笑顔で答えた。

私はそれを聞き、これでもかと言うくらいに嬉しくなり、心が舞い上がった。


「で?何する?」

「う〜ん…とにかく山に登って、満天の綺麗な星空を見たい!!」と私は言った。

白河先生の影響なのか、私も自然や山登りが好きになっていた。

けれど夜に行っても夜景くらいしか見たことが無かったので、白河先生と新しい景色を見たい!と思って言ってみた。

「おっ!良いね!」と先生は笑顔で答え、 「じゃあ…早速行っても良い?」と言ってきたので、「勿論良いよ!」と私は答えた。


早速車へ乗り、山へ向かう。


山へ着くと、先生がトランクから、天体望遠鏡を出してきた。

私は「流石!理科の先生だね!」

「ふふっ!なんか恥ずかしいよ…」と先生は笑いながら言った。

「凛さん。見たい天体とか、星とかある?」

「う〜ん…」と私は少し悩んだ。

いきなり言われてもなぁ…。

悩んだ末、私は「土星の…輪っかが見たい」と言った。

風の噂だが、「土星の輪は消えてしまうらしい」と聞いたことがあったからだ。

だから、それまでに、白河先生と儚い宇宙そらの輪を見てみたいから。

「うん。凛さんらしいね!」と先生は答えた。


周囲は、私達の他にもカップルらしき人や、家族連れの人達がいた。


「見てみて良いよ!合ってなかったら僕に教えてね」と白河先生が言ったので、私は天体望遠鏡の覗き穴を覗き込んだ。

なんだかぼやけて見える。

度があっていなさそうだ。

なので私は先生に「なんかぼやけてる。合ってないかも」と伝える。

「ごめんね。僕の抜けた部分が凛さんに知られちゃった」と言い、先生が覗き穴を見ながら度を調節している。


白河先生は学校帰りそのままのカッターシャツの姿。

いつも以上に理科の先生らしさが出ており、かっこ良く見えた。


そう思い見惚れていると、「これで良いと思うよ!」と白河先生が言ってきた。

「うん。見てみる」と私は答え、覗き穴を見る。


今度はしっかりと見えた。

沢山の星々が輝く世界が。

そして、見覚えがある天体が見えた。

「あれって…なに星だっけ?」と先生に聞く。

白河先生は望遠鏡の穴を覗き「どれですか?…あ〜あれね。あれは木星かな?」と先生は答えた。

「え〜!凄い!自分ながらに木星を最初に見つけるなんて!」

「いやいや…これ設置したの僕やし!」

「てことは…白河先生のヤラセじゃん!」などといろいろ言い合い、土星の輪も見ることが出来た。

先生の笑顔は今日も輝いていた。







しかし、1週間後。

白河先生の異変はまた起こった。

先生の目元に隈が出来ており、何日経ってもとれていない。




私は思い切って聞く。「最近隈が出来てるけど…寝れてる?大丈夫?」。

しかし先生は相変わらずの強がりで、「大丈夫!ちょっと成績表付けとかで疲れてるだけだよ」と言う。

笑顔も…苦笑い。

心からの満面の笑顔じゃないというのは、1年も毎日見てれば分かること。

「うん…」と私は少し悲しそうに答えた。

「いや…凛さんこそ大丈夫?悲しそうだけど…」

逆に心配されちゃった。また白河先生の負担を増やしてしまったな…。

私は顔を犬のように振り、笑顔で先生のほうを向き、「大丈夫!」と答えた。




だが、先生はみるみるうちに細くなっているのが分かった。

勿論食べる量も減り、足は下手したら折れそうなくらいに…。

40代の男性の体格とは遠くかけ離れていた。

けれど、前のような嫌がらせを受けている雰囲気は全くと言っていいほど無かった。





中学校が夏休みに入る少し前、先生に体重計に乗ってもらった。

案の定、「嫌だよ。なんで…乗らなきゃ駄目なの?」と嫌がる。

けれど私は説得し、先生はしょうが無さそうに乗る。


表示された体重は「45kg」。



白河先生自身も驚いていた。

私はそれで確信した。

そして、「白河先生。病院にでも行ったが良いんじゃないかな?」と優しめに言った。

「うん…」と先生も納得したのか答えてくれた。






夏休みに入り、私達は旅行に一泊行った。

それは先生も楽しかったのか、少し食事の量も増えていた。

しかし新学期前、また悪化するのは良くないと思ったのか、白河先生は「病院行ってみる。自分が自分じゃないみたいだし…」と言い、病院へ向かった。


そして、1時間くらいして先生が戻って来た。

「どうだった?」と私は聞く。

すると、先生はこう言った。

「うん。納得したよ」と。







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