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獣のような低い声の咆哮が響き渡った。汚濁によって、中也の躰の限界が近付く。

地面や壁が彼方此方で凹んでおり、硝子の破片等が散らばっていた。

辺りが更地と化していく。

「──────わぁ……」

初めてオーロラを眺めたような────驚きつつも、秀麗で異端なその存在に感動するような表情で、少年は口先から言葉をこぼした。

「綺麗だ…」

目を丸くしながら少年は云う。ゆっくりと手を伸ばした。











異能力──────人間失格。











青白い光が中也を包み込んだ。異能痕が消える。

「──────ッ……」

意識を失った中也を支えようと、少年は中也の腹部に手を回した。

然し太宰の力では中也を支える事はできず、共に地面に倒れる。

「ぅわ!」

勢い良く尻餅をついた。

「中也……起き、て………ぅ…重い……………」

そう云いつつも、中也を起こそうとする事に少年は力を注いだ。




──────ガチャッ……

細かい金属がぶつかり合うような音がする。

炎の異能力者は死の間際にいながらも、最期の力を振り絞って少年に銃を向けた。

然し少年は気付かずに、中也を起こそうとしている。

異能者の手は小刻みに震え、狙いが定まらない。視界がぼやけ、今にも意識が飛びそうになるも、歯を食い縛って堪えた。

「く、そ…………死ねッ…!」

人差し指に力を込めた、其の瞬間。








『────金色夜叉』








落ち着いた静かな声が響く。異能者の首を金色夜叉が斬り落とした。

血を流しながら独楽(コマ)のようにコロコロと斬り落とされた首が回る。

少年は漸く気付き、「首……?」と声を上げた。

「____…」

尾崎紅葉が、ゆっくりと少年達に近付く。負傷した中也を抱き上げた。

「今回ばかりは私は手を出せんかったからのう。佳くやった、感謝するぞ」

紅葉は優しい笑顔で少年に云う。

少年の眼の前で煌めきと揺らめきが起こった。目を丸くする。

褒められた────其の事が、少年はとても嬉しかったのである。

「………ぅ、うん…//」

嬉しそうな表情を、少年は少し隠しながら云った。



















































***

「っ…………」

中也がゆっくりと瞼を開けた。何処か見覚えのある天井が視界に入る。

此処はポートマフィアの診療室の一角である。

腕に力を入れて中也は起き上がった。

「──────ゔっ……!」

刹那、汚濁を遣った代償が中也に襲いかかる。ベットの上で小さくうずくまった。

「っ………く…そ、い……ってェ…………」中也が顔をしかめる。「……ん?」

ふと、右足辺りに何か重みが伝わっているのが判った。

視線を移す。

「……………………………………は?」

思わず声をもらした。

其処には、中也のベットの上で小さく丸まって眠る少年が居た。

「ぇ、は?太宰っ!?」

中也の少し荒くなった声に、少年の睫毛が微かに揺れる。

「………ん、」

少年はゆっくりと瞼を開いた。

「ぁ、れ?中……也…………?」

眠いのか、うとうとと首を揺らしながら少年は聞く。

「太宰手前、大丈夫な────「目が覚めたようだね、中也君」

診療室の扉から這入って来た森鴎外が、中也に声をかけた。

「っ!首領!」

中也が目を見開く。

「佳かった、薬の性能も止まって記憶に影響は無いようだね」

「記憶……?」

首を中也は傾げた。

『チュウヤ!』

森の側に居たエリスが、中也に声を掛ける。中也が視線を移すと、エリスの手には手鏡が握られていた。

鏡に中也の姿が映る。

「──────は?」

声をもらした。

短髪の赫い髪に少年の顔をした────十五歳の中也が鏡に写った。

「ぇ……はああぁぁぁ!?」

中也は思わず手鏡を掴む。

『チュウヤ小さくなってるわよ!』

現状を理解できていない中也に、エリスが教えた。

「小さく………」中也がボソリと呟く。「はッ……真逆…」


──────其れは幼児化の薬も込められています。


炎の異能者の言葉を思い出し、中也は頭を抱えた。

「如何やら心当たりが在るようだね」

苦笑しながら森が云う。

「はい………済みません、スキを見せてしまいました……………」

どんよりとした顔で中也が溜め息混じりの声で云った。

「大丈夫だよ、太宰君がちゃんと予測していてくれたから………」

「太宰が…?」

森が懐から一枚の紙を出す。中也が受け取った。

其れは太宰の文字が書かれた便箋であった。











貴方がコレを読んでいるという事は、既に私は倒れている事でしょう。


若しかしたら、もう中也達は敵組織の元へ向かっているかもしれませんね。


ですからコレを読む貴方に伝えます、森さん。


敵を倒す為の絶対的条件は、薬の性能が「一時的に異能を消す」という事を敵組織に気付かせる事。


そしてもう一つは、『私』が一時的にシぬ事。


この二つさえ揃えば、敵の全てを壊す事が可能です。


あの薬を確実に破壊しなければ、この街────否、この国全体が戦地と化します。


其れは貴方も解っていますよね?


だからこそ、私と“交渉”をしましょう。


内容は────躰も記憶も幼児化した私に傷一つ何もせずに、安全に中也の元へ連れて行き、解毒薬が完成して私が元の姿に戻る迄、手を出さない事。


其の代償は中也の命と、怪我の治療。


そして解毒薬の一番の試薬品を中也に呑ませてください。


解毒薬としての完璧な効果は薄くとも、記憶の消失の停止等はあるでしょう?


敵から解毒薬を奪うと云うのは、中也が汚濁を遣っている為、不可能でしょう。


そして、恐らく中也は戦闘中に幼児化の薬を受けている可能性がある為、以上の通りにした方が佳いと、私は考えます。


ですがまぁ、中也の記憶が消失して困るのは貴方達だと思うので、私はコレに関しては何も云いません。


選択は任せます。


然し合理的な貴方なら、私の交渉を受けるのが最適解だと思いますよね?


それでは、宜しくお願いします。














「……………」

中也は目を丸くしながら便箋を読んだ。

「…と云う訳で、私は太宰君との交渉にのった。結果的に太宰君の予想通りになってしまったのだよねぇ」森は苦笑する。「中也君がその姿になっても記憶が戻っていないのは、試薬品を呑ませたから」

「でも、多分二日後くらいに梶井君が解毒薬を完成してくれるだろうから、心配は要らないよ」

『良かったわね!チュウヤ!』

「ぁ…はい、ありがとうございます」

そう云って中也が頭を下げた。

「えっと、それで……此奴は────バンッ!!

中也が傍に居た少年について聞こうとした瞬間、勢い良く診療室の扉が開く。

振動が全員に伝わった。

厭な予感が中也を襲う。

「中也っ!漸く目が覚めたのかえ!?」

安堵した表情で走ってきたのは尾崎紅葉だった。

「ぁ……あの…姐さ──────」

紅葉が、ひしっと中也を抱き締めた。

「若しやお主がもう二度と目覚めぬのかと思い、心配したのじゃぞ!」

涙目になりながら、紅葉は中也を抱き締める力をどんどん強くしていく。

「姐さん!苦しいです…!」

然し中也の声は紅葉には届かず、その声は徐々に呻き声に変わっていった。

「私がどれだけ心配した事かっ……!」

「紅葉君、一つ云うけど中也君が眠っていたのは六時間程度……」

「抑々鴎外殿がもう少し疾く中也に薬を投与していれば佳かったのじゃ!」

『そーよそーよ!』

「えぇ……私此れでも疾く投与したのだよ…」

「可哀想にのう中也、こんなにも愛くるしい姿になって……」

「っ……………」

中也と云うと既に反抗と云うより、子鹿のように震えていた。

「……………」

少年が中也をじぃっと見る。

「…?如何した太宰?」

「っ!」

中也に声をかけられた事に少年は驚き、躰をびくりと揺らした。

「嗚呼、太宰君は記憶が完全に幼児化していてね。中也君の事が判らないのだよ。勿論私もだけど………」

森が現状を説明する。

「そ……そうなンですか…………」

中也は少年に視線を向けた。目が合うと、少年はパッと顔をそらす。

「____…」

「取り敢えず、中也君には怪我の治療に向かってもらおうかな」

優しい笑顔で森が云った。

「怪我の治療、ですか?」

「そう──────」























『武装探偵社に行っておいで』








































済みません、今回一寸怠けました……。

くっ……確実に語彙力が旅に出てるっ!

♥️してくれるかなぁ……。

少しでもいいのでお願いしますっ!!(モチベが上がるので)

多分もう直ぐで最終回かな?

最後まで見てくれると嬉しいです!

太宰さんが幼児化した件

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