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気味の悪い放送に戸惑いを隠せぬ私達は顔を見合わせ顔を顰める。
シュゥゥゥゥゥー
「な、何?!」
「今度は何なのよ!」
「ねぇ!スピーカーから何が出てるよ!」
「ガスなのかしら…?」
「みんな落ち着いて!」
みんな慌てふためいている時、急に意識が闇に沈んでゆく。
(このガス…、催眠ガス……か…………。)
部屋に備え付けられた電気が眩く、瞼を貫通し光が目に当たる。
眩い光の中意識が覚醒してゆき、ゆっくり重い瞼を開ける。
(……?ここ、自室?)
いつの間にかベッドに寝かされていた。
(今…何時だろう?あれからどれくらい経ったんだろう?)
時刻を確認しようと備え付けられた机に手探りでスマホを探す。
(あれ?)
無い。
(引き出しの中?)
無い。
(もしかしてそこら辺に落ちてたり…え?)
無い。
無いのだ。
(え?!もしかして…遺体のとこに落としてきちゃった?!)
冷や汗が背中を伝う。
(取りに…行かなきゃダメだよね…。)
私は重い扉をゆっくり開け、遺体の部屋まで駆け足で走る。
(あれ…部屋に誰かいる。)
「あ…芽依さん。」
「川橋さん?何してるんですか?」
少し青ざめ、眉間に皺を寄せ小刻みに震える川橋さん。
「あ、ああ、あれ…。」
「?!」
真っ赤な血で塗りたくられた壁や血飛沫を浴びた床、真っ赤なベッドに無惨な遺体となって発見された井上さんが…。
「遺体も…血も…何も無いんです。無くなってるんですよ……。」
「なんでこんな……。」
元々誰もここには誰も居なかったかのように、スッキリ綺麗に無くなっていた。新品のようなベッド、古く傷が入った壁、デコボコと凹凸の出来た床。
ベッドは土台を買い替え、シーツを取り替えれば何度でも誤魔化せるであろう。だが、凹凸の出来た床や傷の入った壁を見れば分かる。掃除した所で既に固まっていた血痕を隠す事は出来ない。増してや、傷の出来た壁に血痕が染み付いていてもおかしくない。それは床も同じである。だが何もかも無くなってしまっている。こんなの人間が出来る事だろうか?
「け、健太郎さんの…遺体は一体何処へ言ったんでしょうか?」
「そんな事私に言われても…。」
「しょ、翔太くんの声ですよね?」
「急ぎましょう、犯人に襲われているのかも知れない。」
15話に続く