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コメント
9件
この回地味に好き。 あべなべありがとう💚💙
結局一緒になんかい😂😂
第十一話→まきぴよさん
「……は?」
めめと繋がったまま、突然の物音に振り返ると照と翔太がドアを開けて入ってきていた。
翔太は髪や顔に白い汚れが付いていて、照はガン勃ち。今ここに入ってくるまでに何をしてたかなんて明白なわけだが。
「何で入ってくるの!最低、最低最低!!!」
気付けば大声で叫んで、めめのを身体から引っこ抜いて、照を思い切り叩いて、翔太はとりあえずそのままで、俺は風呂を飛び出していた。
ベッドにいたら数で押し切られそうなので、素肌に浴衣を羽織って窓際にある海の見えるチェアにかける。心做しか、来た時より海は穏やかに見えた。
最後に見た夢で、神様は子どもたちにあなたが騙されたのを知っている、もう自分を責めないでと抱きしめられ泣いていた。
辛いのに、暖かくて優しい光景だったとなぜかひとりでに涙が頬を伝った。
「阿部ちゃん」
ぴかぴかになった翔太がミネラルウォーターを手にやってきて、向かいのチェアに座る。
「めめと照は?」
「俺がちゃんと叱っといた、見せたけりゃお前らでやれって。今お詫びのアイス買いに行かせてる」
「そっか」
しばらく、2人で海を眺めた。
「なんか、すごかったな」
「そうだね」
「俺、ほんとに神様の子どもになって、帰れなくてごめんって謝る夢見たんだよな」
「まじか。俺も」
話してみると、不思議なほど翔太と俺は見ていた夢も同じだった。
「あの伝説はところどころ間違ってる気がする」
「俺もそう思うよ」
「神様、悲しかったんだな」
そう言いながら海を見る翔太の目からも涙がこぼれた。
「あれ…何でだろ」
「変だよね、俺も泣ける」
翔太の涙を指ですくってあげると、翔太も俺に同じようにする。そしてどちらからともなくきゅっと抱き合う。
しばらくそうしていると、お互い後ろからめめと照に包まれるように抱きしめられた。
「なに二人でイチャイチャしてんの」
「アイス買ってきたけど。翔太、このために俺ら部屋から出した?」
「バカ、んなわけ…んむ」
反論しかけた翔太の唇が照に奪われた。突然のことに固まる俺の浴衣に手が差し込まれる。
「浮気はだめだよ?阿部ちゃん」
「浮気じゃな…っ」
身体を撫でられて、 照と翔太の目の前なのに、と変な汗が噴き出る。翔太なんてもう声出ちゃってるし。
「ん…ぁん、照…待っ」
「めめコレ冷凍庫」
「はいはい、ほら阿部ちゃんおいで」
浴衣に突っ込んだ手で腰を抱かれ、アイスを備え付けの冷凍庫に入れてめめに歩かされるままベッドに倒される。隣のベッドには、窓際に浴衣を落として既に何も身に着けていない翔太に照が覆い被さっていた。
こんなのおかしい。
さっきはあんなに簡単に抵抗できたのに、なぜか身体が言う事を聞かない。それどころか、めめの首に腕を回して期待する自分までいる。
(もしかして……今これからが、女将さんの言ってた見せつけタイムってこと?)
「めめ…」
「ひかるぅ」
「「いっぱい、しよ?」」
夢で双子だったように、俺と翔太は同じタイミングで思ってもいないはずなのに同じ言葉を投げかける。
めめと照の目つきが、変わったのがわかった。
第十三話→まきぴよさん