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俺の名前は柴田 健太郎(しばた けんたろう)!翌亜流高校 1-Aのバリバリの新入生だ!
今日はあの伝説(になる予定)の冒険者部に入るために入部試験を受けに来たぜ!!
あの|伝説の冒険者(レジェンド)の小野麗尾先輩の試練(試験です)……気合入れて行かねぇとな!
周りにも他の生徒がたむろしていやがるが、俺のライバルになりそうな奴は居そうにねぇ……ゲッ、岩切の奴が居るじゃねーか!
アイツはジイサンの道場を継ぐとかで冒険者になるとか聞いた事も無いが、何で来てやがる……
あっ、こっちに気付いた。
「あー!シバケンじゃん!? アンタ何でこんなとこに居るのよ。オヤジサンの仕込みの手伝いはどうしたのよ?」
「うるせーよ、シバケン言うな。オレは冒険者部に入るために来たんだよ。オマエこそ何で来てるんだよ」
「うるさいわね。こっちもイロイロあるのよ」
憎まれ口を叩き合う。コイツとは俺のオヤジがこいつのジーサンの弟子だった関係でガキの頃からよくウチの店に飯食いに来た幼馴染と言うやつである。
女だてらにジーサンの跡継いで道場主になるんだってやたらと息巻いては男勝りに暴れまくって木刀で岩カチ割って付いた渾名
が岩田 切子(いわた きりこ)が縮んだ岩切(イワキリ)である。
「イロイロってここに来たのが冒険者部への入部以外に何かあるのかよ……」
その時、ゴゴゴゴゴ…と大きな音がして部室棟の扉が開き始めた。
入口の方を見ると、一人の男が立っており、
「待たせたな! 俺は冒険者部副部長の三地 池流(さんじ いける)だ! これから冒険者部への入部試験を始める……前に!
今現在冒険者の資格を持っている入部希望者はこっちに来てくれ!君達は合格扱いで仮入部を認める!中で入部希望届を書いてくれ!」
と言い出した。
ざわつく周囲を横目に、
「あ、じゃあ私はもう行くから。アンタとはここでお別れね」
岩切のヤツがさっさと入口に向かう。その他にも、何人かの生徒や外国人の集団が一斉に入口に移動する。
なんてこった。冒険者部に入れば冒険者になれると思っていたのに、もうなっていた奴がこんなにいたのか……!?
「じゃあ次だ。今残っているお前等の内、明日にでも冒険者になる準備が出来ているのは居るか?
お金の件も含めてだぞ?」
「……居ないようだな。じゃあ最後に聞くぞ?今日ここに冒険者部に入れば冒険者になれる、そのために手取り足取り教えて、冒険者になるための金も出してくれると思っている奴は居るか!!??居るならお帰りはあちらだ!とっとと消えろ!!目障りだ!!!」
正直俺はこの枠だが、こうまで言われて帰れるはずもない。文句の一つも言おうと思ったが、
「おい!冒険者部に入れば冒険者にしてくれるんじゃねーのか!そう聞いたからわざわざ朝早くに来てやったんだぞ!」
ガラの悪い先輩が副部長に怒鳴りつけていた。
「おう、そんな事が貼り紙の何処に書いてありやがりましたかね?頭に大麻が生えているなら帰って受験勉強でもした方が良いですよ?セ・ン・パ・イ?」
先輩の頭をポンポン叩きながら言い返す副部長。
「ざけんな、コラ! こっちから願い下げだ!ふざけやがって」
怒りながら帰っていく先輩。
「まぁ、あんな風に自分にとって都合の良い思い込みで来たのが他にもいたら悪い事は言わんから本当に帰った方が良いぞ?お互い時間と手間の無駄だから」
「あ、あの」
なんかヒョロっとしたのが恐る恐る話しかける。
「僕の家にはお金が無くて。部の方で貸して頂く事はできないのでしょうか?その、冒険者になってから少しずつ返していきますので……」
「うーん。部長の方でそう言った事は準備しているんだが……取り敢えず、部の方で何かして欲しいんなら仮入部でもしてもらわんとなぁ……」
「正直、バイトでも何でもして自分の力でなった方が良いと思うんだが。
金銭的な・もしくは何らかの事情ですぐには成れないがなる気のあるやつ、仮入部の条件はそれだけだ。なる気のあるやつはこれから試験をするんでそれで頑張ってみてくれ!」
「他に質問とかあるか?」
「仮入部っていうけど本格的な入部にゃ条件が別にあるんか?」
「ああ、冒険者を続ける見込みが有るってのが本入部の条件だな。冒険者になってみたが、やっぱ止めたとか続けられないとかだとアレだろ?」
「それじゃ、今ここに残っているのは仮入部の試験を受けるって事になるが本当に良いのか?考え直すなら今の内だぞ?」
「それじゃあ試験の内容を言うぞ!第一試験の内容は翌亜流高校冒険者部名物、乱人愚(ランニング)だ!!!」
「乱人愚(ランニング)だって!!!!」
「知ってるのか?ヒョロ男!?」
「誰がヒョロ男!?僕は日代炉狩 眼鏡(ひよろがり がんきょう)だよ!?」
「ああ、悪い悪い。メガネくん。俺は1-Aの柴田 健太郎(しばた けんたろう)だ」
「メガネくんて……あ、君も1-Aなんだ。僕もだよ」
~乱人愚~
古代中国の精鋭部隊である右林軍の選抜試験にて行われたと言われる科目の一つ
この試験に臨む物は試験官から申し付けられた距離を”何があっても”走り抜かねばならず、
走り抜けなかった者は見せしめに全身の骨を砕かれ元の部隊に帰還する事もままならなかった様子を指して”軟弱者”と言う言葉が生まれた事は読者諸氏もご存じの事であろう。 ―民〇書房刊 精鋭の資格より―
「なお、走ってもらう距離は校庭を10周だ。試験の不正行為の監視と、公正性の担保の為に、俺と部長も一緒に走る!
また、試験は最後の一人が走り終えるまで続けるものとする!防具を準備できず、ジャージだけ来ている奴には此方が指定した防具を身に着けてもらう!これは今防具を身に着けてきている受験者と条件を揃えるのと、諸君の身の安全のために必要な措置である!
即死さえしなければ、部長の召喚モンスターが治療できるが、怪我をしないに越した事は無い!
試験は基本的に10周走るだけだが、一つルールを追加する!試験中に防具は外すな!これを破った者は10周走っても失格扱いとする!
また、試験を途中で棄権する者はグラウンドの中央の白線で囲ったセーフティーエリアに入る事!入らなければ棄権しても身の安全は保証できない!防具も試験終了まで外さない事!以上、質問は受け付けない!スタートラインはこれから誘導する!」
エラク不穏な説明の後、副部長が歩き出す。
向かう先はグラウンドの中央で、何か物が置いてある。よく見ると、甲冑やら何やらが色々と飾られていて、その手前には白線で□が書かれたエリアがあり、副部長がそれを指し、
「ここが棄権時のセーフティーエリアだ」
と、一言説明する。
「それじゃあ、ここからジャージ勢は各自、手足と胴、頭の防具を付ける様に」
全身鎧に目が行くが、
「柴田君、それ着て走れるの?」
と言うメガネ君のツッコミで思い直す。
「じゃあ、オメエは何を着るんだ?」
「僕はそんなに体力無いからあっちの皮鎧でも選ぼうかな」
「あれはあれで罠だろ。多分汗吸うと重くなるぞ?」
「そっかー。あ、すみません。副部長。ここにあるジャージって防具ですか?」
「おう、このシートの上にあるのは全部防具だぞ。よく見ているな」
「それじゃあ、このジャージとニット帽、でしょうか。これを選んでも?」
「ああ、いいぞ」
「じゃあ、俺もそれで」
近くに用意されていた簡易更衣室で着替えると、皆それぞれに思い思いの恰好をしていた。
本当にアレ着て10周も走れんのかね。
「お待たせー。皆すごいね!」
「いや、本当に凄いのはお前だろ」
あれだけの数の中から自分にピッタリな物をしっかりと選びやがったし。俺も便乗したけどこりゃあ借りだな。
着心地と言い、通気性と言い、本当に防具か?
「よーし、全員準備出来たな?それじゃあスタートラインに行くぞ?」
フルフェイスメットを被ったライダースーツ姿の副部長に率いられて向かった先には。
ブルルルルルルル……
巨大な猪と、それに跨った赤い全身鎧の
「冒険者部入部希望者の諸君!!!!! 俺が翌亜流高校2号生筆頭(自称)にして冒険者部部長(残念ながら事実)
小野麗尾 守(おのれお まもる)
である!!!!!」
「一寸頭が高かったね」
と言ってヒョイっと飛び降りて、猪の前脚をポンポン叩きながら、
「そしてこ奴が、俺の愛騎、魔猪(マッチョ)くんである!」
「基本的な試験内容は副部長から説明があったと思うが、ここでさらに追加ルールの説明をする!
先頭走者が8周・もしくは最終走者が5周した時点で、この魔猪(マッチョ)くんが最後尾から受験者を追い掛ける物とする!!!
だが安心してほしい。
たとえ魔猪(マッチョ)くんに追いつかれ跳ね飛ばされたり、踏みつぶされたり、腸を貪り喰われようと、その程度では君達は不合格にならない。
不合格になるのは、諦めて棄権するか、ルール違反をするか、あるいは著しく適性が無いと判断された場合だけだ。
諸君らの健闘も完走も期待しないが、責任問題になるので、身の安全だけは配慮・期待しよう」
「それでは位置につき給え!!!」
「ヨーイ……スタート!!!」
全員が一斉に走り出す。
金属防具を身に着けたのが意外に多かったのか、周りがガチャガチャ五月蠅かったが、グラウンドに入る頃にはだいぶ音が遠くなっていた。後ろを見ると、根性が無い奴はもうセーフティーエリアに向かっている。
俺は先頭集団と後続集団の中間辺りにいたが、5周目辺りから全体のペースが明らかに下がり始めた。
それどころか、先頭集団がゴールライン付近で止まり、後続や周回遅れのヤツを呼び止め、周回の確認まで始めていた。
俺も足止めを喰らい、イラつくが、魔猪(マッチョ)くんの投入を考えるとそう間違っているやり方とも思えない。
ルール違反でもないしなぁ。
ん?ちょっと待て。
「なぁ、ヒョロガリ」
「何だい、柴田君」
「あの魔猪(マッチョ)くんなんだが、言われていたことは何をされても不合格にはならないってだけだったよな?」
「うん。それがどうかしたの?」
「いや、何か引っかかってな」
「ふーん。でももう先頭集団が走り出したよ?」
「最後の子が後半周で3周になりそうだし、僕達も走り出した方が」
「ちょっと待て。最後のヤツって誰だ?」
「え?アソコで黒い魔女っ娘帽子を被った女の子だよ?」
見ると、走るというより歩くペースで必死に進んでいる女子が……あ、先頭集団が追い越した。
「おい、あいつ等確か7周目じゃなかったか?」
「うん、このまま彼らが8周目に入ると……
ってどこ行くんだい!?」
「決まってんだろうが!!」
いくら防具を付けていてもあんなトロ臭いチビッ子が猪の突進なんざ喰らったら……!
向かう先はさっきの防具置き場
「ここに来てどうするんだい!!??」
「おい、ヒョロガリ」
「ここであの子を見捨てて俺らは冒険者って胸張って言えるのか?」
「……!?」
「確か、防具は脱いだら失格で、追加で付ける事は何も言ってなかったよな?」
「あと、あの魔猪(マッチョ)くんに何かしたら失格とも言われていないよな?」
「うん……うん! どっちもルールで言われていない!!!」
それを聞いて、最初に目が行った全身鎧を見る。流石に誰も着る奴は居なかったようで、全部位がそっくりそのまま残っていた。
「こいつを着る。手伝ってくれ」
「うん!!」
どうにかこうにか身に着けて、魔女っ娘の所に向かう。既に先頭集団は9周していたのか、
魔女っ娘 魔猪(マッチョ)くん 先頭集団 その他
の形で列が出来ていた。魔女っ娘は全く諦める様子が無く、何度も転んでは立って魔猪(マッチョ)くんを見ては泣きそうになって、また走り出していた。周りの受験者は助ける素振りもなく、我先に必死に走るだけだった。
だから、俺も走り出した。あの魔女っ娘に向かって。
また転んだ魔女っ娘の横を走りすぎ、何か戸惑うような素振りの魔猪(マッチョ)くんの鼻先に全力で拳を叩き込む。
イイ感じで拳は打ち込めたが、流石にこれだけで魔猪(マッチョ)くんがどうにかなるとは思えない。
魔女っ娘の方を見て。
「さっさと行け!コイツは俺が食い止める!!!」
「え……でも……」
何がでもだ。
2発目・3発目を叩き込もうと前を向くと、魔猪(マッチョ)くんが何故か前脚を伸ばし、伏せの姿勢を取っていた。
「ゼエッ、ゼエッ……」
追い掛けてきたヒョロガリが、
「有ったよ!鞍!!!」
そう言って魔猪(マッチョ)くんの背中に鞍を括りつけて、
「魔猪(マッチョ)くんに乗ってグラウンド走っちゃいけないとか言われてないから!」
「でかした!!!」
俺はへたり込んで座っていた魔女っ娘に手を貸して魔猪(マッチョ)くんに一緒に乗ると、
「「ヒャッハー!!」」
「ひ、ひゃっは~?」
とグラウンドを走り出す。
唖然として此方を見る他の受験生共に魔猪(マッチョ)くんを誘導すると、魔猪(マッチョ)くんは腰を抜かしてへたり込んだ彼らの前ギリギリに前脚の蹄を振り下ろす。
それを見て全力疾走を始めた先頭集団を彼らの体力が切れるまで追い回し、試験終了と同時に消えていく魔猪(マッチョ)くんにお礼を言って、副部長の元に集まると、
「あ~、これで一次試験は終了だ。続いて二次試験に移る。
走りまくって汗をかいただろう?風呂に入ってしっかり汗を流してくれ」
「あ、これ駄目な奴だ」
思わず呟いたが、
「勘が鋭いのは良い事だ。第二試験の内容は翌亜流高校冒険者部名物、油風呂・真打・|屠屠呑以(ととのい)だ!!!」
~油風呂・真打・|屠屠呑以(ととのい)~
かの高名な私立男塾学園高校名物・油風呂に一手間加えた新名物
身体を熱した後には”湯冷まし”が必要だろう?という発想が加わっただけの話である。
―民〇書房刊 名物の歴史・その発展より―
「では各自、続けて受験する者は持参した水着に着替えて、遺言書の作成と同意書のサインを済ませ、
此方の小麦粉の様な何かを全身に塗し、卵液に似たサムシングを塗りたくり、パン粉めいたサクサクを振りかける様に!
よく判らないと言う受験生は最終完成図はあそこで瞑想している部長を参考にするように」
指差された方を見ると、後は揚げるだけと言う状態の部長がそこにいた。
「ヒエッ」
魔女っ娘が小さく呻く。
何かさっきからくっついて来るんだよな……
「柴田君は鈍感って言われない?」
ヒョロガリにはそんな事を言われたが。
「全員準備が終わったようだな!では第二試験の説明をする!
油風呂・真打・|屠屠呑以(ととのい)はこの場にいる全員の団結力を試す試験だ!冒険者たるもの、いつ見知らぬ同業者に背中を預ける時が来ても良い様に、心構えをしておく必要がある!
まずは全員一斉に湯舟ならぬ油船に浸かる!暫くすると、下に控えるこのフレイムウルフが油を熱していく!油温が120度に達した時点で全員の頭上にこの様な紙の台に載せた蝋燭を火を付けた状態で置いていく!
温度が200度になるまで全員油船に浸かり続ける様に!以上、質問は無いな!?」
「副部長、火傷で死にませんか?」
「その為に皆に付けてもらった小麦粉の様な何か、卵液に似たサムシング、パン粉めいたサクサクである!これらにより作られた膜で諸君らの身体は保護される!万が一の際には保健室の手配もしてあるので問題はない!」
厚揚げサクサクにされた生徒に対応できる保健室とは一体……?
それはともかく試験開始という事で順番に風呂に浸かり、ぬるま湯ならぬぬるま油を暫く堪能していたが、しばらくしたらパチパチと言う音と共に、揚げ物独特の匂いがあたりに漂い始める。
そして、手の形をした影が油面を滑る様に火の着いた蝋燭を運び、受験生一人一人の頭の上に載せていく。
これで120度?その割には熱も痛みも……
狐色かつサクサクに揚がっていく身体を見るが、それ以外に特に異変は感じない。
何とも不思議な感じではあるが、今はそれよりも頭の上の蝋燭に集中しなければ。流石に直火焼きは無理だろ、コレ……
途中で自分含めて何人か蝋燭がヤバかった場面があったが、
ピピー!!!
とホイッスルの音が鳴り、蝋燭が回収される。
「よーし、全員上がれ!上がったら流し場で衣をしっかり落として次は隣の浴槽で冷やし油風呂で熱を冷ます!」
冷やし油風呂……?
聞いた事もない代物に疑問を覚えるが、部長と副部長が流し場で衣を落としているのを見て急いでそちらに向かう。
衣を落とし終わった二人が次の浴槽に向かい、
「ふ~、火照った身体に良く効くのぅ~」
「お前等、こっちに全員が入ったら、1分後に追い油した上でもう一度蝋燭を載せるからな!」
そういって平然と浸かる。なんだ、只の水風呂か……
よし、ビビッて損した! 早速……
「うわああああああああ!!!!!」
片足を半分入れたメガネ君が叫ぶ。
「皆、騙されちゃだめだ!!!これは水なんかじゃない!!??」
「おいおい、ネタバレは良くないぞ、受験生君」
「で、でも!只の水と思って浸かったら心臓麻痺とか……!?」
「大げさだなぁ、ちゃんと俺達は伝えたはずだぞ、冷やし”油風呂”ってな」
「そーそー。発火点が低いから火が付く様に追い油するんだしな」
「だ、だからってこんな、こんな量のハッカ油とか」
その言葉を聞いた瞬間、他の受験生が引いたが、これはチャンスだ!
「へへっ、ハッカ油だか何だかしらねーが、要は只の水風呂だろ?」
「部長、副部長!見ていてください!男、柴田 健太郎! 先陣一番乗りします!」
「お~、3番風呂で悪いが入ってこい、入って来い」
「柴田君、待っ」
オリャアアア!
浴槽の縁に足を掛け、一息に飛び込む。
バッシャアアアアアアアアアン……
ん?別に冷たく……?
あ、スースーしてきた。部長達が身体で隠していたけど、氷も底に敷き詰められて……
ウォ!?一気に身体が震えて……
ちょ、ま。こんな状態で頭の上に蝋燭!?
俺が入ったのを見て次々に飛び込む受験者(ギセイシャ)達
震える受験生を横目に追い油される光景を見て、
「女子の受験生に朗報だ。今足されたのは純度100%の天然オリーブオイルだ。
良く塗り込めばお肌ツルツル、髪もツヤツヤになる”かも”しれんぞ?」
と宣う部長。
それを聞いた女性陣が一斉に震えを止め、必死にオリーブオイルをかき集める。
「ふっふっふ。部長も悪ですなぁ。これを機に品質調査と大人数のバッチテストを行おうとは……」
「くっくっく。副部長、ソチ程ではないわ。フミフミちゃんにバレずに女子(おなご)の
肌をじっくりと見よう等とは……」
「いえいえ、お代官様ほどでは……」
「ふふふふふふ、謙遜するでないわ……」
おお、よく分からないが、何かビッグだ。グレイトだぜ……!?
その後、蝋燭が載せられ、俺は身体の震えを根性でどうにかしたが、他の連中はそうもいかなかった様で、
何度か皆纏めてファイヤーしたが、脱落者は一人も出ずに、
「「まだととのわないから」」
と言って湯舟を往復した部長・副部長がととのうまで試験は続いた。