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受付の人から短冊を貰った。願い事…こんなのやったことないから少し緊張する…
「俺さ、小さい頃戦隊ヒーローになれますようにって変な願い事書いてたんだよね」
「子供時代のキヨくん可愛いな」
「やんちゃだったからね」
「今じゃイメージできないかも」
そう答えつつ、何を書こうか盛大に迷っていた。現実的なこと?それとも理想を書くのもあり?
願い事を書くって結構難しいんだな…
でも…
今の俺の願いといえば…
俺はできるだけ上の方に短冊を飾った。色んな人に見られないようにするためって言うのもあるけど、高いところに飾ればそれだけ空から見つけやすいかもしれないってそう思った。ちょっとロマンチックでクサいかもしれないけど、こうすれば俺の願いもいつか叶うかな…
「なんて書いたの?」
「秘密。キヨくんは?」
「じゃあ俺も秘密ー」
「叶ったら言うことにするよ」
「一生聞けないかもなー」
「なんで!?」
俺は強欲だ。叶いっこないって願いを書いた。それでも、一縷の望みがあるなら願いたい。ありえないことだとは思ってるけれど…希望皆無ってわけじゃないと思うんだ。
「短冊も書いたし、帰る?」
「待って待って、忘れてた」
キヨくんは空を指さして言う。
「このあと花火が上がるんだ。それ見てからでも良いんじゃない?」
「そうなの!?」
「長時間じゃないけど打ち上げ花火なんだってさ」
「え、どこで見よう…」
「境内の近くに穴場あるって」
ついてきて、とまた神社に向かって歩きだす。
「柵みたいなところから空が見れるらしいんだよね」
「絶対綺麗じゃん」
境内にの裏に回ると、木と木の間、隙間みたいなところから空を一望できた。ここに花火が打ち上がったらそれはもう迫力があるんだろう。
「本当に穴場だね」
「あんまり人も来ないからさ」
「…うん」
来る途中で買ったりんご飴をかじりながら、空を見上げていた。
「っわ!!」
空を眺めてぼーっとしていると、突然の大きな音とともに空に広がる大輪。
「びっくりしすぎ笑」
「だって…」
俺の方は見ないものの、俺の驚きようにクスクスと笑いがこみ上げているみたいだった。
「む…」
笑うな、と声をかけようとキヨくんの方を向いたとき。
(うわ…)
俺は何も声をかけられなかった。だってその顔が…花火の明かりに照らされたその顔が、すごく綺麗だったから。男の俺でも思わず見惚れてしまうほどに。
俺の視線に気づいたキヨくんは、初めて見る顔をしていた。真面目な表情で俺の頬に手を添える。
「えっ…」
俺は何が起きたかわからなくて、そのまま固まってしまった。大きく聞こえるはずの花火の音も、祭に来た人たちの話し声も全然聞こえない。唯一感じたものといえば、本当に信じられないものだ。
俺の唇に、至近距離に感じたキヨくんの柔らかい唇だった。
To Be Continued…