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ミヤ.
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のあ
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第五十一話 新しい季節、新しい一歩
「夢は、特別な日に始まるわけじゃない。何気ない今日の続きを歩いた先にある。」
十一月の終わり。
窓から差し込む夕日が、
写真部の部室をオレンジ色に染めていた。
フォトコンテストが終わり、
学校にはいつもの日常が戻ってきた。
「最近、忙しそうだな。」
蓮がカメラを片付けながら声をかける。
「少しね。」
湊は苦笑する。
コンテストが終わっても、
写真を撮ることをやめようとは思わなかった。
むしろ以前よりも、街を歩けば
自然とシャッターを切るようになっていた。
*
放課後。
顧問の先生が部室へ入ってくる。
「神崎、少し時間あるか?」
「はい。」
先生は机の上に一冊の写真雑誌を置いた。
ページを開くと、
先日の写真展の記事が掲載されている。
そこには、『つながる心』の写真も小さく紹介されていた。
「え……。」
湊は思わず息をのむ。
自分の写真が雑誌に載るなんて、
想像もしていなかった。
「小さい記事だけどね。」
先生は笑う。
「でも、自分の写真が誰かの目に留まるという経験は、大切にしてほしい。」
湊は静かにページをなでた。
嬉しさと同時に、少しだけ責任も感じた。
*
その夜。
紬とビデオ通話をつなぐ。
「雑誌に載ったの!?」
「うん。ほんの少しだけだけど。」
画面越しの紬は、
自分のことのように喜んでくれた。
「スクリーンショット送って!」
「もう送ったよ。」
「早っ!」
二人は思わず笑い合う。
しばらくすると、紬が真剣な表情になった。
「神崎くん。」
「私ね、進路相談で先生に言われたの。」
「『夢はある?』って。」
湊は静かに耳を傾ける。
「前までは答えられなかった。」
「でも今は、『世界のいろんな人と関わる仕事がしたい』って言えた。」
その表情は、自信に満ちていた。
「すごいじゃん。」
「神崎くんも、自分の夢をちゃんと話せるようになったもんね。」
お互いが少しずつ前へ進んでいる。
離れていても、
その成長を感じられることが嬉しかった。
*
休日。
湊はカメラを持って街へ出かける。
商店街では、
クリスマスの飾り付けが始まっていた。
店先には小さなツリー。
赤いリボン。
イルミネーションを取り付ける人たちの笑顔。
冬が近づいている。
その時、小さな男の子が背伸びをして、
ツリーの星を飾ろうとしていた。
届かない。
すると隣にいた店員が優しく抱き上げる。
「はい、最後のお願いね。」
男の子は嬉しそうに星を飾った。
周りから拍手が起こる。
カシャッ。
湊はその一瞬を逃さなかった。
画面には、誰かを支える優しさが写っていた。
「これも、人と人がつながる瞬間だ。」
自然と笑みがこぼれる。
写真を見る目も、自分自身も、
少しずつ変わってきている。
📷 Photo.051『小さな星に願いを』
撮影日:11月30日
一人では届かない場所も、
誰かが手を差し伸べてくれる。
優しさは、
人を前へ進ませる光になる。
コメント
1件
編集者の寺島あおいです📚 第51話、しみじみと沁みました。コンテスト後の日常がこれほど瑞々しく描かれるとは。「小さな星に願いを」のワンシーン、優しさが連鎖する瞬間を逃さない湊くんのまなざしに、確かな成長を感じました。紬ちゃんとの通話も、お互いの夢を語り合える距離感が素敵でしたね。温かい一歩をありがとうございます。