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帰りの新幹線で、田村は平田に大地とホームランの約束をしてしまったことを話した。
「外国映画の見過ぎじゃないか? 当時、映画俳優が、ある少年とホームランの約束をしたが、一本も打てなかった。
なのにお前は二本だぞ」と平田が言った。
二日後、田村は広報担当の安井に呼ばれ、事務所へ入った。
「安井さん、試合前に何か急用なことでも?」と私が尋ねると、
「確かに急用なことだ。だから結論から言うよ。田村君、今日から一週間、出場停止処分だ」
「俺は、怪我なんかしていませんよ」と言うと、
「怪我のほうがましだよ。明日の写真週刊誌に君の記事がでることになった」
と安井が言った。
「一体、何の話ですか?」と私は尋ねると、
安井はその記事のコピーを田村に見せた。 その記事の内容とは、
(ジャガーズの田村が、試合前に病院へ行き、見ず知らずの患者にサインボールを渡している。売名行為か?今年の田村の引退を回避するための策略か?)
そして、田村がその病院を出るところを撮られていたのだ。
「認めるよね?言い訳があれば聞こうか? 監督にはこの件については、すでに伝え済みだから」と安井は淡々と話した。
「何もありません。ご迷惑を掛けました」と田村は言い、その部屋を出た。