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『ギレスラお兄ちゃんまでっ! ああ、こうしている間にもレイブお兄ちゃんがほぼ石にぃっ! おおおぉ、ど、どうしよぉっ!』
普通ならパニックになってしまっても当然の状況だ。
しかし、皆さんもご存知の通りペトラの属性は『賢い』、のである。
こんな困難な状況であっても知性は答え、最適解を見つけ出そうとする。
彼女は考える。
――――う、うーん、どうしようか…… 現状はレイブお兄ちゃんが石に成り掛けていて対処不能、ギレスラお兄ちゃんはヤバイ感じで脈動していてこれ又対処不可能なのよねぇ、ああ、んな事考えている間にもギレスラお兄ちゃんは脈動が小刻みになってきて、すでにビクビクじゃなくてビッビッビッビッって感じだしっ、一方のレイブお兄ちゃんはアタシが折角砕いて飲ませようとした『粉薬』、ユーカーキラーを口の周りに付けたままで固まっているまんま…… と言うかぁ…… もしかして死んじゃってるのかな、これ? 石っぽい、ってよりまんま石なんだけどぉ、お、お兄ちゃん…… いやいやいや、ギレスラお兄ちゃんはまだまだ微(かす)かに震えているし、レイブお兄ちゃんだって石化の反対側の右手の小指とかだったら少しだけ人間的な赤みが残っているんだからぁ…… 多分、生きてるっ! だったとしたらぁ? っうん!
冷静で賢明なペトラの判断は決した様だ。
流石は『賢い』属性と言った所だろう。
瞬時に優先度の判断を下したペトラは瀕死の度合いがより強く見えるレイブに向けて自身唯一のスキルを唱え始めるのであった。
『プチヒール、プチヒール、プチヒール、プチヒール、 プチヒール、プチヒール、プチヒール、プチヒール、プチヒール、プチヒール、プチヒール、プチヒール、プチ………………………… 』
連続の微回復は目に見える程の効果こそ見させなかったものの、殆(ほとん)ど石だったレイブの右手を肩口位まで肉の質感を戻させる事に成功して、グレーに変じた口からは、弱々しい呼吸音が聞こえる位には回復を果たさせたのである、ほぼ石だったのに…… これは素直に凄い事だ。
ペトラ自身もそう判断したのだろう、ほうっ、っと大きな吐息を吐くと、レイブの隣で倒れたままここまで放置してきたギレスラに向き合って覚悟を決めた表情を浮かべる。
視線の先のギレスラはと言えば……
ペトラがレイブの治療が先だと判断した瞬間には、まだ、微妙では有るがビビビっと蠢いていたギレスラは、微動だにせずに、というか死んだように固まってその動きを止めていたのである。
『あ、あう…… はっ! こうしちゃいられないっ! 『プチヒー』、痛たたっぁ!』
クタリと力なく横たわったギレスラに回復魔法を掛けようとしたペトラは、詠唱の途中で頭を抱えて蹲(うずくま)ってしまった。
『んん…… ま、魔力切れ? くうぅ、ど、どうすればぁ……』