テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
変異者 加藤 駿【偽名:畠中 幸人】/現在
〈鴉〉が殺された。相手に気づかせない程の速度ならば、〈鴉〉が恐怖にも何にも影響されずに死ねたのだろう。拷問されて殺されるよりかはまだましか。
そんなことを考えながら、僕は心の中で烈火のごとく怒っていた。いや、烈火ではぬるい。恒星の核のごとくキレた。いや、キレているのだろう。しかし、それを今は〘爆弾魔〙で抑え込んでいる。
北上先生の〘医者〙で蘇生できるかもしれないが、彼は僕らと同じインカムをつけていない。先ほどの戦い方を見て白い服の骸骨の面と北上先生は互角程度。電話をかけてもそれで隙を見せてしまう可能性がある。伝えられたとて、逃げられるかは不明。だが、僕らが直接行けば確実に5分を超える。もし行けたとしても、罠の可能性がある。それでこれ以上の死者を出すのは、得策とは言えない。仕方ない。〈鴉〉は捨てる。
「〘人形使い〙。」
彼方にそう呼びかけた。
「そうだよね。了。」
「〈百舌鳥〉は彼女を守って。〈鴉〉はあきらめます。」
「‥‥了。」
僕はそう言って天守閣から飛び降りた。
〈人形使い〉を使うことにより、操りであるためゆっくり降下することが可能で、足を痛める心配がない。そして、死角からの攻撃に備えることが可能。といういい点がある。まぁ、自分に体を動かす権利がないのは結構嫌だが。
飛び降りている最中。北上先生がいた場所から、一直線に一羽の真っ赤に燃えるような赤色の鳥が僕の肩にぶつかって、服を焦がし、灰になって消えた。
朱雀か。そういうことか。僕、いや俺の事を知ってるってことか。なるほどなぁ。受けてやろうじゃねぇか。その宣戦布告。
地面に着くと同時に体が自分の物じゃなくなる。次に来る自分の体の動きに合わせてその方向に力を加える。
そして、僕は坂本を殴った。あまりに弱かった。驚くほど。優也と戦っているとかいう話ではない。こいつはくそ雑魚だ。
彼方タイプの異能かもしれない。いや、平賀さんと戦った時よりも弱い。なんでだろう。変な感じがする。罠か?彼方をそのままにいしておくのは危険かもしれない。
そんな僕の元に桃色の花びらとともに救世主が登場した。
💣 💣 💣
萩野はついたばかりの平賀世界を見て絶句した。
城の天守閣の一部は崩れ、押し合いへし合いをしながら逃げる人、それを狙ったような火災。今目の前で〘RPG〙時代の産物が音を立てて壊れている。
ここの造りは、知っていれば入ることは簡単。しかし、出るには事前に準備が必要である。これが意味することは、いくら入れても、出さずのこちら側で殺す。昔ならよかったのだろうな。変異者全員が結託していたころならばね。
「マジかよ。」
隣で平賀がそう零した。
そんな私たちの方へ、坂本が連れてきたのであろう暗殺者や殺し屋などある程度裏では有名な人たちが集まってきた。
「なぁ、芹奈。こいつら情報持ってなさそうだから殺していいか?」
「えぇ。どうぞ。それからみんなはできる限り安全な場所に人を移動させて。邪魔があれば戦う事。」
〈BIRDS〉は今日で半分以下になる。これは確実。でも、仕方がない。全員。死は覚悟のうえでこの組織に入っている。さて、私は大規模に生きますか。
「〘清掃〙」
長屋を全て消し去る。これによって障害物が消えて彼方が能力を使いやすくなる。
ウィド&ディレ
92
榎本くもり
10,056
#面白くないかも
如月玲
37
谷崎爽奈
81
「さてと。一緒にこれを殺そうか。」
「えぇ、ミンチ肉にしたいところだが、それをほどの時間がねぇから。静脈を中心に切っていこっか。」
そういうとすぐに目の前の人たちの首の静脈を掻っ切った。
「早く彼方の元へ向かわねぇとな」
私と平賀は走って城の方へ向かった。もちろん。長屋を消すというのは自分たちにしか利益の無いことなわけではない。那須与一の〘狙撃手〙を〘漫画家〙が所持しているという事はこの開けた場所は格好の的である。
しかし、源内の〘想造者〙がここには居る。漫画家がその能力を使う場合、私の〘清掃者〙でも絶対に消せない嫌味な扇とやらを使ってくるだろう。残念ながら〘想造者〙の能力は、半径5㎞圏内で可能だと思ったことを可能にしても問題がなくなり、不可能だと思ったことは不可能になる。しかし、可能だと思ったことを現実でやってもいいという権利がもらえるだけで、それを使おうと思うと他の方法でなければ使えない。
要は、扇から矢が出ることが想像できるか?
答えは否だ。できない。つまり、それは不可能である。
つまり、あいつは今、能力を使えない。
そもそも、多くの変異者は世の理を超えている。
例えば、〘爆弾魔〙〘科学者〙〘漫画家〙〘清掃者〙は『質量保存の法則』を無視している。しかし、〘ICT〙〘独裁者〙〘巫女〙は、目に見えなかったりして、制御不可能なのである。
どれほど異様なことであっても、目に見えなければ考えるという事は一気に難解になる。ただの空気からCO₂を見つけ出してCとOに分解しろと言っているようなものだ。いや、それはまた違うか。
とにかく、見えない物の存在を否定するのは一気に難解になる。
そう。目に見えない矢で撃たれたら存在の否定のしようがないのだ。
「萩野さんっ!」
〈カササギ〉が私の目の前に立ちはだかる。次の瞬間。〈カササギ〉の肩から血が噴き出した。いきなりだ。刃物も凶器も何も見つけられなかった。
「萩野さん。先行ってください。」
なぜだ?いや、考えるだけ時間の無駄だ。変異者に理屈を合わせるだけ無駄なことだ。
💣 💣 💣
おかしい。こいつは、弱すぎる。なぜ?わからない。こいつは敵のリーダーだよな?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?
分からねぇ。けど、後で考えればわかる。全ての情報が出揃ってから出せばいい。それによって、考えればいい。遅いかもしれない。でも、もしも誤って、しまうかもしれないことが怖い。ここに〈鴉〉が居たら自信を持って行動ができるのに。敵の狙いはおそらくそれだったのだろう。
相手は反撃してこない。いや、反撃できない。これ以上やれば相手が死ぬ可能性すらある。でも、彼方が操っているから、殴る 殴る 殴る 殴る。勝手に体が動く。今ただただ彼方が動かしてる力だけで動いていても彼はぼこぼこにされていく。
もうそろそろやめるべきだ。
そんな僕はいきなり伏せた。もちろん、今の僕に自分の体を動かす権利はない。つまり、彼方が何かを危険だと思ったから。
先ほどまで僕の首があった場所を切れ味のよさそうな日本刀が通過する。なるほど、エフィーさんがやってきたってことか。
だが、一つ分かった。こいつは今能力を使用することができない。理由はこの前のやつ。つまりは、100㎜の銃弾‥‥いや、砲弾をこの体の近くでやられれば、気付いたところで、伏せたところで、まったくもって関係なく。100%死ぬ。
しかし、こいつはそれを使わなかった。いや、使えなかった。つまりこいつの能力は‥‥わからん。
まぁいい。こいつは今能力を使えない。ならば問題ない。理屈など考えなくてもいい。生きて後で考えればいい。
腰の刀を抜いて、エフィーさんに斬りかかる。しかし、彼はそれを当たり前のように受ける。まぁ、そりゃあそうだ。あのマガイモノみたいなものじゃない。変異者だ。力だってある。
彼自体の動きは基礎をきちんと固めてあるというよりかは、もともとの能力を加味したうえでの戦闘スタイルなので、粗はある。が、それ以上に経験で全部対応してくる。僕自身だけで使えばいけるかもしれない。
「〈百舌鳥〉彼方にいったん能力を切らせて」
少々息切れをしながらそう言った。はっきりと相手にも聞こえたのだろう。少々警戒したような雰囲気が感じられた。仮面をつけているため顔はわからない。これで顔を重点的に攻めて仮面をぶっ壊して、顔を知ろう。それから後で調べて、暗殺でもしよう。なんなら、家族の前で斬殺してやる。いや、家族を目の前で拷問してやる。
スッと、体の自由を体感する。やはり、こちらの方が戦いやすい。
そうだ。エフィーさんを操って固定してもらえばいいんだ。能力を使えない。体の自由もない。こうなれば簡単に殺せる。
「〈百舌鳥〉。彼方にこいつを固定させて」
『了。』
エフィーさんが、ピタリと動きが止まった。エフィーさんの手から刀を抜き取り、遠くに投げ捨てる。驚くほどに弱く感じた。いや、はっきり言ってクソザコとしか言いようがない。変異者としての身体能力も使えない。変異者としての能力も使えない。一般人を相手にするよりも簡単だった。
とはいえ、他の変異者がいつ来るかわからない。できるだけ早くこれの相手をしないといけない。エフィーさんの仮面を外した。
顔を見た瞬間———僕は仮面を落とした。時間が止まったような錯覚に陥った。それほどの衝撃だった。
コメント
1件
おおおお!!第32話、めっちゃ熱かったわ🔥 加藤の“なんで”連呼、あれすごい演出だね。頭の中ぐちゃぐちゃになってるのが伝わってきてゾクッとした。ラストで仮面外した瞬間の衝撃、まじで鳥肌…誰の顔見たんだろ!?続きが気になりすぎて暴れそう。 戦闘中の能力の切り替えとか、味方の連携とか、設定の解像度エグい。強いわ、ゆのさん🔥