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顔を見た瞬間———僕は仮面を落とした。時間が止まったような錯覚に陥った。それほどの衝撃だった。
その顔は——賀川潔。賀川財閥の総帥にして、生徒会 副生徒会長 賀川水城の父親。
こいつが‥‥〘科学者〙。
「君は、僕の顔を知っているんだね。」
賀川潔。〘科学者〙がそういった。
「予想だけど君は畠中 幸人。違うなら、優也かな?まぁいいや。畠中君。あの娘には手を出すな。あの娘は‥‥」
最後まで言う前に僕の体が城の3階ほどにまで持ち上げられた。
坂本は、どこからか取り出したのだろう、短刀で僕を刺すつもりだったのだろうが、今は忌々しく僕をにらんでいる。にらみ返すと少々おびえたような顔をしたが、平静を装っている。
『こちら〈Gallus〉。〈梟〉さん。単独で動いています。』
「何をやっている?」
言いながら予想はついていた。
生徒会でいた時の襲撃で分かる通り、〈BIRDS〉の日本支部の僕らとフランス支部では装備の重さが全く違う。戦い方もすべてが大きく違っている。そもそも、〈BIRDS〉日本支部での死者数は今まですべての死者数を年の平均にすると、年間53.4。フランス支部では4.2。
安全性。危険性の問題ではない。考え方の根本が違うのだ。個々の命を軽んじる日本支部と、個々の命を大事と考えるフランス支部。これは、フランス支部だけではない、ドイツ・イギリス・欧州連合・カナダ支部。
まぁ、日本支部のような戦い方をする方が少数派で、欧州の方は圧倒的に数が多く、死者数も少ない。つまり、どこかの支部の人間が死んだ場合、よく補充のために来るのが欧州の人間だ。
日本支部は通常。遺体を回収しようとしない。必要な場合を除き助けに行かない。安全が確認されてから、誰かが動く。〈鶴〉の遺体もそうやって回収された。欧州の連中は何が何でも回収して供養する。もちろん、もしもの時のために魔術師は付けたまま。だが、日本支部はそんなことに魔術師を使わない。
だから、日本支部に来た補充要因の多くの死因が、仲間の遺体を回収しようとしたことによるものだ。
「言わなくていい。許可しない。」
『では、フランス支部の一人として勝手に動かさせていただきます。』
支部ごとに権利を持つが、他支部に対する口出しは禁止されている。つまり、〈Gallus〉を制限することは不可能。
「死んだ場合は自己責任で。」
そう、この言葉を吐くのは何回目だろう?100人以上の人間に吐いてきた言葉だろう。帰ってきたのは、合計3人。今回も帰ってこないだろう。
そんな僕は、殺気を感じた。しかし、彼方にわかるはずも、僕に伝える暇もなかった。
次の瞬間。僕の右肺に何かが突き刺さった。肋骨を折って入ってきたようで、痛すぎる。背中にも温かい液体を感じるから、貫通してるのだろう。何も見えなかった。感じたのは殺気だけ。感覚としては弓矢のようなものか。矢で肺を貫かれたことも、体を矢が貫通したこともないためいまいちわからないが。
殺気を感じて、見えない矢だけ。まるで、『名人伝』の不射の射みたいだ。まぁ、あれとは違い、物理的にも影響するようだが。
気管支がゴボリ ゴボリと音を立てる。口から血がしたたり落ちる。息をするだけでズキ ズキと痛む。できることならば、左肺だけで息をしたいほどだ。
落ち着いて深呼吸一つできない。ゆっくりと足が地面に着き、体が自由になる。
——〘爆弾魔〙。〘痛み〙の消去。 決定。
——〘痛み〙は感情出ないため消去できません。
マジかよ。いや、普通に考えたらそうか。
先ほど、萩野さんと平賀さんが走ってくるのを見た。後2分ほどすれば来るだろう。
しかし、それはかなわなかった。僕の目の前から二人が姿を消した。
スッと。視界から消えた。
少し考えればわかった。この前からあそこの通りは舗装工事をしている。そして、そこの工事担当は旭さんだった。つまり‥‥。考えるのにそこまで時間は要さかった。
もっとも単純にして原始的で。だからこそ見落とす。罠。の中でも一段と原始的な物にして、萩野さんと平賀さんだと対応できないもの。
コメント
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うわああああ第33話読み終わったよぉぉ😭💦!!賀川潔が科学者だったのマジで衝撃すぎるし、顔見て仮面落とすシーンの緊張感がヤバすぎて心臓バクバクしたよ…! 主人公が肺貫かれた描写もエグくて「痛みは感情じゃないから消去できません」のシステムの限界にゾッとした😱✨でもそんな中で冷静に罠を読んでるところがカッコよすぎるんだが?萩野さんと平賀さんが突然消えたところで続きが気になりすぎて夜しか眠れないよ〜!!ゆのさんゆのさん、次話も楽しみにしてるからねっ🌸💕