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ORVAS前線作戦区域 ― 戦闘エリア
戦場は、凄まじい戦闘の余波に包まれていた。
畑中率いる部隊は、漆原隼人が放つ“虚無の波動”によって、じわじわと追い詰められていく。
空間は歪み、瓦礫は浮き上がり、黒紫の波動がすべてを侵食していた。
「これで終わりだ、畑中……」
隼人が静かに手を掲げる。
「すべて無に還れ」
その瞬間――
“完全なる虚無”が放たれた。
空気が裂け、光すら呑み込みながら、黒き波動が畑中へ襲いかかる。
畑中は脇腹を深く裂かれ、血を吐きながら膝をついた。
それでも倒れない。
仲間を守るため、なお前に立ち続ける。
だが、その時だった。
轟ッ――!!!
紅蓮の炎が戦場を切り裂いた。
「待たせたな!!」
炎の中から、公太が現れる。
その身体には、灼熱のオーラが燃え上がっていた。
「……」
唯我が静かに前へ出る。
漆黒の刀――《龍焉刀》を携え、その瞳には迷いがなかった。
「もう安心してください……!」
一祟の声が響く。
彼の拳には、風が渦巻いていた。
三人が、ついに戦場へ帰還した。
かつての未熟さはない。
修行を乗り越えた彼らの身体には、“ネオ・コード”の力が確かに宿っていた。
隼人が目を細める。
「……誰だ、てめぇらは」
その声には、わずかな警戒が滲んでいた。
三人は答えない。
真っ直ぐ畑中のもとへ駆け寄り、その身体を支える。
「……お前ら……」
畑中が苦しげに息を吐く。
「ついに、完成させたんだな……」
その背後で、虚無の波動が再び膨れ上がった。
だが――
もう、誰も怯えてはいなかった。
次の瞬間。
三人が同時に飛び出す。
「《灼獄》ッ!!」
公太の炎が爆発する。
紅蓮の壁が虚無を焼き裂き、黒い波動を押し返していく。
「――斬る」
唯我の《龍焉刀》が閃く。
黒紫の軌道を読み切り、鋭い斬撃で隼人を翻弄する。
「これで……終わりです!」
一祟の《神威撃》が炸裂。
暴風を纏った拳が、一直線に隼人の核を貫いた。
「……クッ……!!」
隼人が初めて苦悶の声を漏らす。
虚無の波動が暴走し、漆黒の渦が戦場を覆った。
しかし――
三人の連携は、その防御を確実に崩していく。
やがて隼人は膝をつき、剣を支えに荒く息を吐いた。
「俺は……すべてを捨てたはず……なのに……!」
その瞳の奥で、かつての記憶が揺れる。
仲間だった頃の記憶。
失った時間。
壊れてしまった信頼。
隼人がゆっくり顔を上げた。
「畑中……覚えておけ……」
黒紫のオーラが再び膨れ上がる。
「お前との決着は……必ずつける」
その瞬間。
空間に闇の裂け目が現れた。
激しい衝撃とともに、隼人の身体は虚無の渦へ呑み込まれていく。
「……!」
公太が目を見開く。
唯我が刀を構え直す。
一祟が警戒しながら風を纏う。
だが――
裂け目は閉じ、そこには何も残っていなかった。
静寂。
戦場に風だけが吹き抜ける。
異形の気配は、完全に消えていた。
「……お前ら……」
畑中が血に濡れたまま呟く。
「本当に、強くなったな……」
三人は何も言わない。
ただ静かに頷いた。
その拳には、今なお熱と決意が宿っていた。
崩壊した戦場。
虚無の波動が刻んだ爪痕は、空間すら歪ませている。
割れた地面。
崩れ落ちた壁。
そこには、死闘の痕跡だけが残されていた。
公太が口を開く。
「畑中……あいつ、何者なんだよ」
炎を消しながら、公太は低く続ける。
「お前と知り合いみてぇだったけど」
畑中は深く息を吐いた。
その目には、遠い記憶の影が宿っている。
「……それについては、ジュリーから聞け」
そして小さく呟いた。
「今は……ここを離れるぞ」
その時。
遠くから車両のエンジン音が近づいてくる。
救援部隊だった。
畑中は最後に一度だけ振り返る。
かつて仲間だった男が消えた場所。
そこには、ただ“虚無”だけが残されていた。
「……急いで帰るぞ」
そう言って、畑中は歩き出す。
その背を、公太、唯我、一祟の三人が静かに追いかけた。
それぞれの胸に――
未来への覚悟と、
まだ語られていない“過去の真実”への疑問を抱きながら。
そして物語は、
さらに深い闇へと進んでいく――。
ももは
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