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綺麗なものには裏がある。
有名な言葉、よく使われるフレーズである。美しいは花には刺があるし。だとか綺麗な人は性格が悪いだとか。それは一種の負け惜しみである。綺麗な人が心まで綺麗だと。醜く、性格の悪い。いや間違えた。醜く、性格のいい人が勝ち目がないのだ。人にはどこか欠点がある方が。親しみやすい、とでと言うのだろうか。
だからこそ、裏表のない人は嫌われるのだ。
しかし美しく、気立てが良い好青年がいるというのに誰からも、嫌われない奴がいた。おそらくだが、僕以外とコミュニケーションを取って居ない奴がいたのだ。そして僕に気にいられていたのだ。彼は誰からも嫌われていない。会ったことも関わったこともない人を嫌う人はそうそういないからだ。
僕は少し腹立たしかった。僕はこんなに傷ついて生きているのに、なのにこいつはずるい。誰からも嫌われないからだ。知り合いである人全員に好かれているのだから。僕みたいにみんなから好かれたい嫌われたくない。などと無謀な夢を描かないで済むのだから。
「誰かと合わないの?」
「会ってるじゃないか、君とさ」
「他の人は?」
「……会ってもいいの?」
「え?だって、そりゃあ、当たり前じゃないか」
「当たり前……いいの?君はそれで僕が他の人と話していいの?」
僕が彼を好いているのを、彼は気づいていたのだろうか、独占欲に、気づいていたのだろうか?きっとそうだ。
「……」
でも、苦しんで欲しい。好いているからこそ。僕と同じく、苦しみもがいて欲しい。いくら理解したって、する気があったって。それを実感する以上の共感なんてないのだから。
「会っていいの?ねぇ、ねえってば」
僕がこんなに苦しいのだから。好きな相手には同じように苦しんで欲しくない。だなんてそんな真っ当な好意じゃないからこそ、嫌われる痛みを知って欲しいからこそ。
「いいよ、僕友達連れてきてもいいかな?」
「本当に!?本当にいいの?」
嬉しそうだった。こんなにも、酷いことを考えているのに、こんなにも歪んでいるのに。こんなにも。君が苦しむのを望んでいるのに。少し悲しかった、僕も一応善人でいたいし善人の心を捨てる気もないから、心は傷んだでも、でも、 苦しんで欲しい
「君がお友達だね!よろしく!」
「よ、よろしく!」
すぐに仲良くなっていた。僕をほっぽってふたりは話していた。理解していた。彼は魅力的だ。何回も会っている僕だって見とれる。何度見ても綺麗なものには見とれるものなのだ。彼は人によって態度を変えたりしないし、誰に対しても優しい。だから僕と同じように彼に接するのだ。ずっと関わっている僕と、ついさっき知り合った彼。同じ、対応なのだ。心のどこかで特別扱いされている気になっていた僕は現実を見ることになった。
しばらく経って、僕が紹介した友達は一目散に僕も待たずに毎日のように彼がよくいる丘へと向かうようになった。
「僕用意終わってないのに、先に行っちゃってさ、」
僕も後を追った。
そこには僕の友人を食べている。彼がいた、僕は目が離せなかった。目の前で目を見開いたまま、血を流す彼がいた。下半身はない。下半身から食べるのだなぁ、
目が離せなかった。話せなかった。声も出なかった。その場に立ち尽くした。見惚れていたのだ。初めて彼が食事をするところを見た。食べている所作でさえ美しい。
「あ!やっと来たァ、」
彼は、いつも通りに話しかけてきた。
その後震えを抑えながら話をした。僕は理解した。僕が誰かと関わったりはしないのか?という問いに。彼は「いいの?」と聞いてきた。あれは独占したい思いに気づいていのではない。人を食ってもいいのか?という問いだったのだ。そして。もう1つ彼は人だ。人を食っているのを見て彼は人ではないのでは?化け物なのかもしれないと思ったが人なのだ。なぜ?ナゼ?何故?彼は人を食べる?自分も人なのになぜ人を食べられる?
僕は理解した。理解するしか無かった、というか、結論を出さずにはいられなかった。
納得できなくてもするしかないのだ。
全ては一言で片付いた。
綺麗なものには裏がある。
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