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人狼ゲームです
襲撃シーンや処刑シーンは残酷な描写にはしないのでご安心ください(・∀・)
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__その日は、ただの月曜日になるはずだった。
「ふぁああ〜…眠……」
俺は欠伸を噛み殺しながら、校門をくぐった。そして隣にはたっつん。
「朝からだらけすぎだろってじゃぱぱ、」
「昨日遅くまで動画観てたんだよ」
校舎に入ると、いつものメンツが自然と集まってくる。
「じゃぱぱ、今日の昼なんだっけ?」
ゆあんくんが聞いてくる。
「知らねー。購買じゃね?」
「鶏肉系なら神」
「またそれかよ」
その後ろでは、どぬがもふくんに眠そうな顔してべったりくっついているし、なお兄は花の図鑑を読んでる。
のあさんは、えとさんとるなと一緒に歩いてきて、いつも通りふわっとした声。
「おはようございます、じゃぱぱさん」
「おはよー、のあさん」
――全部、いつも通りだった。
教室に入って、チャイムが鳴って、担任の先生が来るはずだった。
……はずだった。
「……あ?」
違和感に気づいたのは、窓の外を見たときだ。
外が、真っ黒だった。
夜でも霧でもない。
ただ、黒いペンキで塗り潰されたみたいに、何も見えない。
「ねえ…外、変じゃない?なんか、」
ヒロくんの声が、少しだけ震えている。
みんなが一斉に窓に集まる。
「なにこれ……?」
るなが目を見開く。
「やば、外が消えてるみたい…」
もふくんが冗談みたいに言ったけど、誰も笑わなかった。
次の瞬間。
__ガチャッ
教室のドアを、たっつんが思いっきり引いた。
「……開かない」
「は?」
ゆあんくんが代わって引く。
「…固すぎ…マジで動かねぇって」
「窓割ればいいじゃん」
えとさんが言うと、ひょいと近くの椅子を持ち上げた。
「ちょ、えとさん!?」
___ガンッ!!
ガラスに当たった瞬間、ヒビ一つ入らなかった。
「……っ」
空気が、急激に冷えていくのを感じた。
そのとき。
___ブツン。
教室の電気が一斉に消え、前方の黒板上に設置されたモニターが点灯した。
映っていたのは、人影。
顔は歪んだ仮面で隠されている。
『ようこそ、12人のプレイヤーたちへ。私はゲームマスターです』
機械音声が、教室に響く。
『あなた方には、これから___人狼ゲームをしてもらいます』
「……は?」
誰かの声が、喉に詰まった。
『すでにあなた方のポケットには、それぞれの役職が入っています』
俺は、反射的に制服のポケットに手を入れた。
__紙がある。
指先が、冷たくなった。
『他人の役職を見る、または見せる行為は禁止。破った場合、その場で死亡します』
「……はあ!?ドッキリか何かだろ絶対!たち悪いぞ!」
たっつんが声を張り上げた。
『ご安心くださいドッキリでも冗談でも夢でもありません』
『勝利した陣営の中でも生き残った者だけが、この学校を出ることができます』
『各々、1人1部屋教室が割り当てられています』
『夜9時から朝6時までは、各自の教室から出ることは禁止です』
『破った場合、死亡します』
「……死ぬ、って…」
のあさんの声が震える。
『役職と人数は、以下の通りです』
モニターに文字が浮かぶ。
人狼:3人
狂人:1人
占い師:1人
探偵:1人
騎士:1人
パン屋:1人
村人:4人
『では__地獄のゲームを、楽しんで』
___プツン。
モニターが消えた。
しばらく、誰も喋れなかった。
俺は、震える手で、ポケットの紙を取り出す。
そこに書かれていた文字を見た瞬間、
心臓が、嫌な音を立てた。
[あなたの役職は【狂人】です。人狼陣営ですが、誰が人狼かは分かりません。]
(…マジ、かよ)
喉が、からからになる。
誰も信用できない。
でも、誰とも疑いたくない。
ここにいるのは、昨日まで一緒に笑ってた、友達なのに。
「……なぁ」
俺は、無理やり声を出した。
「とりあえず……集まろう。何が起きてるか、整理しないと、」
誰かが、静かに頷いた。
こうして俺たちは、逃げ場のない学校で、人を疑い、疑われるゲームを始めることになった。
これは、まだ誰も死んでいない、朝の話だ。