バスに揺られ、スマホをボーッと見つめる。母さんには一応連絡した。帰りは遅くなること。病院に行くことも含めて。
🌟「……」
バスの中は人が数人いたのに、とっくの前に誰もいなくなってしまった。1人ぼっちだ。
🤖<家に帰り着いたら連絡して
<何があるか分からないし、
寧々からメッセージが送られてくる。ほんとに優しいな。
🌟<わかった。
<最悪遅くなれば学校を休む。
スマホの電源を切り、外を眺める。いつ帰れるだろうか、。
🌟「帰れれば別に良い、」
そう呟いて、あくびをする。そう言えば寝ていなかったな。
瞼がだんだん重くなり、視界が狭まる。窓側に肘を置き、オレは眠りについた。
「あのぉ…、」
🌟「む、」
声をかけられ、ハッとする。久々に寝たことで頭がスッキリした。やはり、寝ることは大切だな。
「バス…ここが最後の停留所ですが…」
🌟「あ、あ、!!!」
「終点ですが大丈夫でしょうか?もしかして、寝過ごして…、。」
🌟「だ、大丈夫です!ボク、ここで降りる予定だったのでっ!!」
身支度を済ませ、急いでバスを出る。バスの運転手には申し訳ない。
🌟「すみませんっ!!」
「いえいえ、お話は聞いていたので…」
🌟「え?」
「いつも終点でおりる、金髪のお客様がいると同僚から聞いておりまして、、」
🌟「っ、」
「…頑張ってください。」
🌟「あ、はい!」
「すみません、赤の他人からですが、」
🌟「いえいえ、凄く嬉しいです!」
見ず知らずの優しい男性から声をかけられ、自然と笑顔になる。一礼し、駅へと急ぐ。時刻は8時過ぎ。そこから電車で1時間はかかる。
🌟「えっと、時刻表は…、」
スマホ片手に調べると今から10分後に目的の駅まで行く電車があった。
🌟「よし、」
何とか行けそうだなぁ、。片道3時間。バス代も電車代も馬鹿にならない。それなのに、お金を出してくれる母さんには感謝でしかない。
🌟「…遅いし何か買って行くか、」
駅の中にある店を見渡す。そう言えば、お腹も空いていたな、。
🌟「あ、あそこは限定の柑橘系ケーキか、」
寧々は確かグレープフルーツが好きだったはず。ケーキは流石に腐ってしまうため、クッキーなどにするか、。今の時刻ではあまり、列もできていない。
🌟「すみません、ケーキ2つもらえませんか」
「え、あ、はい!」
店員さんに頼み、目当てのものが箱の中に入っていく。
「学生さんですか、??」
🌟「あ、はい、」
「夜遅くまでお疲れ様です。」
🌟「…、店員さんも遅くまでお疲れ様です!」
「いえいえ、仕事ですし。えー、お代は…」
今日はやけに良いことがある。こんな優しい方々がもっと増えれば。…そんな甘くは無いけどなぁ、。
🌟「ありがとうございました。」
「あ!おまけにちょっとしたお菓子も入れてます!よかったら、どうぞ!」
🌟「…!!、本当にありがとうございます」
「頑張ってください。」
さてと、ケーキも買えた事だし駅のホームへ…、
「____って言ってんだろ!?」
チクリと刺さる痛み。一瞬で何か判断できた。…DomのGlareだ。せっかく、気分が良かったというのに。
「すみ、ません、」
「謝られて許されるんなら警察なんていらねぇんだよッッ!!」
公共の場で騒ぐなんてとんだ馬鹿だな。駅のホームはガラガラだ。帰宅ラッシュは、とっくの前にすぎてしまった。周りの人が少ないのが救い、か。
「たかが、Subごときで何を言ってるんだ?」
🌟「…Sub、??」
「すみ…ま、せん、」
1つの言葉が耳に嫌なほどスっと入ってくる。…相手はSub?、それにDomであるオレですら痛いと感じるGlareの強さ、。
これはッッ、
「かひゅ…かひゅ…ごめん、なさ」
「謝ることしか出来ねぇのかッッ!!」
止めなくては。相手は過呼吸だぞ!?
「なぁッッ、」
🌟「やめて、やってくれないか、」
一体周りの大人は何をしている?数人いるなら誰か止めるべきだろ?
「かひゅ、かひゅ、」
🌟「彼は過呼吸だ。そんなに責め立てなくても…。」
「あ”ぁ”、なんだお前?」
🌟「通りすがりの学生だが?」
怒鳴りたてるDomに少しだけ、オレもGlareを出した。こういうタイプはどちらが上か分からせないといけない。
「チッ、お前Domかよ」
🌟「悪いか」
「それにその制服。神高だろ?」
🌟「答える義務は…、」
「なぁ、神代類はどこいった、」
🌟「は?」
「最近学校に来てないらしくてよ。」
目を見開いた。どこかで見覚えがあると思ったんだ。
🌟「お前は…」
「まぁ、良い。自分でなんとかするかぁ、。」
廊下ですれ違った、あの狂気感。
…寺田、瑠衣奈だ。
腹立たしさと込み上げてくる殺意。何がどこいった、だ。お前のせいでッッ!!
「おっと…すごいGlareだな、」
🌟「なんだ」
「どこの誰かさんか知らねぇけど、神代類を知ってるみたいだな」
🌟「……」
「なぁ、アイツはどこいった?まさか、もう死んだか?笑」
🌟「チッッッ!」
死んだ。お前のせいで、お前のせいでッッ。飛びかかろうとした、その時だった。
「…ごめ、な…さ、い、」
🌟「え、?」
「あーあ、俺知らないからな」
後ろにいたSubが倒れてしまったのだ。そこでやっと自分が今、何をしていたかを思い出す。…極度なGlareを浴びせてしまった。オレが今すべきことはCareだったのではないか。
🌟「〜ッッ!!」
「じゃあなー」
追いかけたいのに、この人を置いて追いかけるなんて無理だった。睨むことしかできない。
🌟「大丈夫ですかッッ!!」
「はひゅ、はひゅ、」
完全なるSub dropだ。電車ももうすぐで来てしまう。1本遅らせるか?いや、だめだ。1本遅らせれば、次はまた一時間後だ。刻々と時間は過ぎていく。
🌟「どうすれば、どうすればッッ、」
?「司…先輩、??」
低く落ち着いた声が頭の中に響く。身長はオレより高く、小さい頃いつものように遊んでいた姿からは考えられないほど容姿はオレの次にかっこいい。
🌟「…とう、や、??」
☕️「司先輩、どうして…」
どうしてはこちらのセリフだ、と頭の片隅で思ったが、そんなことよりも。
🌟「冬弥、次の電車はッッ!!」
☕️「いや、あとは帰るだけで…」
ツートンの髪がサラッと風でなびく。…後輩に頼むべきなのだろうか、。時間はそれなりにたっている。もし、これで頼めば冬弥の帰る時間は遅くなってしまう。
☕️「??、」
🌟「……やはり、なんでも、」
電車が通る音がする。サッと後ろの方を見ると、目で確認できるほど近かった。
まずい。もう時間が…。
頭をフル回転するが出てくるのは1本遅らせるしかない。
☕️「先輩?」
きょとんとこちらを見ている。自分でやってしまったことだ。…仕方あるまい。
🌟「冬弥…。なんでもない…、」
☕️「もしかして、この電車にお乗りになるのですか?」
🌟「、」
☕️「…その方はこちらで引き取りますよ」
🌟「は、??」
☕️「知り合い…ではなさそうですね。」
ニコッとこちらを見て笑い、冬弥が倒れているSubを抱き抱える。
🌟「だがッッ、」
☕️「大丈夫ですよ、司先輩。もう、あと帰るだけなので。」
🌟「帰るだけなら尚更ッッ!」
☕️「…先輩はまだ用事があるのでしょう?とても大切な。」
🌟「っ、、」
電車が音を立てて止まり、自分の目の前で扉が開く。
☕️「長年一緒にいたので分かります。」
🌟「それ…は、」
☕️「そんなに悩まずに行ってください。お互い様ですよ。」
拳をきゅっとキツく握る。不甲斐ない。後輩である冬弥に気を使わせてしまった。
🌟「…っ、すまないっ。この恩はいつか返す、っ。」
☕️「気にしなくて大丈夫です!」
一礼し、電車の中に入ってく。
今日は色々な人に助けられた1日だった。
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