鈴蘭の花が開くとき

「みんなが幸せになれますように。」

何度この言葉を聴いただろうか。

何度心の中で言い訳しただろうか。

何度死にたいと思っただろうか。

それを止めてくれたのは、貴方だけだった。

唯一、この腐った世界に産み落とされた、「本当の人間」

貴方だけが、この腐った世界から私を救ってくれた。

そんな貴方はもういない。

私を抑える救いの手は、もう天に召されてしまった。

私を抑えられる者はいない。

貴方に会いたい

生まれて初めて、恋に落ちた。

周りの人とは少し違う、別次元を生きてそうな人だった。

でも、生気を失っているように見えた。

まるで、この世界に絶望しているようだった。

そんな貴方を、私は救ってみたかった。

私の手元に置いてあげたかった。

でも、私が先に天に召されてしまった。

今、貴方はどうしているのだろうか。

死ぬ直前、鈴蘭の花が視線の先にあった。

貴方に会いたい

　　　　　　　　　　　　　　　　　鈴蘭の花が開くとき