テラーノベル
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撮影終わりの夜。車の後部座席で、こさめは窓に頬を預けていた。
静かに深呼吸をして、熱の残る胸の奥を抑えるように。
助手席から、運転席のなつが目線を投げる。
🎼🍍「こさめ、今日……すちに何か言われたか」
🎼☔️「……ううん。なつくんが思ってるようなことじゃないよ」
🎼🍍「そうか」
返事は短い。でも、そこにある支配欲はいつもと同じだった。
🎼☔️「……こさめ、ちゃんとわかってるよ。
誰がなんて言っても……こさめの“番”は、なつくんだけだって」
🎼🍍「……言わせる前にわかれ」
その言葉に、こさめは思わず微笑む。
🎼☔️(怖いのに、やっぱり……好きだって思っちゃう。
でも――誰かに優しくされるたび、こさめはちょっとずつ“檻の外”に目を向けてる)
⸻
その頃、別の部屋。
こぢんまりしたスタッフルームで、すちはお茶を淹れていた。
その手元を見つめながら、みことがぽつりと呟く。
🎼👑「……昔もさ、こんな風にお茶淹れてくれたよね。
あのときも、俺が泣いてるのに、すちくんは何も聞かないで、ただ静かに座ってくれてた」
🎼🍵「ん〜。泣いてるみことちゃん、すっごく可愛かったからな〜」
🎼👑「……茶化さないで」
すちの手が止まった。
🎼👑「……あのとき、俺の両親に何があったか……すちくん、ほんとは知ってたよね」
🎼🍵「うん。知ってたよ」
🎼👑「でも、言わなかった」
🎼🍵「……うん」
すちは、にこりと笑う。
🎼🍵「俺、“人の檻”を勝手に壊すの、好きじゃないから〜。
檻って、誰かに開けてもらうより、自分で壊した方が強くなれるって思ってるんだ〜」
みことの胸がちくりと痛んだ。
🎼👑「じゃあ……こさめちゃんにも、“自分で壊してほしい”って思ってるの?」
🎼🍵「……ううん。
こさめちゃんの場合は……なんていうか、“壊さなくていい檻に、気づかないまま閉じ込められてる”って感じなんだよ〜」
🎼👑「なっちゃんとの関係、ってこと?」
すちがふわりと笑う。
🎼🍵「うん。でもね〜、ひまちゃんって、誰よりも“繊細な鎖”で人を囲うから……気づいた時には、もう外に出られないってことも、あるんだよね」
🎼👑「……すちくん、こさめちゃんを救いたいの?」
🎼🍵「救うって言葉、あんまり好きじゃないな〜。
俺がやりたいのは、“逃げ道があることを教えてあげる”だけ〜」
その言葉が、みことの心をざわつかせた。
🎼👑(……すちくんの“優しさ”は、やっぱり時々、怖い)
⸻
その翌日。
控え室では、らんといるまが缶コーヒー片手にくつろいでいた。
🎼🌸「なっちゃん、ちょっとこわかったね〜昨日」
🎼📢「すちとこさめが話してたからだろ」
🎼🌸「ふふ、嫉妬ってやつ? かわいいなっちゃん♪」
🎼📢「違ぇよ。あいつは、ほんとに“失うこと”を恐れてるだけだ」
🎼🌸「……なるほどね」
らんが、こっそりいるまの袖をひっぱる。
🎼🌸「ねぇ、いるま。……もし、うちのグループの中で“亀裂”ができたら、どうする?」
🎼📢「壊す。全部」
即答だった。
🎼📢「……うわ、さすが」
🎼📢「オレの指揮下で動く奴らに“裏切り”の余地はねえ。
全員で行くか、全員で落ちるか。それだけだ」
🎼🌸「……ほんと、マフィアだね。
それでも、こさめに“戻る道”があるとしたら、なっちゃんじゃなくて――もしかしたら、すちかもね」
ふと、いるまが横を見た。
同じ控え室に入ってきたこさめに、すちが笑顔で手を振る。
🎼🍵「こさめちゃ〜ん、今日もかわいいね〜♪」
こさめは少しだけ、肩をすくめて――でも、静かに微笑み返した。
……その笑顔は、“檻の中”じゃ見せなかった笑顔だ
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