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__二人の出会いと課長__🥀𓈒 𓏸
明け方の午前6時半__電話を受けたダレイは1人、深夜の緊急病院へと車で向かう
車を運転するダレイの目は真っ直ぐ先の道路を睨みつけている
頭の中はずっとノアとの電話の会話がずっとオウムの小言のように繰り返されていた
(課長が……誰かにやられた…??)
犯人に心当たりなんてない。
あの人は周りから恨みを買うような人なんかじゃない
(誠実で真っ直ぐで…誰もが尊敬する素晴らしい人だ…!!)
それなのに……
彼が病院に着くと早足で廊下を歩き、既に搬送された課長の元へ行く
ホールに着いて早々、後ろから声をかけられる
声の主の、ノアがダレイの元へ駆け寄る
「ダレイ…!!よく来たな…」
「課長は…!」
「お前を迎えに来たんだ…!課長は今緊急オペ中だ…!早く来い!」
ノアが廊下を駆け出す
非常識だが緊急事態なのは変わりない。俺もあとから続くように前方注意しながら後に続いた…
「じゃあね!マイク!また逢おうね!」
ヒラヒラとチップを光らせながらミジ達は店の扉を開けた
手元を蔓で押さえられたマイクは身動きが出来ず,出ようとするものを声で呼び止めた
「………一体何をしたんですか…?」
ミジはゆっくり振り返り,丁寧にネイルされた爪を口元に当てる
当てられた口元は左右に開く
「……明日の報道が楽しみね?」
チリン___
質問に答えず,3人は店を後にした
しばらく経った…マイクの手を拘束してた蔓が枯れ、力なく落ちた
(ミジ……いつまで私に……)
忽然とした店内はまたいつも通りの静けさが残る
手首の跡だけは…残ったままで__
ダレイ達は廊下の椅子に腰をかけ,課長の治療を待っていた
静かに下を向き頭を抱えるダレイ
課長の事が心配で仕方が無いのだ。
「……課長は大丈夫だ、ダレイ」
ダレイの考えてる事がまるで分かるかのようにノアは声を掛けた
「……悪い…心配かけさせて…」
「良いってことよ……お前もしんどいと思うだろうし」
「……いや、俺じゃない…課長だろう…」
ダレイは下を向いたまま,呟くように話しており、その様子を何も言わずにずっとノアは見つめている
「……」
「……」
しばらく、互いの間では沈黙が続いた
だが…暫くし2人のうち片方が口を開いた
口を開いたのは…ダレイだった
「なぁノア…課長が…新入りの俺たちに言ってくれた言葉……覚えてるか?」
「おいよせよ……まるでフラグみてぇじゃねぇかよ…」
しかしダレイは何も言わない
少し悩んだが、ノアは彼の言われた質問にしっかり応じた
「…………覚えてるさ…」
7年前___
刑事の始まり…入校式。
式が始まる数十分前…桜の下では2人の新人…ダレイとノアが少し離れた距離で並んで立っている
互いに顔は合わせた様子は無い
2人の目の前には1人の若いベテランの女性刑事が腕を組み、呆れた様子で立っていた
スーツを着こなしている女性の身体はスラリとしていて大人らしい風格がある
細く、程よい筋肉を持った脚は黒ヒールを履いている
女性の目線先の2人は驚くばかりの姿をしていた
入校式が始まる前なのに関わらず、金髪の男の制服はかなり乱れており,黒髪の男の方は鼻血が出ている
どうやら二人の間で揉め事があったみたいだ
女性が目を瞑り、静かに質問をする
「……貴方達、これは何事かしら?」
長いまつ毛に薄めのメイク。
サラサラなショートの髪はとても美しく風に吹かれている
女性の言葉に初めに反応したのは金髪の男…ノアだった
「こいつから吹っ掛けてきたんすよ」
「…なぜ吹っ掛けた?ダレイ」
尽かさず女性がダレイに質問する
1度も顔を合わせなかったダレイは女性の顔を真っ直ぐ見つめた
「馴れ馴れしかったからです」
「はぁ??俺は、一人で座ってたあんたに声掛けただけだろ!」
「余計なお世話だ…馴れ合いなど要らない」
「お前なぁ……?」
「黙りなさい。馬鹿犬達」
「…ッ!」「!」
女性の一言がその場にいた2人を黙らせる
息を吐き、ゆっくり目を開けダレイとノアを見つめる
「刑事の仕事を貴方達に一足早く教えるとしよう。間違った人間を正しい方へ導けるのは正しい人間だけだ。」
「……正しい人間…」
「……」
「貴方達…刑事と言う仕事をする過程で…正しい人間だと思うか?答えなさい」
「…はい……そう思います」
「俺もっす刑事はそうじゃなきゃ勤まらないですし」
「そう…そう思われるのが当たり前の存在だ。でも実際は違う、正しい人間なんて極わずかほとんどが間違ってるわ」
ふたりが答えた回答とは全く異なる回答を出す
予想もしない答えに2人は息を飲んだ
「……え、なんでっすか?」
「刑事になったからと言って、入校早々馬鹿やる犬たちが毎年恒例だからかしら?」
ハッキリとした言葉に2人は肩を落とす
女性がヒールの音を鳴らしながら新人に近付く
胸ポケットからペンを取りだし、ノアの乱れた制服にポンっと1突き食らわす
「赤子じゃないんだから、自分でやりなさい」
ノアは慌てて服を綺麗に整え始める
そのうちに女性はダレイの方へと歩き出す
特に何もせず、綺麗な姿勢で立ってるダレイに女性はまた呆れた顔をする
「貴方、鼻血をどうやって止める気なのかしら?」
「……すみません。まさか出すとは思っておらず…」
女性がポケットからハンカチを取り出すとそれをダレイに渡した
「あなたにあげるわ。」
そしてノアの方にも視線を向ける
「お子様は刑事の世界に要らないわ…帰りなさい。」
けれど2人とも動こうとはしない。
互いに顔を見合せ、何も言わないまま、頭を下げた
それを見た女性は満足そうし静かに微笑んだ
「……貴方達の活躍,態度で示しなさい」
「課長…出会った時から格が違ったなぁ…出来る女って感じした…ってか、」
「あんな形で話したくなかったけどな…俺は」
「ふはっ…ダレイにとって、あの人は恩人だったんだよな?」
「今もだ…尊敬しても感謝しても、しきれない」
ダレイが顔を上げる
その目はあの時とは別で、ノアをしっかり見つめた
「だからこそ、今回の犯人は俺が捕まえる…」
「……俺たちがだろ?ひとりじゃないんだからよ」
「……」
だが、ダレイは返事を返さなかった
次第に、手術中は終わりを迎えた
無事治療は終わり、だそうだ
課長の状態を確認した後,ダレイとノアはそのまま犯人確保の為に…現場に向かうことにした