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__狙われた者🥀𓈒 𓏸_
事件が起こったのは社内の中だ
夜遅くまで仕事で作業をしていた課長はそのまま後ろをやられた。
抵抗したようには見えない一瞬の事だったのだろう。
社内は特に荒らされたようには見えない
課長のディスクも、血が付着してるだけで…特に何も無かった
「……ッなかなかグロいな…」
ノアは顔を顰めた
事件がある度いつも見てるこの血が…課長だと考えると…2人は犯人への怒りが湧く
「荒らされた形跡は無い…となると」
「犯人は課長に恨みを抱いてた人物の可能性が高い…ってことか?」
ノアの推理にダレイは頷く
犯人は課長に攻撃し、特に何もせず、盗まずで逃げた。
となると、相当恨みを持っていた人物…課長の身近の人物の可能性が高い
(この場はこれくらいにしよう…後は監視カメラ…と聞き込みだ)
「凶器さえ見つかればいいんだけどな…」
ノアが現場をじっと見つめながら,小言のように呟く
「捜索か、ノアの担当だったな」
ノアは捜索員の中でもトップの人間だ
普通の捜査員では無く、ノアの方の班は優秀な人材が多い。
きっと早く解決出来るだろう
ノアに頼めば、捜索員を一気に多数出せる事だって出来る
だから…ノアは頼もしいのだ
「凶器…そして監視カメラの調査をお前に任せる」
「…!珍しいな…お前が事件を任せるなんて」
「普段は頼み事は絶対やらせない…俺の仕事だからだ…今は違う。やる事が多すぎる…頼めるか?」
「……任せとけ!」
ダレイの肩をポンッと叩きニカッと笑うノア
まるで落ち込んでる彼を励ましてるようにも見える
そのまま手をヒラヒラさせ、ノアは事務所の奥へと入っていった
(…さっさと仕事を片付けるか)
ダレイは別の仕事の為、そのまま事務所を出た
お昼頃____
ダレイが仕事の残りを全て片付けたのはお昼を回った時だった
事件では無いため、早めに終わる事が出来た
ダレイは深く帽子をかぶり、あまり目立たない路地よりの道で誰かに電話をかけた
「もしもし。ノアか?」
電話をかけた先はノアだ
「お疲れさん。お前のバディであり、優秀なノアで間違いないぜ」
「…………」
「え、切られた?」
ノアがふざけられる余裕を見せる時は
大抵事件が解決しそうな時だ
ノアは優秀で、頼まれた事件はほぼすぐに解決する、特に殺人事件などは…ノアの得意分野だ
喜ばしい所だが、この子供みたいな癖…治して欲しいものだ
「課長の件、どれくらい分かったんだ?」
「あっ、あぁ…監視カメラに映らない死角からの犯行だったから手こずったが…犯人は絞れたぜ」
「流石だな…頼もしいな」
「ダレイ君の馬鹿みたいな体力と反射神経には、負け続けてるけどね〜」
「体を動かさないと鈍るだろ」
「…俺が言えることじゃないけど…お前…体力の事になると,釣れるよな…」
「刑事の仕事柄、体力は大事だ」
体力の話になると
突っかかったのは自分なのにも関わらず、事件の話に無理矢理戻した
「……はいはい、俺はそこら辺得意じゃないのでね〜…凶器は見つかってないが、何でやられたのか特定ができた」
「…一体なんだ?」
「ボウリングのピンだ。」
「!…ボウリングのピン?」
なんと凶器はボウリングだということが判明したらしい
ピンを使った犯行なんて聞いたことないからだ。
もっと殴るなら…バットなど使うのが多いと思ったが…
ノアはそのまま話を続けた
「ここから遠いが、ボウリング場がある。そこのピンが2つ足りてないんだ。」
「なぜそう言い切れる…?」
「そこの従業員だよ、前科がある。頭を3度…殴って重傷を負わせたデータが」
この犯行手口とよく似ている
ノアの調査のおかげで、ボウリング場の従業員犯人というリスクが高まった
「…助かったノア、さっそくそちらに向かう」
「俺は今向かってる途中だ。犯人だといいが…また後で現地で会おうな」
ピッ__
電話をポケットにしまう
ダレイの車は事務所に置きっぱなしで、一度戻る必要があった
時計を確認しつつ、人混みの中へ紛れ、歩き出しす
「…行くか」
繁華街を抜け、あまり一通りのない道を通る
このまま真っ直ぐ進めば、開けた道路に出ることが出来、事務所へ近道することが出来る
(ピンか…)
ボウリングの玉が勢いよくぶつかっても形を変えないピンは、見方を変えれば立派な武器になる
宛ら、そこの従業員ならば,怪しまれずに簡単に持ち出すことだって可能だ
おまけに前科有り…
犯人ならば許せない犯行だ。
(見逃す訳には行かない)
ポケットに入れた拳が震えた
「………なんだ?」
静かだった道にバイク音が近付いてるのが分かる
道路はまた別にあり、寧ろ遠回りになるここを車で通ること自体珍しい
ダレイはバイクが通りやすいように横にズレる
が…何故かバイクはそのままダレイの後ろを停車する
黄色と黒のラインが入った、大きめの高そうなバイクからは
大きなエンジンの音が響く
(誰だ…?)
黒いヘルメットを被ってるため顔は愚か、性別さえも分からない
真っ直ぐダレイを見つめる。
(ノアが違うとなると…レオンか?…いや、あいつならまず俺に声を掛ける。こんな不審な行動、絶対やらない)
なにかに確信が着いたのか、バイクのエンジンを停めると、何者かがバイクから降りる
ダレイは警戒をしながら体制を整えた
課長が襲われた跡だ…犯人はもしかしたら刑事を恨んでる者かもしれない,そしたら次は誰かがいつ襲われても可笑しくない
そしてもし犯人ならば逃がす訳にも行かない
謎の人物はダレイの元へゆっくり近付く
体のシルエットは普通より細め…
黒のジャケットに黒のズボン
目立つような色じゃない為…余計に怪しい
「誰だ…なんの用だ?」
ダレイから声を掛ける
少し離れたところで止まると、相手は返答を返す
「……ダレイ・パイレント…」
(!……俺の名前!)
ヘルメットを被ってるせいで声が曇って…性別すらも分からないまま。
ただこいつは!俺の名前を知っている!
「お前、何者だ!なぜ俺の名前を知っている!」
声を張り上げ,腰の護身用ナイフに手をかける
相手がなにか武器を取り出せば…__
ヘルメットの人物は特に攻撃をする訳もなく…
ヘルメットのロックをゆっくりとり始めた
(…?)
なんだ…?何がしたいこいつは…
次第にヘルメットのロックが外れ、いつでも取れる様になった
が…
(……取らない…)
何故かヘルメットを取らない。
そのまま謎の人物はダレイに質問をした
「…この所…何か変わりはないか?」
「それは知ってて言ってるつもりか?」
まるで課長の状況を知ってるような口ぶりに
ダレイはナイフに手をかけるのをやめ、拳銃を相手に向ける
「…!」
「大人しくしろ。変な動きをしたら打つ」
ヘルメットの奥の見えない顔を、ダレイは睨みつける
拳銃に力が籠る…
しかし相手の反応は裏腹に、拳銃を向けられてもピクリともしない
それどころか…
「拳銃を下ろせ」
「…!!お前…状況をわかってるのか?」
「分かっている。あんたは殺すことは出来ない…と」
なにかの確信があるのか…そう告げると謎の人物はゆっくり近付いてくる
「警告する!止まれ!」
まるで声が届いていないかのようだ相手は動きを止めない。
拳銃の引き金を引く…
指をかけた…その時!
背後から声が聞こえる
まったく気配に気付くことが出来なかった
(…!!仲間か…ッ!?)
ヘルメットの人物の動きが止まる
それを隙に横目で後ろの人物を確認する
しかし背後にいたのは小さな子供…ただ1人だった
(なんだ…子供?)
病気もちなのか、下を向き咳をこむ
(こいつら…グルか?…それともこの子供はただの俺を知ってる迷子…?)
頭で状況を整理する
こんな子供が殺人なんてするように見えない
咳が落ち着いてきた辺りで子供が顔を上げる
真っ黒な目がダレイを見つめて…下ろしていた腕を上げ,指差す
「殺すように頼まれたの……ごめんね。代わりに楽に殺してあげる…から」
「!?俺を殺すようにだと!誰に言われたんだ!!」
ダレイの返答をまるで無視
手のひらから小さな小包を見せる
(凶器は持ってない…?あの小包は…?)
子供が小包を握り込む
広げると、手のひらでパチパチ踊り出している
それを地面に放り投げた
「…ッ!!」
ヘルメットの人物がダレイの元へ足を踏み出す…直後
足元すぐを銃弾が飛んできた
「…!!」
「動くな!!次は右足だ!」
「…ッ!」
有り得ない反射神経にヘルメットの人物は動きを再び止めた
空も地面も全てが嘘のように真っ暗になった
「…な……」
ほんの一瞬の出来事だ
昼間の明るさはまるで消え、目の前の光景はまるで夜
空にははっきり星が上がっていた