テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
📱「ぼく、なんにもしてないよ?」
――君が知らない、彼の裏側
君のスマホに、知らないうちにインストールされてる、ひとつのアプリ。
アイコンは、なにもない白い点。
タップしても何も起きない。
でも――彼のスマホでは、君の画面がリアルタイムで見えてる。
「うん、大丈夫。今もちゃんとひとりだね。……よかった」
彼は笑いながらそう呟く。
君がLINEで誰と話してるか、
どんな写真を保存したか、
検索履歴にどんな言葉を入れたか――
ぜんぶ知ってる。
でも、本人はまったくそんな素振りを見せない。
「心配性なの、ごめんね」って笑って、君の頭を撫でるだけ。
……でも、もし君が
“ちょっとでもぼく以外に心を向けていたら”、
通知音が鳴るたび、胸がズクンと痛くなる。
「ねぇ、山田くんって最近よく話すよね」
「スマホの通知、また鳴ったね……誰から?」
――あくまで“なんとなく気づいたフリ”。
でも彼の中では、もう全部、知ってる。見てる。記録してる。
『君がぼくから離れる可能性』は、
最初から、どこにも残してないから。
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