玲王愛され
キャラ崩壊、ネタバレ注意
逆行ifでやってます。なので捏造ありまくりです。
アニメ勢の方にはネタバレになってしまう部分があるので注意
口調迷子
挿入絵あり
今回は千切視点
それでも良ければどうぞ ↓
「んじゃ、特にやることねぇし受験生なんで勉強会でも始めますか〜」
そう言って開かれた地獄のstudytimeは潔の部屋で黙々と行われ、途中生暖かい目でドアの隙間から覗いてくる潔母の視線をひたすら気のせいだと自分にいいかえながら、玲王にビシバシ鍛えられることになった。
「ンア゙ー!!疲れた〜、もう休憩だって…!ぶっ続けで1時間も勉強したら頭おかしくなるわ!」
「本当にそれ…もう頭パンクしそうだし一旦休もう…なぁ、玲王もいいよな?」
俺がもう疲れたと叫ぶと、それに潔も同調してくれて玲王に一旦休憩してくれるように頼んでくれる。玲王はうーん…と少し悩ましげだったが、これ以上やっても何もできなそうな気がするという気配を察知して
「わかった、多めに30分休憩しよう。その間は勉強の話は一切なしで情報交換しよう」
と、言ってくれたので俺はウキウキしながら教科書とワークを全て閉じて机から下ろし、潔母が持ってきてくれたジュースをがぶ飲みする。
「おぉ…千切って意外と漢気あるよな」
「まぁな〜!俺は九州男児だから!」
「それ関係あんの?」
潔の質問に俺は楽しげに応えると、潔は訝しげに俺のこたえに耳を傾けながらちょびちょびと、自身の母親が持ってきてくれたジュースと菓子をつまむ。
「それより、潔ってどこの高校行くの?」
玲王は菓子をちょこちょこつまんでいた潔に聞くと、潔は「あー…」と少し言いにくそうに声を漏らし頭を搔くが、覚悟ができたのか口を開く。
「実は、一難高校ってとこに行こうとしてて…」
「一難って埼玉で1番サッカー強いとこじゃん!潔は昔からサッカー好きだもんな、頑張れよ!」
玲王は無邪気に笑って潔の背中を励ますようにバシバシと叩く。潔は痛がりながらも嬉しそうに微笑んで玲王に自分が聞かれたような質問をする。
「そういう玲王はどこ行くんだよ!」
「ん?俺?俺は白宝いくけど」
「……。白宝?!?!?!?!」
潔は目を白黒させながら玲王に聞き返すと、何もおかしなことはないけどどうしたんだ?とでも言いたげた目をして平常運転のまま、「そうだけどなんだよ」と潔に聞き返す。潔は「はぁぁぁ…」と大きくため息をついて机にふせってしまう。気持ちは大いにわかる、俺もパピ○食ってなきゃそうしたかった。
「お前さ、なんでそんな頭いいとこ行くくせに俺たちに勉強教えてんだよ、てかなんでサッカーしてんの?勉強しないとヤバいんじゃねぇの?」
潔がため息を漏らしながら出した答えは至極当然の答えだったのだが、ここのお坊ちゃんにはそれは通じないようでキョトンとした顔をして、玲王はふはっと声に出して笑ったあと口を開く。
「俺は毎日ちゃーんと勉強してるから、特にたくさんやる必要はないんだよ、それに白宝くらいならこれくらいの勉強量で大丈夫だろ」
潔は案の定、玲王の会話のレベルについていけず抜け殻のようになって口から魂を飛び出してしまう。わかる、本当にわかる。コイツ本当にチート野郎すぎてついていけない。俺は声には出さないが、大きく頷きながら潔に同情するように肩に手をぽんと乗せて慰める。
「千切…お前はこいつがそんな凄いやつだって知ってたのかよ」
「まぁ毎回テストで学年1位取ってるからな…みんな知ってるけど、白宝行くまでとは思ってなかった」
「だよなぁぁぁ……」
潔はもうついていけないのか、ため息を大袈裟について俺に慰められることしか出来ないロボットのようになってしまった。そんな潔を見て玲王は不思議そうに困り眉を作っていたが、元凶を慰めるつもりは1ミクロンも持ち合わせていないのでスルーさせてもらう。俺がポンポンと潔を慰めていたら潔は、ピクっと突然動いてすぅーっと巨神兵がビームを放つ時みたいな動作をしてビームを放つように言葉を発する。
「……。玲王は白宝行くじゃん?俺は白宝について少ししか知らないけど、白宝ってサッカー強くないだろ。玲王は高校行ったらサッカーやめんの?」
潔の問に、一気に部屋の温度がマイナス5度くらい低くなって居心地が急激に悪くなる。まぁ玲王から聞く潔のサッカーバカさだと、サッカーができない高校に行くというのは論外なのだろう。だからこんなに真剣な目付きで玲王に問いかけ、今後のサッカーがどう変わっていくのか知ろうとしている。潔が真剣なのはわかるが、俺としてはもう答えはわかりきっていることなので、特に緊張もせずジュースをジュゴゴゴゴ…と勢いよく吸っていく。俺のジュースの音にピクっと反応した玲王は少し口角をあげて潔に言う。
「いや?やめねぇけど」
「……やめねぇの?」
「? やめねぇけど…。お前、もしかしてだけど俺にやめて欲しいわけじゃねぇよな?」
潔は玲王の答えに驚いたのか、手に持っていたせんべいをポロッと落とす。潔のあまりのリアクションにショックを受けた玲王は、少し不機嫌になりながらも潔に聞き出す。
「いや!!そんなわけじゃねぇけど…白宝って頭いいからさ、勉強しかできねぇんじゃないかなぁ…って」
「確かに、お前結構頭いいけど実家的に首席とんなきゃいけなさそうじゃん?学年で1位とか目指せって言われたら、サッカー辞めさせられるんじゃねぇの?」
潔の言葉にハッとした俺は、ついつい自分も口を挟んでしまい玲王に疑問に思ったことを聞いていた。潔と俺の言葉を聞いて玲王はうーん…と、唸り「これ言っていいのかな…」「いやでも…」、とブツブツ考えていたが考えが纏まったのか、ぱっと顔を上げて俺たちに向き直る。
「あの、マジで申し訳ねぇんだけど俺の家のオックスフ○ード大学卒業した家庭教師の人から、白宝高校に入ってからやるであろう勉強はもう既に終わった。ってつい先月言われたんだ」
「「……」」
「はぁ!?!?ちょい待て!なんで白宝の勉強終わってんの!?俺らまだ中3だぞ!?」
「え?!?!終わったって何!?待て待てまずオックスフ○ード??あの世界的に有名な難関大学の!?」
「お、おぅ…そうだけど…なんか先生が思ったより俺が飲み込み早いからって、やらせてたらもう終わっちゃってたらしくて…」
玲王のあまりに超人すぎる答えに俺も潔も空いた口が塞がらなくなってしまう。まさか、こんな間近に天才と呼べる人間がいたとは想像もしていなかったのだ。でも今思えばその片鱗はあったのだと思う、俺と玲王が初めて会ったあの日のサッカーの授業。小学生とは思えない洗礼されたサッカー技術、サッカーだけにはとどまらずピアノ、リコーダー、琴、ドラム、ギターなんかの音楽にも精通していて、バスケ、バレー、スケート、スキーなんかも人並みより上にいつもいってた。
こんなに天才だとわかることをしているのに、それに気づかなかったのはきっと彼の巧みな話術が大きく影響してくるんだろう。彼は人心掌握と言って人の心をいとも簡単に操れる。小学生の時彼は特に先生に褒められていて、クラスの皆は彼を少なからず羨ましがり、嫉妬するはずなのにみんなも先生と一緒になって、彼をまるで赤ちゃんが初めて立った時のようになんでもかんでも褒め讃えていた。
時には「玲王って何でもできてすげぇよな!今度俺とボーリングやりにいこうぜ、俺と勝負な!」とか「玲王くん、良かったら放課後○○ちゃん達と勉強するから教えてくれない?」なんて、芸能人並みに休みの日も放課後と人に囲まれていた。天才というものは多くの人から嫉妬され、蔑まれる対象であるにもかかわらず、彼は言葉巧みに人の心情を操り自身への羨望をいつの間にか憧れへと、友情へと変化させてしまうのだ。しかも操られた人間は異常なまでに玲王を尊敬の対象として一目置くようになる。俺も多分そのひとりではあったのだろう、初めてあいつを見た時の印象が仲良くなれそうにない、なんて思っていたのに今ではこんなんだ。
多分潔も俺と同じように今考えついてしまったのだろう、サァーッとみるみる血の気が引いていく。決して玲王が怖いのでは無い…本当に怖いのは玲王のその天才的な頭脳、話術なんかがもし、俺たち2人以外のやつに知られてしまったらきっと玲王は、テレビで見れる日本で有名な芸能人どころではなくなり、世界的に有名なハリウッドスターのような時の人となって、ますます俺たちのような奴らとは違う、遠い世界の住人になってしまう。それが安易に想像できてしまう現状に、とてつもなく俺たちは冷や汗が出るほど恐怖しているのだ。
「潔?千切…?どうしたんだよ、2人ともなんか顔色悪いぞ…?」
玲王は俺たち2人を心配そうに見つめ、「これ飲め」と夏の蒸し暑さでぬるくなってしまったジュースを差し出す。俺たちは玲王の心配そうな瞳にハッとさせられお礼を言いジュースをごくごくと飲む。同じようにごくごくと玲王に差し出されたジュースを飲む潔と目を合わせ、合図をしてぬるくなったジュースをのみ終わった瞬間に席を立つ。
「わり、ちょっとジュースなくなったからもらいに行ってくるわ」
「そうか?わかった、じゃあ俺も…」
「玲王はここにいろよ、俺が母さんに言ってくるから座ってろよ」
「おぉ…そんじゃあゆっくりさせてもらうわ」
玲王は俺たちの間髪入れぬ動作に少し動揺しながらも「まぁ仲良くなるきっかけになるだろうしいいのか?」とでも、言いたげな表情で俺と潔に自分のジュースのコップを預けて、俺たちを部屋から見送っていく。潔の部屋から出て少し歩いてリビングと部屋の中間付近に差し掛かった時、俺と潔はまた互いに目を合わせスマホを出し無言でLIMEを交換する。
「改めて言う、俺は潔 世一歳は15。玲王とは昔馴染みで今俺は玲王に片想いしてる」
「俺は千切豹馬、歳は同じく15でまだ中途半端だけど多分玲王に恋してる。玲王とは小3からの同級生で親友やってる」
やはり予想通り潔は玲王を恋愛対象として見ていることを知ったが、俺としては特になんとも思わない。せいぜいやっぱ恋のライバルだったか〜と思うくらい。一方潔は何やら複雑に考えてしまっているのだろう、さっきから頭を抱えてなにかブツブツ唱えている。大方俺の顔面偏差値と玲王との接し方で「これはやばい」と焦り散らかしているのだろう、と大体は予想はつく。まぁ少し落ち着かすか…と思って潔を眺めているとパタッと俺たちの前で止まる足音が聞こえた。まさか玲王が?と思い顔を上げるとそこには顔を緩ませた潔母がいた。
「よっちゃんッ…!」
まるで春の日差しの中の風のように落ち着く声で、悪魔が囁くかのように息子の名前を潔母が呼ぶと、その息子である潔はバッと顔を上げて自身の母親を見つめる。
「今日の晩御飯はお赤飯ね♡」
潔母、潔からしたら自分の母親に、自分の初恋の人の正体がしっかりバレてしまい潔は声にもならない絶叫をあげ、顔を真っ赤に染めて母をリビングへと押しながら俺にジュースを補充しに行こうと合図をする。その間も潔母は止まることを知らないのか「よっちゃんの初恋の人が玲王くんでよかったわ〜」とか、「お母さん応援しちゃうから!あ、お父さんにも前に、よっちゃんが玲王くんのこと好きかもしれないって話したら応援してるって言ってくれてたわよ!」や、「豹馬くんもお泊まりしちゃう?みんなでお赤飯食べましょ!」なんてずっとニコニコ喋り続けている。
「すみませんが俺、今日は玲王とホテル泊まるんでここには泊まれないです」
俺は丁寧に潔母に断りを入れると、潔母は「そうなの…それは残念ね…」と凄いあからさまに悲しむものだから「すみません、もうホテルに荷物置いてきちゃってて…来年来る時は是非泊まらせてもらいたいですけどね」
なんてフォローをしてしまったら、潔母は「本当に!?良かった〜!これでお父さんに恋のライバルを紹介できるわ〜!」と有頂天になって喜びだした。
「…あの、俺あなたの息子さんの恋のライバルなのになんでそんなに歓迎してくれるんですか?」
潔が疲れきった顔をしながらキッチンでジュースを3人分注いでいる間、俺は思い切って潔母に開き直って聞いてみた。すると潔母はきょとん…とした顔をしたあと、突然クスクスと笑い出す。
「ふふ、それはね。私が玲王くんのこと大好きだからよ」
と、意味のわからないことを言い出すので「どういうことだ?」という表情をしていると、潔がジュース注ぎをし終わったのかリビングに戻ってきて、大きな溜息をつきながら俺にジュースを持つようにと差し出してくる。
「母さんは玲王推しの右固定派だから玲王総受け好きなんだよ…あと、ただ恋バナに飢えてるのもあると思う。」
潔が呆れた様子で口走ると、潔母は「こらよっちゃん、そうだけどそういうこと分からなそうな子にそういうこと言うんじゃありません!」と突然説教し出す。潔は「あ、そっか千切知らないのか…」と、ボソッと呟いて潔母に素直に謝る。潔母は満足したのか俺たちに
「ほら、玲王くん待ってるから早く行ってあげなさい」
と言って、追加のお菓子を持たせてリビングから追い出す。潔母は最上級の笑顔で「よっちゃん!負けないでね!豹馬くんも負けちゃダメよ!」と笑って息子と俺を励ますと潔は恥ずかしそうに「俺を応援するのはわかるけど、千切はダメだろ!」と自分の母に叫ぶ。それはそうだ、と潔に同情を寄せつつ玲王の待つ部屋へ足を踏み入れる。
コメント
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潔ママもこっち側の人だったのか( ◜ω◝ )