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「來雨!何でお前は、伊勢先生もけせらさんも殺せるのよ……!伊勢先生はお前に勉強を教えてくれたし、けせらさんはお前を保護してくれたでしょ!?」
突如、聞き覚えのある声がした。
声は木の上から聞こえてそこに視線を向けると、緑髪の少女……草薙陽翠が見える。
草薙陽翠の姿と違う部分は、頭に小さいツノと羽があって口からは牙が覗いているところだ。
「獄使だとバレバレですよ。騙すならもっとクオリティ上げてください。」
「今度は僕が竹壱を見破る側か。あれを言われたときは地獄の業火に包まれる感じがしたよ。」
葉造には竹壱という別の人間の姿が見えていて、獄使が言った台詞も私が聞いたものとは別らしい。
この獄使はきっと、罰を与える対象の人間の記憶に残ってる人物として化けることができるのだろう。
見破られた獄使は、元の姿らしき桃色の髪に茶色い瞳へと変化した。
「ンー、ツノとかでバレるとは思ってたケド、こんなに早くバレちゃうとはネ。ワレのことは”デェ模ん”って呼んデ。フフ、ところで2人トモ……後ろとかがガラ空きだワ?」
周囲の木の鋭い葉が舞い、大量に私と葉造の全身へ刺さる。
「生前に僕が1日に蚊に刺された最高記録を余裕で超えてるね。痒い。」
葉造が話しているうちに、私はその辺に生えてる木の太い枝を数回蹴って折る。
「虫に刺された数ヲわざわざ覚えてるもんナノ?人間というのハ。」
「1日に蚊に刺された最高記録は36箇所だったよ。18年前の夏のことだったんだ。それにしても、服がボロボロになって残念だな〜。」
「服どころカ、肉体もボロボロヨ。残念なのはアナタの脳味噌だったワネ。」
隙を突いてデェ模んの目を、枝で刺そうと飛び掛かる。
「おりゃあっ!」
「獄使であるワレに攻撃が通用すると思ってるノ?馬鹿ネ、アナタが枝を蹴るところカラ見えていたワヨ。」
デェ模んは身軽に避け、片手で私の腹を1発殴った。
「うぉっ!?……そういえば、脚に噛みついてた魚もどきがいなくなってましたね。」
「急ニ冷静にならないデヨ、気持ち悪イ。なんで腹ヲ殴られた直後ニどうでもいい話ヲしようト思ったのヨ。」
「初めて会ったときには、君の両脚になんかいたね。溶岩で溶けたんじゃない?」
「溶岩による融解なら納得がいきます。あの魚もどきって意外と虚弱だったんですね。」
「魚が溶岩に溶けるのハ普通デショ。虚弱と言うのハひどいワヨ。」
「あくまで魚に外見が似たなにかですし、長い間空気中にいても私に噛みついていたので。私達でも溶けなかった溶岩ですから、魚もどきも溶けないものかと。」
「まア、そんなことはいいワ。紙塔……だったカシラ?アナタには殺人犯専用の罰ヲ与えるワヨ。」