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#リゼロ
すず
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第38話『崩れ始めた天秤』
趙軍本陣。
静寂が流れていた。
李牧は届いた報告書を見つめる。
補給線切断。
武器庫炎上。
伝令網混乱。
各地で発生する小規模反乱。
全て偶然ではない。
「桓騎。」
李牧が呟く。
「あなたらしい。」
副官は焦っていた。
「李牧様!」
「このままでは前線への補給が止まります!」
「兵糧も三日も持ちません!」
李牧は目を閉じた。
確かに戦術では優位。
だが戦争は兵糧が尽きれば終わる。
桓騎はそこを狙った。
一方。
中央戦線。
なおきりは限界だった。
腕は震え。
呼吸も荒い。
だが。
目の前にはまだ立つ男がいる。
龐煖。
「終わらぬな。」
龐煖が呟く。
なおきりは笑った。
「そっちもやろ。」
槍を構える。
すると。
隣に馬が並んだ。
信だった。
「一人で格好つけるな。」
なおきりが笑う。
「助かるわ。」
さらに。
反対側から豪快な笑い声。
「ガハハハハ!!」
麃公。
満身創痍。
それでも矛を握っている。
「坊主ども。」
「最後に一発いくぞ。」
信が笑う。
「望むところだ!」
なおきりも頷く。
三人が並ぶ。
武神・龐煖を前に。
秦軍の兵士たちが歓声を上げた。
その頃。
戦場後方。
光金王は李牧と対峙していた。
剣を構える。
李牧は静かに言う。
「王が前に出る。」
「危険ですよ。」
光金王は笑った。
「知っている。」
「だが王だからこそ出る。」
その言葉に。
遠くで戦う虹桃軍団の兵たちがさらに奮起する。
李牧は少しだけ感心したように目を細めた。
「なるほど。」
「嬴政王と同じですか。」
二人の王。
嬴政。
光金王。
李牧は初めて劣勢を感じ始めていた。
その時だった。
遠方から巨大な角笛が鳴る。
ブオォォォォォ!!
趙軍本陣がざわめく。
副官が振り返る。
そして顔色を失った。
「李牧様…。」
「撤退を求める信号です…。」
戦場が静まり返る。
趙軍総司令部からの命令。
これ以上の戦闘継続は不可能。
補給崩壊。
各戦線の敗北。
汗明討死。
成恢戦線崩壊。
燕軍後退。
全てが重なった結果だった。
副官は震える。
「まさか…。」
「合従軍が…。」
李牧は空を見上げた。
長い沈黙。
そして。
静かに答える。
「……撤退します。」
ついに。
六国連合軍は敗北した。
しかし。
その瞬間。
龐煖だけは動かなかった。
武神の目はなおきりと信。
そして麃公を見つめていた。
戦争は終わろうとしている。
だが。
武神の戦いはまだ終わっていなかった…。
コメント
1件
いやあ…第38話、重厚でしたね。李牧が「あなたらしい」と桓騎の手を認める空気、痺れました。敵同士でも互いの戦術を理解しているからこその静かな緊張感が好きです。 一方で中央戦線のなおきり、信、麃公の三連携には拳を握りました。満身創痍の麃公が「最後に一発いくぞ」って…泣けますよこれ。光金王が嬴政と同じだと李牧に言わせたのも、王の在り方を対比させる巧みな仕掛けだなと。 そして「撤退」の一言。龐煖だけがまだ戦いを終えていないラスト、次が待ち遠しいです!