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#リゼロ
すず
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第39話『武神の執念』
「撤退します。」
李牧の命令が全軍へ伝わる。
趙軍各所で角笛が鳴る。
ブオォォォォォ!!
撤退の合図。
長き合従軍侵攻は終わろうとしていた。
しかし。
一人だけ動かない男がいた。
龐煖。
その目は戦場ではなく。
なおきり。
信。
麃公。
三人へ向けられていた。
「まだ終わっていない。」
龐煖が呟く。
李牧が振り返る。
「龐煖。」
しかし龐煖は聞いていない。
彼にとって戦争は関係ない。
己の道。
己の証明。
それだけだった。
次の瞬間。
龐煖が地を蹴る。
ドォォォォン!!
なおきりへ突進。
「来るぞ!!」
信が叫ぶ。
ガァァァン!!
なおきりが槍で受ける。
だが吹き飛ばされる。
地面を転がる。
「なおきり!」
じゃぱぱたちが叫ぶ。
しかしなおきりは立ち上がる。
血を吐きながら笑う。
「まだや…。」
その姿を見た龐煖の目が揺れる。
なぜ立つ。
なぜ諦めない。
その疑問は昔から龐煖を苦しめていた。
すると。
麃公が前へ出る。
「坊主。」
「最後は俺がやる。」
なおきりが振り返る。
麃公の身体は限界だった。
誰が見ても分かる。
だが。
その目だけは燃えている。
「将軍…。」
麃公は笑った。
「本能が言ってる。」
「ここだとな。」
そして。
龐煖へ向き直る。
「来い。」
武神。
本能の将。
最後の激突が始まる。
ドォォォォン!!
矛と矛がぶつかる。
衝撃で周囲の兵士たちが吹き飛ぶ。
一撃。
二撃。
三撃。
麃公は傷を増やしながらも前へ出る。
龐煖も初めて苦しそうな表情を見せる。
その時。
麃公が笑った。
「見えたぞ。」
「火だ。」
龐煖が目を見開く。
麃公は最後の力を振り絞る。
矛を構える。
なおきり。
信。
虹桃軍団。
飛信隊。
秦軍。
全員が見守る。
そして。
麃公が突撃した――。
その矛の先に。
龐煖の胸があった。
コメント
1件
第39話、読み終わりました。撤退の角笛が鳴る中、龐煖だけが止まらず、なおきり・信・麃公に突っ込んでいく――その執念の重さがひしひしと伝わってきました。特に「なぜ立つ」「なぜ諦めない」と龐煖が苦しむ場面、あれが彼の内面を一気に深くしましたね。そして麃公の「見えたぞ。火だ。」。限界の身体で最後に掴んだ境地……あの台詞に痺れました。矛同士がぶつかる衝撃で周囲が吹き飛ぶ構図も、締めくくりにふさわしい迫力でした。