キーホルダーが千切れた
薄汚れてしまっていた生地、錆びた金具でぱっと見ただけで古物だと分かるような人形が地面に伏せる。外す機会がなかったので丁度よかった。俺はぶっきらぼうにそれを拾い上げ、ポケットに仕舞い込んだ。
「あれ、外したんだ」
テーブルの向こうで彼が聞く。
「壊れたんだよ、古かったし」
「そうなんだー。ボロボロで不細工で、お前にピッタリだったのに」
どういう意味だよ。と心の中で呟く。そもそも渡してきたのはそっちじゃないか。
「そういう俺はまた増やしたんだよね〜。」
鞄につけた飾りを見せつけてくる。どうせまた女友達とのお揃いなのだろう。
「お前はキーホルダー、つけないの?もう」
金髪を揺らし、鬱陶しいくらいのすまし顔で問われる
「……もういいよ。」
俺はもう数あるうちのキーホルダーになりたくないからね。
どうせ、お前は覚えてないんだろうし
コメント
5件
もーーーーなんですかこのじれったいような湿ったいような、「思い出したくもないような蒸し暑いあの夏の頃の記憶」ってカンジの雰囲気は………好きですこういうの🤦🤦💞小説にしてはすごく短い文章だというのにもかかわらず、読み終えたときの満足度がヤバイです‼️ありがとうございます‼️‼️ この二人は昔恋仲だったのかな……それとも、主人公が想いを寄せていた(片思いだった)のか…
中々良いのが書けない……次のやつはいい感じに書けるようにがんばります!!