イカゲーム見てもねぇのにナムギュにハマりました作者です。
もっと言うとサノギュにハマりました。
猫ちゃん気質で弟属性持ちのヤク中萌え袖黒髪ロン毛クズキャラなんか沼要素しかないよね。
久々にemさん関係以外のキャラに沼りましたわ…
まぁ、作者の性癖の話は置いといて…
今回sypem死ネタなんで苦手な方はご注意ください!
では、どうぞ……
sypem【シャボン玉とんだ】
「あ〜…さむ……」
えらく高い寒空の下、吐いた息が真っ白になって消えていく。
まだ午後の4時にもならないと言うのに、空はもう夕方の雰囲気が漂い始めていた。
冬
冬は嫌いだ
どうせなら夏がいい
暑いし、セミはうるさいし、その他の虫も多いけど
夏ならまだ、こんな気分にはならないのに
あの夏が恋しい
『あの人』と過ごした夏
まだ俺も幼い子供だった頃
きゃはは、あはは
わっ!?
顔を上げると、まだ小学校にあがってすぐくらいであろう少年が転んで蹲っていた。
ベンチから立ち上がって、少年に近付く。
何処ぞの先輩と違って、目の前で転ばれて見て見ぬふりをできる程心は捨ててない。
「僕、大丈夫か?」
「…うん……!」
手を引いて立たせてやれば、少年は潤んだ目を擦ってニコッと笑う。
嗚呼、全く…こんな大人にはなって欲しくないものだ。
「おにーさんありがとう!」
「ん、気ぃ付けや」
すると、少年はハッとした様にズボンのポケットを漁って、何かを差し出して来た。
「これあげる!」
差し出された物を見て、一瞬だけ声が出なくなった。
少年と別れてから、掌に収まったソレをみる
「…シャボン玉とか……何年ぶりやろ」
少年がくれたのは、シャボン液と吹き具だった。
暖房の効いた部屋で、ソレをぼ〜っと眺める。
もうこんな物で遊ぶ歳では無いのだが…
「…まぁ……せっかくやしな」
ベランダに出て、急な温度の変化に身震いする。当たり前だが昼間よりもずっと寒い。
欄干に身体を預け、シャボン液に吹き具の先を漬けて
ふぅ…と息を吹く。
夜だから見えづらいが、部屋から漏れ出た明かりに反射してキラキラと輝くそれは、酷く美しかった。
シャボン玉
昔よく『あの人』と、シャボン玉で遊んだ。
同年代の子からはガキみたいだと揶揄われた事もあったけど、綺麗だと笑う『あの人』の顔が見たくて、いつもコレで遊んでた。
『あの人』
ひとつ歳上の幼馴染で、俺の初恋の人
叶うなら、ずっと一緒に居たかった
大人になれなかった『あの人』
「……エミさん」
大好きだったエーミール
彼は中学に上がってすぐに
交通事故で亡くなった。
飲酒運転のトラックに轢かれそうになった老人を庇って死んだのだ。
頭部を強く打ったそうで、葬式では彼の死に顔さえ見る事は叶わなかった。
僅か齢13でこの世を去った彼。
1歳しか違わないから、歳を抜くのなんてすぐだった。
エーミールが死んでから、シャボン玉で遊んだ事は一度も無かった。
だって
「……なんで、アンタが…死ななきゃいけなかったんすかね…?」
視界がぼやける。
眠ることの無い街の灯りが、沢山のシャボン玉みたいに見えた。
これだから、遠ざけていたんだ。
彼を思い出してしまうから。
零れる涙を、なかなか止められなくて
ポケットから煙草とライターを取り出す。
火をつけて
毒を吸い込んで
毒を吐く
あの日の前日も、2人でシャボン玉を飛ばしてたっけ。
寒い中、季節外れなシャボン玉がいくつも飛んでは消えて行くのを、日が暮れるまで眺めていた。
「……アンタはまだ…シャボン玉で遊んでるんですか?」
エミさんは大人になれなかったから
苦い煙草の味も、キツいアルコールの匂いも知らない
子供のままで死んでった
「…シャボン玉も、キレイっすけど……俺はアンタと、煙草吸ってみたかったわ」
きっと、エーミールなら
煙草を吸う様でさえ、絵画のように美しいのだろう。
嗚呼
2人で口ずさんだあの歌が酷く懐かしい
シャボン玉飛んだ
屋根まで飛んだ
屋根まで飛んで
壊れて消えた
ネタが湧かないと死ネタに走ってしまうのは病気でしょうか
最後の有名な童謡『シャボン玉飛んだ』ですね。これの歌詞の意味を知っている方なら、作者がこのお話を思い付いた理由が分かるかなぁ…と
それを抜きにしても、とても深くて時代背景も感じられるので、気になった方は是非調べてみてください。
それでは、また次の作品で……
コメント
1件
本当に白猫ヤマトさんの死ネタ好きすぎる ! ウルッときちゃいました~ッ!