テラーノベル
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朝。
静かすぎて目が覚めた。
いつも聞こえる生活音が、ない。
(……?)
いるまは布団の中で天井を見る。
違和感が胸に引っかかる。
いつもならこの時間、
らんがキッチンでコップを置く音とか、
ドアを開ける音とか、
なにかしらするはずなのに。
今日は、なにもない。
足が勝手に廊下へ出る。
らんの部屋の前で止まる。
(起きてねえだけだろ)
ノックしようとして、手が止まる。
数秒。
コン、コン。
「……らん」
返事がない。
ドアノブを回す。
布団に埋もれてる。
顔、赤い。
「おい」
近づく。
呼吸が浅い。
額に手を当てる。
「……は?」
熱い。
「らん」
揺らす。
らんがゆっくり目を開ける。
「……いるま……?」
声、かすれてる。
「お前、熱出てんじゃん」
「だいじょ……」
全然大丈夫じゃない顔。
いるまは無言で体温計を持ってくる。
ピピッ。
「38.4」
「うわ……」
「うわ、じゃねえよ」
言いながら、氷枕と水を用意する。
手が迷わない。
自分でもちょっと驚くくらい。
「……ごめん」
「なにが」
「迷惑」
「別に」
即答。
らんが少し目を見開く。
「兄弟だろ」
言ったあと、いるまが固まる。
らんも固まる。
数秒、空気が止まる。
じわ、って。
らんの目がやわらぐ。
弱ってるせいか、感情が隠れてない。
「……そっか」
小さく笑う。
その顔、反則。
(やめろや、その顔)
いるまは視線をそらす。
「水、飲め」
コップを持たせようとしたとき。
らんの指が、いるまの手を軽く掴む。
無意識っぽい。
力、弱い。
「……ありがと」
声が、近い。
いるまの心拍がうるさくなる。
「……いいから寝ろ」
でも手は、振り払わない。
寝室、
らんは安心したみたいに目を閉じる。
手はまだ少しだけ服を掴んでる。
いるまはベッドの横に座ったまま動けない。
(なんで離さねえんだよ俺)
でも。
この温度が、嫌じゃない。
らんが寝息を立てる。
その音を聞きながら。
いるまは思う。
(境界線って、どこだよ)
兄弟って言葉が、胸の中で静かに広がる。
コメント
2件
よし、付き合って、結婚しよ! あ、結婚式場と結婚手続きは、俺に任せといて! 早急にしてくるわ💨
あーよいめちゃくちゃよい けっこんしましょう(?)