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「……あ。」
ストン、と何かが胸に落ちてきた気がした。
認めたくないって思っていたのに。
私より先に私の心が気づいてしまったんだ。私は…店長のことが…。
「好き…なのかな。」
「…やーっと認めた。」
心なしか弾んだような姫菜の声が耳を霞める。
何だかその声を聞いたら、気恥ずかしさに襲われてしまい、素直じゃない自分が再び顔を出す。
「まあ…他の人よりはね。言っとくけど、恋愛じゃないから。」
「分かってるって。けどさ、それでも充分進歩じゃん?他人を…ましてや男を好きになるなんて、今までなかったわけだし。」
「まあ…それはそうだね。」
そんな私の心境も、姫菜は見透かしてるかのように思えた。
「それでさ…あんたは…どうしたい?」
「…え?」す
突然の問いかけ。その声色は穏やかで、お母さんが小さい子供に言い聞かせているようだった。
こんな優しい一面もあったのだと、驚きの意味と、なんのことか分からない、2つの意味が混ざった声で聞き返す。
すると姫菜は、おかしそうにくすくすと笑いながら答えた。
「だーから。あんたはその店長とどうなりたいの?嫉妬して、店長にキツいこといって気まずくなってもやもやして、そのあとどうなりたいの?もう答えは出てんじゃない?」
姫菜の言葉が、心臓を揺さぶる。そうだ。そのために私は姫菜に話を聞いてもらったんだ。
「私…は…」
胸に手を当てて考える。今までの話を思い返しては答えを探ってみる。
そうしてたどり着いたのは、一番シンプルな答えだった。
「私は…店長に…謝りたい。そして、いつもみたいな会話がしたい。」
「ん。それでいいじゃん。」