対戦を終えたあと、神楽は王尾と共に皐月から本部に呼ばれていた。横にはNo.4のネクラ、そして前回の対戦が終わり、KINGにスカウトされた茜里も、共に立っていた。禍々しい気配を感じ、並大抵のことではなさそうだ。
「神楽、お前、バトルロワイヤルに出てみないか?」
はあ?と言いそうになったのはさておき、バトルロワイヤルというものはなんぞや?という興味が退屈を吹き飛ばした。
「バトルロワイヤルというのは大体1000名が一つの舞台で1週間、デスゲームをし、勝ったもので」
「一億を山分けする」
一億という金額に目玉が飛び出そうになるが必死におさめて承諾する。
「行くに決まってラァ!」
「そうか、それじゃあ、霞と…茜里…ネクラも頼むぞ!」
「ひいっ!」
角でビクビク怯えているネクラはとてもそのブカブカのコートをまとった風貌からNo.4には見えない。その時、王尾に耳打ちされる。
「大丈夫、ネクラちゃん、強いから」
「ほんまか…?」
「あの、神楽さん!」
続いて話しかけに来たのは、前回戦った茜里だ。
「あの……前回、助けてもらってありがとう御座いました。今回は、私が役に立ちます!」
「お……おう」
早朝5時。会場についたが、そこは船着き場だった。彼女にとっては初めて来た場所なので、ソワソワしている。彼女の名は南雲台真白。雪之丞に推薦され、このバトルロワイヤルに参戦した。
「勝ったら一億………高級ビッフェでもいこうかな♪」
同じくその船着き場には佐古兄弟。そして不知火カイトも到着していた。
「へい、新人たち。バトルロワイヤルは毎年極獄島という島で行われるんだ。その島には妖がいて…」
「あー、不安や!」
「南雲台ちゃんいないかなー?」
「ったく……」
それと同時に神楽たちも到着していた。
「よっしゃ!いっちょ一億稼いだろうぜ!」
その瞬間、キーンというメガホンの音が鳴る。そこに立っていたのは運営と思われる、アメリカの国旗のナプキンを巻いた中年の男性だった。
「皆さん!大会運営のケネディと申します!この船に乗り込んで皆さんには極獄島の1週間バトルロワイヤルに参加してもらいます!敗北条件は死亡かリタイア!失神もカウントします!それと、この島の中央部には妖を閉じ込めた妖牢獄がございます。そこに向かっていただいても大いに結構です!妖討伐数に応じて報酬も増額します」
おおっとざわめきの声が聞こえるが、次に質問したのは金髪と黒髪のメッシュの青年だった。
「増額する金額はー?」
「……一番強いのを倒せば、3億かと」
さらに声があがる。神楽もそれに驚く。
「三億じゃと!?」
「それでは、皆様船にお乗り込みください!」
一同はこうして極獄島へと向かった。
ざっと2時間ほど船に揺られていると、かなたにぼんやりと島影が見えてきた。中央部に建造物も見えてくる。あれが運営のいっていた牢獄のことだろう。
「うっしゃあ!ワクワクすんなぁ!」
「か…神楽さんたちの足はひっぱらないようにがんばりますので…、」
「うぅ……なんで育成なんてしなくちゃいけないんだよぉ…!」
「ほら、ネクラちゃん。後輩育成も大事な仕事だよ?がんばろー!」
こうして一同は死の島へ降り立った。
その様子を、妖牢獄の看守室から、雪之丞凛が見ていた。
これから7日間のまさに地獄と表すのが正しいと言われるデスゲームバトルロワイヤルの開幕が…告られる。