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第一章 再会
【刑事・橘】
「……まさか、お前と再会する日が来るとはな」
【青年・篠崎】
「俺も思ってなかったよ。けど、運命ってやつは皮肉だな」
【橘】
「十年ぶりか……。お前、街を出たきり行方がわからなかった」
【篠崎】
「探してたのか?」
【橘】
「ああ。だが、結局見つからなかった。お前は生きてるのか死んでるのかもわからなかった」
【篠崎】
「死んだようなもんだったさ。十年前、家族を焼き殺された時点でな」
【橘】
「……あの火事のことか」
【篠崎】
「“あの火事”。お前はまだ事故だと思ってるのか?」
【橘】
「思ってる。公式記録でもそうだ」
【篠崎】
「嘘つけよ。刑事なら嗅ぎつけてるはずだ。裏金、検査偽装、政治家と建設会社の癒着……」
【橘】
「……!」
【篠崎】
「図星か。お前、知ってて黙ってたんだな」
【橘】
「篠崎……それ以上深入りするな。危険だ」
【篠崎】
「危険?俺にとって危険なんて言葉は意味を持たない。家族を奪われたあの日から、俺は死んでる」
【橘】
「お前、復讐するつもりか」
【篠崎】
「もう始めてる。止められるなら止めてみろ」
第二章 標的
【篠崎】
「最初の標的は……神原隆一。十年前も今も、腐りきった政治家だ」
【仲間・美咲】
「神原って、テレビによく出てる議員でしょ?汚職疑惑で噂されてる人」
【篠崎】
「そう。あいつが建設会社から金を受け取って、消防検査を誤魔化した。その結果、倉庫の安全基準は無視された」
【美咲】
「だから……あの火事が……」
【篠崎】
「そうだ。本当なら防げた」
【美咲】
「でも……神原を狙うなんて。そんなこと、普通の人間にできる?」
【篠崎】
「普通じゃない。俺はもう普通じゃない」
【美咲】
「……わかった。私も協力する。だけど、血だけは流さないで」
【篠崎】
「わからないな。相手がどう出るか次第だ」
【美咲】
「篠崎……」
第三章 暴かれる闇
【ニュースキャスター】
「速報です。与党議員・神原隆一氏が、建設会社から巨額の賄賂を受け取っていた疑惑が浮上しました。ネット上では、複数の証拠映像が拡散しています」
【神原】
「ふざけるな!これは陰謀だ!私を貶めようとする者の仕業だ!」
【秘書】
「議員、拡散速度が尋常じゃありません……テレビ局も扱い始めています!」
【神原】
「誰だ……誰がこんな真似を!」
【篠崎(映像越し)】
「十年前の火事を覚えているか?」
【神原】
「……誰だ!名を名乗れ!」
【篠崎】
「俺は遺族だ。お前が金に目がくらんだせいで、家族を失った」
【神原】
「ち、違う!私は関与していない!証拠なんて――」
【篠崎】
「言い訳はもう通じない。地獄で詫びろ」
第四章 追跡
【橘】
「やっぱりお前か……篠崎。神原を追い込んだのは」
【美咲】
「刑事さん……お願い。邪魔しないで」
【橘】
「美咲……お前まで」
【美咲】
「私は……篠崎の気持ちを知ってる。だから」
【橘】
「だが、これは法を破る行為だ」
【篠崎】
「法?その法が俺の家族を救ったか?」
【橘】
「……」
【篠崎】
「救わなかったんだ。だったら俺が裁く」
【橘】
「篠崎……どこまで行くつもりだ?」
【篠崎】
「最後までだ」
第五章 裏切り
【美咲】
「……篠崎、話がある」
【篠崎】
「何だ」
【美咲】
「私……警察に情報を流した」
【篠崎】
「……は?」
【美咲】
「ごめん。でも……もうこれ以上あなたに罪を重ねてほしくなかった」
【篠崎】
「裏切ったのか」
【美咲】
「違う!私は守りたかったの!」
【篠崎】
「俺の家族は守れなかったのに?」
【美咲】
「……!」
【篠崎】
「もういい。お前は敵だ」
【美咲】
「違う!私は……!」
【橘】
「二人ともやめろ!」
第六章 黒幕
【橘】
「篠崎、落ち着け!神原はただの駒だ!」
【篠崎】
「駒……?」
【橘】
「本当の黒幕は警察上層部だ。火事は証拠隠滅のために仕組まれた!」
【篠崎】
「……なんだと」
【橘】
「俺は知ってた。だが、口を塞がれた」
【篠崎】
「俺の家族は……警察の都合で……!」
【橘】
「……そうだ」
【篠崎】
「ふざけるな……絶対に許さない!」
第七章 崩壊
【警察幹部・佐久間】
「よく喋ったな、橘」
【橘】
「佐久間警視……!」
【佐久間】
「国家を守るためには犠牲が必要なんだよ」
【篠崎】
「犠牲だと?俺の家族を犠牲って言うのか!」
【佐久間】
「ただの巻き添えだ」
【篠崎】
「殺す……!」
【橘】
「やめろ篠崎!」
【篠崎】
「邪魔するな!こいつだけは……!」
【佐久間】
「ほう……来い。遺族」
第八章 もうひとりの遺族
【新たな人物・田島】
「待て!」
【篠崎】
「誰だ、お前は」
【田島】
「俺も十年前の火事で家族を失った遺族だ」
【篠崎】
「……!」
【田島】
「お前のやろうとしてることはわかる。だが、復讐じゃ何も変わらない!」
【篠崎】
「黙れ!お前に俺の気持ちがわかるか!」
【田島】
「わかる!同じ遺族だからな!」
【橘】
「田島……お前まで」
【佐久間】
「ふん……遺族ごっこか。くだらん」
【田島】
「佐久間!お前だけは許さない!」
第九章 報復連鎖
【市民の声】
「ネットで見た?あの議員の件」
「次は警察が黒幕らしいぞ」
「もう誰も信用できない……」
【ジャーナリスト】
「真実を暴け!市民に知らせるんだ!」
【篠崎】
「見ろよ橘。もう社会は動き始めてる。俺の復讐は、ただの始まりだ」
【橘】
「違う……お前が火をつけたんだ。このままじゃ国全体が燃える!」
【美咲】
「篠崎……もうやめて……」
【篠崎】
「やめない。俺の怒りは連鎖する」
【田島】
「だから止めるんだ!俺たちが!」
第十章 最終対決
【佐久間】
「ここまで来るとはな。愚かな遺族どもが」
【篠崎】
「黙れ……お前を地獄に落とす」
【田島】
「俺も一緒だ!」
【橘】
「篠崎、田島……俺も戦う。だが殺しはさせない!」
【美咲】
「もう誰も死なないで……お願い!」
【佐久間】
「甘いな。ならば俺が始末する」
【銃声】
――バンッ!
【篠崎】
「……ぐっ……!」
【橘】
「篠崎!」
【篠崎】
「まだ……終わってない……」
最終章 報復の果て
【篠崎】
「橘……すまない……最後は……お前に託す」
【橘】
「篠崎!やめろ!」
【篠崎】
「俺の復讐は……ここで終わる。でも、真実を……隠すな……」
【美咲】
「篠崎!死なないで!」
【篠崎】
「美咲……ありがとう……でも……」
【沈黙】
【橘】
「……終わった」
【田島】
「本当に……これでいいのか?」
【橘】
「正義も復讐も……同じなのかもしれないな」
【美咲】
「これから……どうすればいいの?」
【橘】
「進むしかない。一歩ずつだ」
【田島】
「……篠崎。お前の叫び、忘れない」
――完。