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『はい。ですから、美晴さんの辛いお気持ちは、よくわかっているつもりです』
AIの回答だとばかり思っていた。しかし、画面の向こうには見えない誰かがいて、美晴の味方だと伝えてくれたのだ。
「うっ…うううっ……」
涙腺が刺激され、涙が溢れた。唯一の味方だと思っていたこずえに裏切られて絶望を感じるしかなかった美晴だが、運よく『復讐アプリ』に出会えたことで奴隷生活から自分を開放するために立ち上がり、勇気を持てた。それは紛れもなく、美晴にメッセージを送ってくれていたアプリのおかげ――…
――ありがとうございます。あなたの言葉にとても勇気づけられました。
『それはなによりです』
――これからも相談に乗ってください。次に私はどうすればいいですか?
『離婚への証拠が随分溜まってきましたが、しかしまだ足りません。引き続き相原久次郎についてわかることがあれば情報共有いただけるとこちらは助かります。その代わりポイントバックで美晴さんの更なるサポートに努めます。1000P貯めていただける頃には、美晴さんご自身でも多くの証拠が手元にあるでしょう。それを使って離婚に持ち込むのです。復讐を完全なものにしましょう』
なるほど。復讐アプリの運営会社はこのポイントで儲けようとしているのではなく、あくまでも情報共有のために利用する手段として用いているだけだ。実質美晴は1円も課金をしていない。ハードルを高く設定しているのは、それに見合った情報交換をするためなのだと理解した。
(アプリの運営者たちも同じように辛い目に遭っていたんだって知ったら、すごく救われた。優しい言葉に勇気づけられた。私を味方してくれる仲間がいるんだと思ったら、強くなれる!!)
彼女は立ち上がった。死んだ魚のような目をしていた美晴は、もうどこにもいなかった。