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夜の空気をまとったまま、部屋のドアを開ける。
静かだと思っていた。
けれど――
「……遅い」
低い声。
エリオットはわずかに動きを止める。
部屋の奥。
灯りは落ちているのに、ソファに影がある。
チャンス。
起きている。
「……起きてたのか」
「寝れるわけないだろ」
短い返答。
そのまま立ち上がる。
距離が、ゆっくりと詰まる。
「どこ行ってた」
問い。
エリオットは靴を脱ぎながら、視線を逸らす。
「……外」
「誰と」
間。
「……別に」
曖昧に濁す。
チャンスの足が止まる。
一瞬だけ、空気が張る。
「……あいつか」
断定。
エリオットは答えない。
それが答えになる。
小さく息を吐く音。
「……何された」
「何も」
間を置いて、
「……少し話しただけ」
完全な嘘ではない。
だが。
“それだけじゃない”
頭の奥に、さっきの感覚が残っている。
チャンスはゆっくりと近づく。
逃げ場はない距離。
「……顔見ろ」
言われるまま、視線を上げる。
目が合う。
見慣れたはずの目。
――なのに。
一瞬、違和感が走る。
「……なんだよ」
チャンスが眉を寄せる。
エリオットは何も言わない。
ただ、見ている。
何かを“確かめる”みたいに。
チャンスの表情が、わずかに険しくなる。
「……そんな顔で見るな」
低く言って、そのまま手が伸びる。
顎を掴まれる。
逃げられない。
「……っ」
反射的に、体がわずかに引く。
その動きに、チャンスの目が細くなる。
「……なんだよ」
#chance
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ゆゆゆゆ
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#女体化
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#ジョン・ドウ
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もう一度。
今度は、少しだけ強く。
「……何された」
問い詰める声。
エリオットは一瞬だけ迷う。
頭に浮かぶのは、あの言葉。
“私の向こうにも、君の知らないチャンスがいる”
「……別に」
それでも、言わない。
チャンスはそれ以上追及しない。
代わりに――
顔を近づける。
キス。
その瞬間。
エリオットの中で、警戒が走る。
嫌な予感。
理由は分からない。
けれど――
「……待て」
手で軽く押し返す。
一瞬だけ距離が空く。
チャンスの目が、はっきりと変わる。
「……なんで止める」
低い声。
エリオットは答えない。
答えられない。
ただ、さっきの感覚が頭から離れない。
“重なった”感触。
それと、今の目の前の存在。
同じかどうか――
確かめるのが、怖い。
「……お前」
チャンスが一歩踏み込む。
「何考えてる」
そのまま、もう一度距離を詰める。
今度は、逃がさない。
「……やめろって」
押し返そうとするが、力で抑えられる。
「いいから」
短く言って。
そのまま――
キス。
強引に。
抵抗は、一瞬で崩される。
唇が重なる。
その瞬間。
――違う。
すぐに分かる。
同じはずなのに。
温度も、感触も、何もかも同じはずなのに。
“何かが足りない”。
息が、わずかに乱れる。
違和感。
さっき感じた“重なり”が、ここにはない。
ただ、チャンスがいる。
それだけ。
キスが離れる。
エリオットは、ほんの少しだけ眉を寄せる。
「……なんだよ」
チャンスが低く問う。
エリオットはすぐには答えない。
視線を逸らす。
喉の奥で、言葉が転がる。
“違う”
でも、それを言うと――
何かが決定的に崩れる気がする。
「……別に」
結局、それだけ。
曖昧に流す。
チャンスは納得していない顔をする。
けれど、それ以上は何も言わない。
ただ、じっとエリオットを見る。
探るように。
エリオットはその視線を受けながら、
頭の中で、はっきりと認識していた。
――さっきの方が、“近かった”。
気持ち悪い。
でも。
その事実だけが、消えない。